《【コミカライズ&書籍化(2巻7月発売)】【WEB版】婚約破棄され家を追われたの手を取り、天才魔師は優雅に跪く(コミカライズ版:義妹に婚約者を奪われた落ちこぼれ令嬢は、天才魔師に溺される)》イリスの失蹤
誤字報告をありがとうございます、修正しております。
「今日は、ヴィンセントと出掛けてくるから。
イリスといい子で待っているんだよ」
らかくレノの頭をでたマーベリックに、レノは笑顔で頷いた。
「はーい、兄さん!
……ヴィンス兄さんとは、しばらく會ってないなあ。元気にしてるかなあ……」
「まあ、ヴィンスも激務だからな。
レノも會えなくて寂しいとは思うが、近いうちに、この家にも顔を出すようにとヴィンスに伝えておくよ」
「うん、ありがとう。ヴィンス兄さんにも、に気を付けてねって伝えておいてくれる?」
「ああ、わかった」
イリスが、マーベリックを見送りにぱたぱたと駆け寄って來た。
「いってらっしゃいませ、マーベリック様」
「ありがとう、イリス。レノを頼むよ」
「はい」
マーベリックは、イリスの頭も優しくでてから出掛けて行った。
「ヴィンス兄さん、そんなに忙しいんだあ……」
し寂しそうに、しょんぼりとした様子のレノに、イリスは尋ねた。
Advertisement
「レノ様の2番目のお兄様のことかしら?」
「うん、そうだよ。ヴィンス兄さんね、第1魔師団の団長をしてるんだ、格好いいでしょう?
……でも、お仕事がすごく忙しいんだって。だから、なかなか……というよりも、ほとんど家に帰って來ないんだよね……」
「そうなの。
……そうね、魔師団長をしていたら、滅多に家には帰れないでしょうね」
イリスが、多忙なために姿を見ることのなかった亡き父を思い出しながら呟くと、レノがぱちぱちと目を瞬いた。
「ふうん、そういうものなんだ」
「……けれど、マーベリック様はレノ様とたくさん遊んでくださるから、良かったですね?」
「うん!!
兄さんには、本當に謝してる。
僕のために、兄さん自を犠牲にしてるんじゃないかって、心配になることもあるんだけどね……。兄さん、すごく強いから、いっぱい活躍して、もっともっと偉くなることもできるはずなのに、いつも僕のことを優先してくれるんだ」
まだ小さく、いつも無邪気に見えるレノが、そんなことを考えていたとはと、イリスはしが痛くなった。
「大丈夫ですよ。マーベリック様も、レノ様と一緒の時間を楽しんで過ごしていらっしゃるのが、よくわかりますから」
「ほんとに?
……けど、あのね、イリスが來てくれるようになってから、兄さん、それまでよりも楽しそうになったんだよ。
僕と一緒にいれば、兄さんもイリスと一緒に過ごせる訳だから、まあ、いいのかなあ」
「そんなことは……」
レノが楽しげな目付きで、頬を染めたイリスを見つめた。
イリスは軽く咳払いした。
「さて、レノ様。今日は何して遊びましょうか?
この前、街で、マーベリック様に新しい畫材道を買っていただきましたよね。せっかくだから、お絵描きでもしましょうか?」
「うん!」
開いたスケッチブックが、だんだんとレノの絵で埋まっていく様子を、イリスもすぐ橫でにこにこしながら眺めていた。レノにねだられて、イリスも一緒に彩を手伝う。
その時、離れのドアが軽くノックされた。
「はい?」
イリスが扉に駆け寄って細く開けると、そこにはソニアの姿があった。
「あら、ソニア」
「イリス、レノ様宛の注文の品を持って來たっていう方が來ているのだけど。
前に、あなた達が街に行った時にでも、何かレノ様に頼んだのかしら?」
「うーん、特に覚えはないのだけれど、何かしら。
ちょっと、私からその方に聞いてみるわね」
「ありがとう、お願いできる?」
「ええ、勿論よ」
イリスは、レノを振り返って「すぐに戻りますね」とだけ告げてから、庭を通り抜けて、屋敷の玄関の門戸の前まで出て行った。
イリスは、きょろきょろと辺りを見回した。
(あら?
ソニアが言っていたような方は、見當たらないわね……)
いったん屋敷に戻ろうかと、イリスが門戸に背を向けた、その時だった。
(……!)
