《【書籍化&コミカライズ】関係改善をあきらめて距離をおいたら、塩対応だった婚約者が絡んでくるようになりました》エピローグ

卒業式當日。いつもの制服姿で集合した學院生徒たちの前で、まずは卒業生代表としてのマリア・アドラーのスピーチが行われた。

マリアの話しぶりは実に堂にったもので、生徒たちから割れんばかりの喝采を浴びた。中でも狂ったように拍手していたのはレオナルドで、「やりすぎですよ」とシリルにたしなめられていた。

続いて首席卒業生としてアーネストも短いスピーチを行った。こちらにもそれなりの拍手が贈られた。中でも一番熱心に手を叩いていたのはフェリシアである。型どおりの式典が終わった後、ビアトリスは二人の友人と互いに抱きしめあい、涙ながらに永遠の友を確かめ合った。

「ビアトリス、辺境伯領に行っても私たちのこと忘れないでね」

「マーガレットこそ、時々は私たちのこと思い出してね」

「シャーロット、離れ離れになっても、私たちずっと親友よね」

ちなみに卒業後、ビアトリスはカインと一緒に王立大學に通う予定なので、結婚してもまだ四年間は王都にいるし、カインと話し合って大學卒業後も年の半分くらいは王都に滯在することになっているし、マーガレットもジェイムズのもとに嫁ぐとはいえ、月に一度は王都に來る予定だし、シャーロットに至っては結婚相手のヘンリーが領地経営を代に丸投げするタイプの領主なので、王都から一歩もく予定はないのだが、こういうのはやはり気分の問題なのである。

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その後フィールズ家の雙子の姉妹たちとも別れをわした。

跡取り娘のエルマはこのまま王都住まいだが、妹のエルザは隣國に留學するので、こちらは本の涙の別れだ。何年かして留學から帰ってくるころには、エルザは立派なピアニストになっているのかもしれない。

そして學院生徒たちはいったんそれぞれの自宅や寮に戻った。これから恒例のダンスパーティがあるので、ドレスに著替えるためである。

ウォルトン邸に帰宅すると、ビアトリスは著慣れた制服をぎ捨てた。

もう二度とこれをまとうことはないと思うと、なんともいえない慨がある。

王立學院の生徒としての時間はこれで終わる。

これからは新たな日々の始まりだ。

に手伝ってもらいながらカインに贈られたドレスをまとい、髪を結い上げ、月華石の首飾りを著ける。あの後、カインが宣言通りにルビーに真珠、エメラルドと言った寶飾品を次々に贈ってよこしたせいもあり、ビアトリスが月華石をに著けるのは、スタンワース家の舞踏會以來のことである。

やがてカインがビアトリスを迎えにウォルトン邸に現れた。

カインは目を細めてビアトリスのドレス姿を褒めたたえたのち、月華石の首飾りについて、「今日はそれを著けたんだな」と口にした。

「ええ、今日は特別な日ですもの」

今日はこの首飾りを著けると、前からずっと決めていた。

カインのエスコートで學院のホールにると、すでにみんな揃っていた。

マーガレットはジェイムズにエスコートされて満足そうだし、シャーロットも嬉しげにヘンリーに手をゆだねている。

エルマは最近できた婚約者にエスコートされており、互いにちょっとぎこちないのが大変初々しくて可らしい。エルザは王宮舞踏會の時も一緒だった従兄にエスコートされている。エルザいわく、今は留學で頭がいっぱいで婚約どころではないとのこと。

そしてマリア・アドラーは案の定、レオナルドにエスコートされていた。らしいピンクのドレスはレオナルドの贈りだろうか。レオナルドの満面の笑みは、見ている方がなんだか恥ずかしくなるほどだ。

見ればシリル・パーマーも二學年下の下級生をエスコートしていた。確か「知的な眼鏡が素敵!」と騒いでいた伯爵令嬢だ。

そしてアーネストは當然のことながら、フェリシア・エヴァンズをエスコートしていた。

アーネストは悠然とした笑みを浮かべており、フェリシアは若干張した様子ながらも、ぴんと背筋をばして堂々としている。二人とも、まさに未來の國王夫妻にふさわしいたたずまいである。

やがて音楽が始まった。

「行こう。ビアトリス」

隣でカインが微笑みかける。

「はい、カインさま」

ビアトリスも未來の伴に笑みを返した。

そして二人は流れる音楽に乗って、ホールの中央へとり出した。

ここまで読んで下さって本當にありがとうございました。

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      つづく...
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