《【書籍化】誰にもされないので床を磨いていたらそこが聖域化した令嬢の話【コミカライズ】》逃げ出してしまった
アルフレッド様の目が見開かれた。
「……婚約を……破棄? 何を言っているのだ、ステラ」
「そのままの意味です。婚前からこのような狀態では、どう考えても上手くいくはずがありません」
「それにしてもだ。婚約は家同士の契約で、俺達の意思は余程の事がなければ関係ない事だろう」
「相手に嫌悪があるというのは、余程の事ではないでしょうか」
「嫌悪?」
「ありますでしょう? 私に対して」
「いや……決して、そこまでのものでは」
「取り繕わなくて結構です。前回でよく分かりましたので。家同士の契約ならなおの事、私よりも相応しい相手が貴方には居られるでしょう。そちらに婚約者を替わって頂くのも良いのではありませんか?」
し嫌味っぽくなってしまったけれど、本心だ。
政略結婚でも相手に好意があったほうが良いのは間違いないのだから。
アルフレッド様は苦い顔をしてうつむく。
「……無茶を言うな。だいたい、君はどうするつもりなのだ。新たに婚約を結ぶのか? 君を引き取ってくれるような男など俺くらいのものだぞ」
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「そうでしょうね。ですが、私の今後など貴方には関係の無いことです」
「無いわけあるか。十年も婚約者をやって來たのに。今さら相手を替えろなどと言い出すなんて――」
アルフレッド様が椅子から腰を浮かしかけたその時、コンコンと扉がノックされてすぐに開いた。
「失禮します。……お姉様、アル様。ご挨拶に參りました」
「フィオナ……?」
無邪気な笑顔を覗かせる妹に、アルフレッド様は困の表を浮かべた。
「えへへ、今日はカナリアのドレスにしてみたんです。どうですか?」
「あ、ああ……。素敵だ。でも今はちょっと大事な話をしているから……後でよく見せてくれないか?」
「えー? 大人のお話ですか? それならフィオナは端のほうで靜かにしているので、どうぞお気になさらず続けてください」
「いや、その……」
「ちょうど良かったわ、フィオナ。私、大事な用事を思い出したの。しばらく席を外すから、アルフレッド様のおもてなしは貴にお願いするわ」
「わぁ、本當ですか? フィオナ上手に出來るかなぁ」
「もちろんよ。……ええとね、フィオナ。いつか言おうと思っていたのだけど」
「はい?」
「私と貴は一歳しか違わないの。私が大人なら、貴も立派な大人よ」
フィオナから何かにつけて大人扱いされるのが地味に嫌だった。
まだそこまで達観してないし、それに、大人だったら何でも許容出來ると思わないでよね。
きっとあまり言われた事が無いだろう種類の言葉をどうけ止めたのか分からないけれど、フィオナはきょとんとしていた。
「それでは、ごきげんよう」
「お、おい! ステラ!」
一禮してティーサロンを後にする。
アルフレッド様が何を焦っているのか分からないわ。
消えてあげるんだから喜べばいいのに。
足早に自室へ戻り、鍵を掛けてドレスをいだ。
お母様が亡くなった時に我が家の使用人は一新されて、私のお世話役がいなくなってしまった。
だからなるべく簡素で一人でも著られる構造のドレスばかり選んで著ていた。おかげで、こういう時には軽にける。
以前焼卻爐の前に積んであったメイドの古い制服を、ベッドの下から引っ張り出した。
何かに使えるかも知れないと思って拾っておいたのだ。
本當に使う時が來るとは思ってなかったけど、良かった。使い古してボロボロだけど著るぶんには問題ない。
メイドの制服をに付け、腰まである髪のを摑んだ。
ここまで髪を長くするのは貴族のだけだと聞いたことがある。
今からの私には不要なものだ。
ナイフを取り出し、肩下の辺りでばっさりと切り落とした。
長い髪のってかつらにするためにそこそこの値段で売れるらしいので、町に出たら床屋さんに持っていって買い取って貰おうと思う。
髪のをひとまとめにして捻り上げ、ペンをスティック代わりに差して留めた。
それからお母様が本を読むときに使っていた眼鏡をかけて、変裝は完了。度がっていてものすごく見辛いけど、屋敷を離れるまでの我慢だ。
まんまとメイドにり済ました私は機に置き手紙を殘して、前もって用意しておいた家出用バスケットを抱え、一番ひと目につかないルートを通って屋敷を出た。
だてにこの屋敷で十七年育っていない。抜け道くらい把握している。
お母様はおそらく何かを察していて、亡くなる直前に私にこう言い殘していってくれたのだ。
“どうしても耐え難いことがあったら、私のアクセサリー類を持ってあそこに行きなさい”と。
今回、その教えに従おうと思う。
目指すのは、修道院だ。
「あの、ごめんくださいまし」
町で一番大きな建、それが教會。