イリスは、背後から、急に口元に何か布狀のものを押し當てられるのをじた。つんと薬の匂いがイリスの鼻をつく。
(これ、は……)
イリスの全から、ふっと力が抜けた。
そのまま意識を失ったイリスのを、商人風の服を纏った男が後ろから抱き留めると、口元に薄く笑みを浮かべながら、イリスをその両腕に抱き上げた。
***
「ヴィンス、君は本當に忙しそうだな……」
エヴェレット家からマーベリックを乗せて出た馬車は、途中、魔師団の拠點でヴィンセントを拾ってから、クルムロフ家に向かっていた。
進み行く馬車の中でさえ、報告書に目を通したり、指示書を書いたりしているヴィンセントを見て、マーベリックは苦笑していた。
馬車の窓から、風魔法でひらりと手紙が運ばれ、ヴィンセントの膝に落ちる。
「ああ、これで、馬車に乗ってからもう3通目ですよ!しくらい、私のことを休ませてしいものです」
ぶつぶつと呟きながらも、かりかりとかし続ける手を止めないヴィンセントは、視線を書類に落としたままで、マーベリックに話し掛けた。
「ところで兄さんは、これから會いに行くクルムロフ家のご令嬢について、どのようなことを知りたいのですか?」
「そうだな……。
ヴィンス、お前は、幻の能力という言葉は聞いたことがあるか?」
「いえ、それは初耳ですね……」
ヴィンセントは、ようやく手元の書類から顔を上げて、マーベリックを見つめた。
「俺も、詳しい訳ではないが。古い文獻を探すうちに、そのような記載があるのを見付けたんだ。失われた能力、なんて呼ばれることもあるようだ」
「ほう……それは興味深いですね」
ヴィンセントの瞳が、きらりと輝く。
「お前も當然知っているように、5つの屬に関する魔法は、どれも目にすることができるものだ。けれど、その幻の能力とやらは、能力を使っても、直接目には見えないらしいのだよ。だが、どうにも謎が多くてな。
俺は、レノの周りで起きる不思議な現象は、レノの何かしらの能力によるものかと勘繰っていたが、推測の域を出なかった。だが、」
マーベリックは、ヴィンセントの、すっかり傷の癒えたを眺めた。
「ヴィンスは、その令嬢に助けられた時、湧いてくるような力をじて、回復力が高まったと言っていただろう?
俺も最近似たような経験をしているが、あれは、偶然で済ませられるような力ではなかった。何かしらの力が確かに背後に働いていたのだろうと、そうじた」
「なるほど。……それが、その幻の能力だと?」
「まあ、俺にも、まだはっきりとした答えがある訳ではないが。その令嬢の話を聞くことで、何かの糸口が摑めればと、そう考えている」
「それは、レノにも繋がるということですか」
「ああ。目に見えない不思議な力という意味では、共通するように思う。もし、そのような力がどのようなものかや、コントロールの方法などがわかれば、もしかしたら、レノにとっても、もっと日々が過ごしやすいものになるかもしれない」
ヴィンセントは一度頷いた後で、やや間を置いてから、不思議そうに首を傾げた。
「ところで、兄さんは、レノ付きの新しい侍が、その力の持ち主のような気がしたと、そう仰っていましたね。
……彼自、その力の自覚はないようだとは聞きましたが、なぜ、まずは彼にさらに詳しく聞かなかったのです?彼からも、何かしら引き出せる報があるような気もしますが」
「それは……」
マーベリックは、ふいとヴィンセントから目を逸らし、視線を馬車の窓から外に向けた。
「……彼は、どこか自分に自信がなさそうにしているんだ。彼は、優しくて思いやり深い素晴らしいなのに、それが何故なのかは、俺にもよくはわからないが……。
もしかしたら、辛い経験でも過去にあったのかもしれないと思うと、話を聞く中で、彼の心の傷にれてしまわないだろうかと、聞きづらいところもあってな。
最近も時折、悲しげな、不安そうな表を見せることがあって、心配しているんだ」
「そうでしたか……」
「彼を傷付けたくはないし、もし、それで彼を失うようなことがあれば。
レノも、ようやく見付けた心を許せる侍を失うことになるし、俺も、彼のいないエヴェレット家が、もう想像できなくてな」
「……兄さんにとっても、彼は大切な存在だと、そういうことですか」
返事をする代わりに顔を赤らめたマーベリックを見て、ヴィンセントが穏やかに微笑んだ。
ごとごとと石畳の上を通った馬車は、しずつ速度を落として行くと、やがてクルムロフ家の屋敷の前でゆっくりと止まった。
ヴィンセントは、まだ忙しく書類に目を落としている。
「著いたようだぞ」
「……兄さん、大変に申し訳ないのですが。
あとほんのしで片が付くので、先にっていてはいただけませんか?
