《【8/10書籍2巻発売】淑の鑑やめました。時を逆行した公爵令嬢は、わがままな妹に振り回されないよう格悪く生き延びます!》45、初歩の初歩
‡
「それで、結局、リザ様とグレーテ様に押し負ける形で、ブレスレットをヨハネス殿下に作ることになったの?」
宮廷に戻った私は、お土産を用意する暇がなかったので、そのお詫びを兼ねて、フレイア様のお部屋で一部始終を説明した。
「……はい」
ソファーに向かい合って座った私は靜かに頷く。
フレイア様は獨り言のように繰り返した。
「クリスティナのブレスレットをヨハネス殿下に」
やはり大それたことなのだろう。勢いに負けて引きけたものの、私は再び重圧に押し潰されそうになって呟いた。
「こんな素人のブレスレットではやはり失禮ですよね……」
ところが、フレイア様は突然、その金髪をかき上げておっしゃった。
「やられたーっ!」
何が?
驚いた私は思わず聞き返す。
「どうしたんですか? 何にやられたんですか?」
フレイア様は腰かけたまま両手をぶんぶんと振る。
「先を越されたっ! 悔しい!」
呆気に取られて見守っていると、いつものフレイア様に戻っておっしゃった。
Advertisement
「出掛ける前、あなたを驚かすことを考えていると言ったでしょう?」
「あ、そうでしたね」
いろいろあって忘れていたが、それはどうなったのだろう。そんな気持ちで見つめると、フレイア様はため息をついた。
「先を越されたのはブレスレットよ」
「は?」
「ローレンツ様用の噂が広まって、何人もの貴族のご婦人から問い合わせがあったの。だから、王妃様と相談して、あなたのブレスレットを販売することを決めたのよ」
「え?」
決めた? 決めたって?
「もちろん報酬はあなたのものよ。事業も好きなように展開してくれて構わない。私たちは協力するだけ」
「え、あの、待ってくださ——」
「あなたの自立にもつながるし、絶対いいと思ったんだけど、先に魅力に気付いた人がいて、しかもそんな不思議な効力まで験しているなんて! 悔しい! 先を越されたってなるじゃない?」
「なるじゃないって、そんな、待ってくださいフレイア様」
先を越されたという問題だろうか?
「そんな効力なんてあるかどうかわかりませんよ? あっても一度きりかも」
リザ様が噓をついてるとは思わないが、全部のブレスレットに同じ効果があるとは限らないだろう。
だけどフレイア様はあっさり頷いた。
「大丈夫。こちらから明言しなければいいのよ。どうせローレンツ様ご用とヨハネス殿下ご用でかなり広まると思うし。そうだ、男用と用、意匠を変えるのもいいわね。そうしたら贈りへの需要も高まるわ」
「決定なんですか?」
フレイア様はにっこりと笑った。
「最初から大量生産しなくても大丈夫よ、希価値を出して行くのもいいもの」
「あの……フレイア様?」
流れについていけない私は呆然とするばかりだ。フレイア様は私の手を取った。
「怖気付くのはわかるわ。でもこうは考えられない? ブレスレットを通してあなたが求められているの」
「私が……そんなまさか。私なんか——」
「肝心なところで昔の癖を出しちゃだめよ」
そこだけは鋭くおっしゃる。
私は思わず背筋をばす。
昔の癖。
そうかもしれない。
私は息を大きく吸って考えた。
——ブレスレットを通して私が求められている。
私を求めてくれている。
それならば。
——応えたい。
私はフレイア様を見つめ返した。
「しい方がいらっしゃるなら……やってみます」
「早速作戦會議ね」
フレイア様が微笑む。
‡
トーマスは眉間に深い皺を寄せた。
今日も扉の隙間から、ミュリエルとサーシャの笑い聲がれている。
あれで勉強になっているのだろうか。
オフラハーティ公爵家の執事として長年仕えるトーマスは、突然採用されたミュリエルの家庭教師(ガヴァネス)と侍がなぜか気にらなかった。
サーシャ・マクゴナー子爵令嬢と、ブリギッタ・ドムス子爵夫人。二人ともちゃんとした家の出であるし、禮儀作法も申し分ない。ミュリエルも今のところ、大人しく従っているようだ。オーウィンの機嫌もよく、こちらも助かっている。
——なのに、なぜか引っかかる。
気にしすぎかもしれない。
何度も自分にそういい聞かせたが、懸念が消えない。
今日もついつい様子を伺っていると、お茶の用意を載せたワゴンをマリーが運んでくることに気付いた。
トーマスはし思案してから聲をかける。
「マリー、それはミュリエル様のところに持っていくお茶か?」
「はい。そろそろ休憩の時間ですので」
「私が行こう」
なぜトーマスがそんなことを、としだけ不思議に思ったマリーだったが斷る理由はなかった。
「それではお願いします」
「ああ」
ワゴンを押してミュリエルの部屋の前に來たトーマスは、扉の外でもう一度耳を澄ませた。
サーシャのあからさまにはしゃいだ聲が聞こえる。
「まあっ! さすがミュリエル様ですわ。もう問題を解きました。天才ですね」
「これくらい大したことないわ」