ほとんど町に出たことがない私でも迷うことなく辿り著けた。途中で見かけた床屋さんで髪のも売れたし、度りの眼鏡のおかげで何回か転びかけたけど無事にたどり著けた。
ここまでは順調だ。
中にり、ちょうど近くにいた溫和そうなお婆さんシスターに聲を掛けてみる。
「はい、どうしましたか?」
「あの……っ、ここに住まわせて下さい!」
「はい……?」
切り出し方が下手すぎな私の突然の要求に、シスターは口をぽかんと開けてしまった。
高校生男子による怪異探訪
學校內でも生粋のモテ男である三人と行動を共にする『俺』。接點など同じクラスに所屬しているくらいしかない四人が連む訳は、地元に流れる不可思議な『噂』、その共同探訪であった--。 微ホラーです。ホラーを目指しましたがあんまり怖くないです。戀愛要素の方が強いかもしれません。章毎に獨立した形式で話を投稿していこうと思っていますので、どうかよろしくお願いします。 〇各章のざっとしたあらすじ 《序章.桜》高校生四人組は咲かない桜の噂を耳にしてその検証に乗り出した 《一章.縁切り》美少女から告白を受けた主人公。そんな彼に剃刀レターが屆く 《二章.凍雨》過去話。異常に長い雨が街に降り続く 《三章.河童》美樹本からの頼みで彼の手伝いをすることに。市內で目撃された河童の調査を行う 《四章.七不思議》オカ研からの要請により自校の七不思議を調査することになる。大所帯で夜の校舎を彷徨く 《五章.夏祭り》夏休みの合間の登校日。久しぶりにクラスメートとも顔を合わせる中、檜山がどうにも元気がない。折しも、地元では毎年恒例の夏祭りが開催されようとしていた 《六章.鬼》長い夏休みも終わり新學期が始まった。殘暑も厳しい最中にまた不可思議な噂が流れる 《七章.黃昏時》季節も秋を迎え、月末には文化祭が開催される。例年にない活気に満ちる文化祭で主人公も忙しくクラスの出し物を手伝うが…… 《八章.コックリさん》怒濤の忙しさに見舞われた文化祭も無事に終わりを迎えた。校內には祭りの終わりの寂しさを紛らわせるように新たな流れが生まれていた 《九章.流言飛語》気まずさを抱えながらも楽しく終わった修學旅行。數日振りに戻ってきた校內ではまた新たな騒ぎが起きており、永野は自分の意思に関係なくその騒動に巻き込まれていく 《最終章.古戸萩》校內を席巻した騒動も鎮まり、またいつものような平和な日常が帰ってきたのだと思われたが……。一人沈黙を貫く友人のために奔走する ※一話4000~6000字くらいで投稿していますが、話を切りよくさせたいので短かったり長かったりすることがあります。 ※章の進みによりキーワードが追加されることがあります。R15と殘酷な描寫は保険で入れています。
8 170【WEB版】身代わりの生贄だったはずの私、兇犬王子の愛に困惑中【書籍化】
11月11日アリアンローズ様より【書き下ろし2巻】発売! 伯爵家の長女ナディアは、家族から冷遇されていた。実母亡き後、父は後妻とその娘である義妹ジゼルを迎え入れ溺愛し、後妻はナディアを使用人以下の扱いをしていた。そんなとき義妹ジゼルに狂犬と呼ばれる恐ろしい王子の侍女になるよう、國から打診がきたが拒否。代わりにナディアが狂犬王子の生贄として行くことになった。そして噂通りの傲慢な態度の狂犬王子クロヴィスは、初対面からナディアを突き放すような命令をしてきた。ナディアはその命令を受け入れたことで、兇犬王子は彼女に興味を示して―― ◇カクヨム様でも掲載 ◇舊題『身代わりの生贄だったはずの私、狂犬王子の愛に困惑中』※狂犬→兇犬に変更
8 74異世界転生の能力者(スキルテイマー)
ごく普通の高校2年生『荒瀬 達也』普段と変わらない毎日を今日も送る_はずだった。 學校からの下校途中、突然目の前に現れたハデスと名乗る死神に俺は斬られてしまった… 痛みはほぼ無かったが意識を失ってしまった。 ________________________ そして、目が覚めるとそこは異世界。 同じクラスで幼馴染の高浪 凜香も同じ事が起きて異世界転生したのだろう。その謎を解き明かすべく、そしてこの異世界の支配を目論む『闇の連合軍』と呼ばれる組織と戦い、この世界を救うべくこの世界に伝わる「スキル」と呼ばれる特殊能力を使って異変から異世界を救う物語。 今回が初投稿です。誤字脫字、言葉の意味が間違っている時がございますが、溫かい目でお読みください…。 作者より
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8 186外れスキルのお陰で最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜
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