ほら、屋敷の中から出迎えの方が來たようです。すぐに追い掛けると、お約束しますので」
「お前からこの家の令嬢への禮が、この訪問の主な目的だったはずだが……。
まあいい、わかった。では、先に向かっているよ」
「すみません、兄さん。助かります」
マーベリックが馬車から降り立つと、淡い桃のワンピースを纏った1人の令嬢が、満面の笑みを浮かべて、屋敷の玄関先から駆け出して來た。
【書籍化】幼馴染彼女のモラハラがひどいんで絶縁宣言してやった
【コミカライズ決定しました!】 一個下の幼馴染で彼女の花火は、とにかくモラハラがひどい。 毎日えげつない言葉で俺を貶し、尊厳を奪い、精神的に追い詰めてきた。 身も心もボロボロにされた俺は、ついに彼女との絶縁を宣言する。 「颯馬先輩、ほーんと使えないですよねえ。それで私の彼氏とかありえないんですけどぉ」 「わかった。じゃあもう別れよう」 「ひあっ……?」 俺の人生を我が物顔で支配していた花火もいなくなったし、これからは自由気ままに生きよう。 そう決意した途端、何もかも上手くいくようになり、気づけば俺は周囲の生徒から賞賛を浴びて、學園一の人気者になっていた。 しかも、花火とは真逆で、めちゃくちゃ性格のいい隣の席の美少女から、「ずっと好きだった」と告白されてしまった。 って花火さん、なんかボロボロみたいだけど、どうした? ※日間ランキング1位(総合)、日間・週間・月間・四半期ランキング1位(現実世界戀愛ジャンル)になれました 応援いただきありがとうございます!
8 152【書籍化】白の平民魔法使い【第十部前編更新開始】
魔法使い。 それは魔法を駆使して戦い、守り、救う超越者。 だが、魔法使いの世界は才能が物を言う。長く続く魔法の歴史は才能ある一族だけを拾い上げ、今では魔法使いは貴族のみとなった。 ここマナリル國でもそれが常識。 マナリル國有數の教育機関であるベラルタ魔法學院には今年も優秀な魔法使いの卵が集まっている。 そう、一人を除いては。 一際目を引く素樸な少年。 煌びやかな世界とは無縁の田舎者。 そこにいたのは學院唯一の平民だった。 "魔法使いになりたい" 魔法になりきれない魔法の使い手による夢を葉える物語が今始まる。 ※この度KADOKAWA様から書籍化する事となりました!11月13日発売です! ♢ 第五部完結しました! 第一部『色の無い魔法使い』完結。 第二部『二人の平民』完結。 第三部『初雪のフォークロア』完結。 第四部『天泣の雷光』完結。 第五部『忘卻のオプタティオ』完結 第六部『灰姫はここにいる』完結。 第七部『氷解のミュトロギア』完結。 第八部『翡翠色のエフティヒア』完結。 第九部『呪われた魔法使いとお姫様』完結。 第十部前編『星生のトロイメライ』更新準備中……。 第十部後編『???』 王道ファンタジー、だと思います。
8 156血染めの館
私たちの通う學校の裏の館では昔、殺人事件があったそう。館の中は血だらけだったけど、遺體はいまだに見つかっていない。その館は「血染めの館」と呼ばれ、人々に恐れられていた。 ある年の夏、私たちの學校の生徒が次々に消える失蹤事件が起きた。と同時に、奇妙な噂が流れ始めた。 「血染めの館で殺された館の主人の霊が現れる」と。 そんなわけないじゃいかと、私たちオカルト研究部が調査に入った。まだそこでなにが起こるかも知らずに…
8 109【銃】の暗殺者
異世界に連れていかれた少年が暗殺者となってのんびりと過ごすお話です この作品に出てくる銃は素人知識ですので間違いがあってもご容赦を
8 55-COStMOSt- 世界変革の物語
これは、高校生の少年少女が織りなす世界変革の物語である。我々の世界は2000年以上の時を経ても"理想郷"には程遠かった。しかし、今は理想郷を生み出すだけのテクノロジーがある。だから、さぁ――世界を変えよう。 ※この作品は3部構成です。読み始めはどこからでもOKです。 ・―Preparation― 主人公キャラ達の高校時代終了まで。修行編。 ・―Tulbaghia violaces harv― 瑠璃奈によって作られた理想郷プロトタイプに挑戦。 ・―A lot cost most― 完全個人主義社會の確立により、生まれ変わった未來の物語。 よろしくお願いします。
8 192史上最強の魔法剣士、Fランク冒険者に転生する ~剣聖と魔帝、2つの前世を持った男の英雄譚~
一度目の転生では《魔帝》、二度目の転生では《剣聖》と呼ばれ、世界を救った勇者ユーリ。しかし、いつしか《化物》と人々に疎まれる存在になっていた。 ついに嫌気が差したユーリは、次こそ100%自分のために生きると決意する。 最強の力を秘めたユーリは前世で培った《魔帝》と《剣聖》の記憶を活かして、Fランクの駆け出し冒険者として生活を始めることにするのだった――。
8 170