《【書籍化】誰にもされないので床を磨いていたらそこが聖域化した令嬢の話【コミカライズ】》王宮に派遣される事になりまして
不思議だったけれど、頭の中にふと変な言葉 (例:もっちりもちもち等) が浮かぶのはたまにあることなので、これもそういうやつかなとすぐに忘れて外階段の掃き掃除をしているメアリーを呼びに行く。
「シスターメアリー! 終わりました! どうですか!?」
「えっ!? もう!? 早いね! お嬢様なのにどうした事だろう。手抜きだったらやり直しだよ……って、何だコレ。……始める前より綺麗になってる……」
「當たり前じゃないですか。掃除したんだから」
「いや、そういうレベルじゃなくてだね……何だろう、不思議な覚だ。まるで早朝の朝焼けのような清らかな空気になっている」
「……シスターメアリー。分かりません。朝焼けって空気が違うものなんですか?」
「違うさ。全然、ね」
遠くを見つめるような目で禮拝堂を眺めていたメアリーは、ふと私に視線を向けた。
「ステラは、本當にスキルの儀には出てないんだよね?」
「はい。出ていません」
「そうか……。これは、もしかしたら大変なことかも知れない。慎重にかないと……」
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メアリーは小さな聲でそう呟いている。
よく分からないけれど、彼はこれがスキルの力だと思っている様子……?
失禮しちゃうわ。ちゃんと自分の力で掃いて磨いたのに。
と、それはそれとして、私は自分の中に意外な趣味が出來たことを嬉しく思った。
ドレスの事を考えているより床を磨いているほうがよっぽど楽しいわ。
に心地よい疲れをじながら後片付けをし、こんどは夕食の支度を手伝いに向かった。
でも、こっちはからっきしだった。
ナイフを上手く持てなくて野菜を大雑把にしか切れなかったし、塩加減が分からなくて一つまみを本當に指先で一つ摘まんだだけにして薄いと言われたりして。
料理って、難しいのね。
「ステラはしばらくの間は後片付け専門で」
料理が得意なシスターにそう言われてしまった。
夕食は、二人の神父様と八人のシスターで野菜のスープとパンを頂く。
お互いに名前を呼び合いながら、何でもないような話をして。
質素だけど、今までで一番味しい食事だった。
それから數日は無事に過ぎた。
いや、無事に過ぎていたようにじていただけなのかも知れない。
ある日シスターメアリーはやけに疲れたような顔をして、掃除に勤しむ私に出向を命じてきた。
「王宮でメイドのお手伝いを!? 私がですか!?」
「そう。王侯貴族達の世界に々思うところはあるかも知れないけど……。ステラの実家の件は何とかなりそうだから連れ戻される心配はしなくても大丈夫だ。で、王宮だけど。あそこはね、下働きが大勢必要な割に出りする人間の元にはうるさくて人手が常に不足しているんだよ。あたしの紹介なら喜んで迎えれるのさ。いいかい、これは――ステラに取っても、きっと必要な事なんだ」
「必要?」
「そうさ。きっとね。……落ちぶれた姿を元の知り合いに見られるのは、辛いものがあるかも知れないけど」
「落ちぶれたなんて思ってません。元々知り合いなんてほとんど居りませんし、別に平気です。王宮を掃除して來ればいいんですね?」
「ふふっ、そういう事だね。頑張って來なさい」
シスターメアリーの後押しによって、王宮で下働きをする事になった。
徒歩で門からり、メイド長と面會したのち、ぱりっとしたメイドの制服に著替えさせられる。
すると、メイド長は私にいきなり王族に近い職場を割り當てると言い出した。
その王族というのが、なんと第一王子。
第一王子にも関わらず王太子ではなく、人前にも出てこないというどう考えても深りすべきではない人だ。
そんな人のの回りのお世話を、私がする事になるらしい。
「……かしこまりました。謹んで勤めさせて頂きます」
第一王子かぁ。
社界から隔離されたような生活をしてきたから、どんな人なのか噂程度にも知らないけど……。
何らかの事持ちなのは確実だ。現に、メイド長が第一王子のところに案すると言って足を進めていくのは、どう見ても幽閉塔にしか見えない王宮の敷地はずれの古い建。
王宮の華やかさから一転、窓が極端になくて暗い塔の中の階段を、メイド長は手燭の小さな明かりを頼りに登って行く。
カツーンカツーンと反響する靴音と、私達を拡大したような影が壁にびる。
……幽霊が出そう。
気のせいか、この塔は瘴気が濃い気がする。普段は僅かにしかじない瘴気が、まるで蜘蛛の巣のようにに纏わり付いてくる覚がある。
「……前任者も、シスターメアリーの紹介でったシスターだったのですよ」
「そうなんですか。……そのお方は、今はどうされているのですか?」
「瘴気に當てられて療養中です」
やっぱり!?
ここ、そういう場所だったのね!
なぜ瘴気が濃いのかしら。王宮なのに。
……いや、王宮だからこそ濃いというのはあり得るかも知れない。なんと言っても、國中の富がここに集められてくるし、人々の運命もここで決められているのだ。
良いことも悪いことも等しくこの地に流れ込んで來るとしたら、良いことはともかく悪いことはどこか一ヶ所にまとめて閉じ込めておきたいと思うもの。
それがこの場所だとしたら――ここに閉じ込められている第一王子って、一……?
階段の突き當たりの扉がギィと開かれる。
その時、目に見えるほどの黒くて濃い瘴気が中から溢れ出した。
「ヒッ……!」
こんなに濃いの初めて……!
大丈夫なの!? ここ!
「……ステラ? どうかしましたか?」
「え? メイド長は平気なんですか!?」
「……え? ええ、確かにちょっと不気味だけれど、すぐにお暇するぶんには大丈夫なのよ」
「そんなものですか!?」
「そんなものです」
そう言ってメイド長はしずしずと瘴気渦巻く室に足を進めていった。
うそでしょ!? みんな、これ平気なの!?
真っ黒なのか真っ暗なのか判別がつかなくて怖いけれど、私もおそるおそる室にってみる。
メイド長の手燭があるのに、ほとんど何も見えない。
「セシル殿下。新しいメイドをお連れいたしました。……ステラ、ご挨拶を」
「はい。ステラと申します。よろしくお願いいたします」
暗闇に向かってお辭儀をする。
返事はない。
……本當に存在してるの?
見えなくて分からない。
「ええとね、ステラ。控えの間が橫にあるから、お呼び出しがあるまではそこで待機しててね。それと、調が悪くなってきたら早めに報告をちょうだい。次のメイドを手配しないといけないから」
「は、はい……。かしこまりました……」
控えの間とやらも全く見えないけれど、あると言うのならあるんだろう。
けずに困していると、コツコツと足音が響いてわずかにが差し込んだ。メイド長がカーテンを開けたようだ。
さっきよりは見えるようになったけれど、それでも視界良好とは言い難い。
「じゃ、よろしくね、ステラ。何かあったら報告をちょうだい」
そう言って帰っていくメイド長を見送り、殘された私は途方に暮れた。
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