「いいえ、クリスティナ様でもこれは無理ですわ、きっと」
「あら、そうかしら?」
「ええ。クリスティナ様は、それはそれは非の打ち所がない王子妃候補だと伺っていますけど、數字に関する問題は苦手だったようですよ?」
「ほんとに?」
「はい。それに比べるとミュリエル様は天才です」
「お姉様ったら何でもできる顔をして、結構ダメなのね」
「そうですよ、こうやって近くで伺うと、ミュリエル様の方がずっと可らしくて才能があることがわかります。社界に出るようになりましたら、きっと人々の中心になるでしょうね」
「お姉様よりも?」
「比べるまでもありませんわ」
トーマスはそこで禮儀正しく扉を叩いた。
「失禮します。お茶をお持ち致しました」
會話はピタッと止まった。
「遅かったわ。が渇いたの。早くここへ運んで」
ミュリエルが以前よりも橫柄に指示する。
「かしこまりました」
トーマスは禮儀正しい態度を崩さず、給仕する。
そのとき、ミュリエルが解いていた「クリスティナも無理」な問題が目にり、驚いた。表には出さないようにしたが、それは初歩の初歩だった。クリスティナはもっと上級の問題をすらすら解いていたはずだ。
「なにしてんの。終わったらさっさと出て行ってよ」
ミュリエルに言われ、トーマスは、再び頭を下げて部屋を出る。
懸念が以前より大きくなる。
表面上は何も問題はない。
しかし、あの家庭教師はミュリエルに本気で勉強を教える気があるのだろうか。
トーマスは誰にもわからないようにため息をついた。
オバケYouTuber
會社をクビになった晴太郎が、生活の為に家賃の安い物件を探していると、1年間タダ!それ以降は2萬と言う、格安賃貸物件をネットで見つける。その物件には告知事項があり、若い女性が変死した訳あり物件だった。幽霊を信じていないし、怖いと思わない晴太郎は、訳あり物件に引っ越しするのだか、信じられない様な心霊現象が次々と起きて、、、
8 96努力次第で異世界最強 ~喰えば喰うほど強くなる~
ある日突然異世界召喚されてしまった黒木レン。 そこは剣と魔法が存在するアイン・ヴァッハと呼ばれる世界だった。 クラスメイトはスキルもステータスもチートレベルなのに対して、レンのステータスは一般人よりも弱かった。 魔法が使えるわけでも剣で戦えるわけでもないただの一般人よりも弱かったのだ。 しかし、彼には謎のユニークスキルがあった。 効果も分からないしどうすれば発動するのかも分からない謎のユニークスキルを持っていたのだ。 そう【|喰種(グール)】というユニークスキルが。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 星雲は大の廚二好きです! 現実で出せない分ここで好きなだけ廚二病を発揮したいと思います!! たくさんの人に見ていただけると幸いです!
8 133異世界転移〜チートすぎました!〜
いつもの日常が退屈だった主人公 八雲 禪(やくも ぜん)、いつも通り授業を聞いていつも通り終わると思っていた退屈な日常から一変、なんと!クラス全員で異世界転移してしまったのだ‥‥‥ そこで新たに知ることとなるのは‥‥‥‥ この続きは本編で、とりあえず不定期すぎですね 頑張ります
8 192完璧超人がスライムに転生した結果
完璧超人の轟純也は自分が嫌いだ。 何をしても目立ち、自由が無い自分。 死ぬ間際に「不自由でもいいから、自由に生きたい!」と願いを言うと、謎の聲と共に意識が浮上し、気がつくと體がスライムになっていた! これは、元完璧超人のスライムとしての冒険の物語である。 息抜きと言いつつ、本編よりハイスピード!
8 176-COStMOSt- 世界変革の物語
これは、高校生の少年少女が織りなす世界変革の物語である。我々の世界は2000年以上の時を経ても"理想郷"には程遠かった。しかし、今は理想郷を生み出すだけのテクノロジーがある。だから、さぁ――世界を変えよう。 ※この作品は3部構成です。読み始めはどこからでもOKです。 ・―Preparation― 主人公キャラ達の高校時代終了まで。修行編。 ・―Tulbaghia violaces harv― 瑠璃奈によって作られた理想郷プロトタイプに挑戦。 ・―A lot cost most― 完全個人主義社會の確立により、生まれ変わった未來の物語。 よろしくお願いします。
8 192俺の周りの女性は全員美少女なんだが必ず何か重大な欠點がある!
ありとあらゆることが平凡で、 運がとてつもなく悪い少年長谷川俊は、 自分に告白をしてきた幼馴染の告白を斷ったせいで無殘に殺されてしまう。 そんな俊のことを可哀そうに思った神々は、 俊を異世界へと転生させる。 また異世界に転生させた貰う時俊は、 神々からチートなステータスを授けてもらい、 異世界を楽しみつつ、 男の夢である美少女ハーレムを作ろうと決心するのだが、 そこには自分を無殘に殺した幼馴染がいて......
8 144