《【書籍化】誰にもされないので床を磨いていたらそこが聖域化した令嬢の話【コミカライズ】》【改稿済み】☆準聖のお茶會
書籍化に伴い大幅に改稿しております。
ご迷をおかけしますm(_ _)m
どうしましょう。わたし、運命の出會いをしてしまったわ。
王太子様の婚約者が主催するお茶會に出席していたわたしは、突然現れた貌の王子様を目にした瞬間雷に打たれたような衝撃をけた。
あの素敵な人はどうやら王太子様のお兄さん、つまり第一王子様らしい。
暴で怠け者という噂からイメージしていた姿とは全然違う、線が細くて麗しい王子様。
今までどこに隠れていたんだろう――そう思わずにはいられないような、細のから発せられる王家のオーラとでも言うべきものにわたしは圧倒されていた。
どうやらあの王子様を見たことがなかったのはわたしだけじゃなかったようで、周りのお嬢様達も扇を広げてそのでさわさわと囁き合っている。
普段ならこれはわたしの悪口を言っている場面なんだけど、今回は第一王子様の話でもちきり。
言っておくけど、その會話、ほとんど聞こえてるからね。
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みんなも口にしている通り、本當に素敵な王子様だった……。一目でに落ちてしまったわ。
普段は人前に出てこないのに、わたしのピンチの時に颯爽と現れて魔獣をやっつけてくれるなんて――もはや運命としか思えない。
……そうよね、運命よね。
魔獣を倒したらすぐにいなくなってしまったけれど、あの時絶対に私を見ていたもの。
目が合っていたし、「大丈夫か」って心配もしてくれた。
ああ、そうだわ。そういえばお父様、私にあのお方と結婚しろって言っていたのよね。
お見合いを申し込んでおくとも言っていたし……。
はっ、もしかして。お見合いのお話をけて、わたしに會うために塔から降りてきてくれたのかしら!
きっとそうよね。だって釣書に使ったわたしの肖像畫、とっても可く描いてもらったやつだったもの。
もっと目をキラキラにしてとか、もっとを白くしてとか、顎を細くしてとかいっぱい注文したおかげかしら。
あの絵を描かせていた當時はまさか王子様の手元に渡るとは思わなかったけど……頑張って良かった。
「――ちょっとステラ様。何を呆けていらっしゃるの? あなた、スカートの裾に泥がついているわよ。お召替えしてきたほうがよろしいのではなくて?」
意地悪なお嬢さま達のうちの一人が聲をかけてきた。
わたしは、社界ではステラ様と呼ばれている。
お父様いわく、貴族の家の中には名前を名から洗禮名に変えるしきたりがある家があって、我がマーブル家もそうなんだって。
つまりフィオナは名で、ステラがわたしの洗禮名なのだそうだ。
なにもお姉さまと同じ名前にしなくても、と思うのだけど、そういうしきたりならしょうがない。
ちなみに、名の話は社界でしてはいけないというしきたりもあるらしくて絶対にその話題は出すなとも言われている。
瘴気に憑り付かれるぞ、と言われた。
嫌ね、怖いわ。
「ねぇ、ステラ様。聞いているの?」
「はい。泥がついているんですよね。では著替えて參りますね。皆様ごきげんよう」
「それは帰る時のご挨拶ですのよ……。本當にご帰宅なさるなら何も申し上げませんけれど、戻って來るなら“ちょっと失禮いたします”で良いのではなくて?」
「はぁい……」
貴族のお姉さま達ってホント言葉遣いにうるさいし怖いわ……。
お嬢様の生活って、ご飯は豪華だしすごいドレスも著られるし人々はひれ伏すしで楽しいけど、行儀作法は本當に面倒よね……。
なんの意味があるのかしらって思うようなルールも多いし。お友達付き合いも上辺だけってじだし。
もっと心のままに楽しく生きればいいのにってフィオナは思うの。
従者に馬車に積んでおいた替えのドレスを持って來させ、お付きの召使いさんを連れて王宮の一室で著替えをする。
ピンクのレースがふわふわしてて、寶石がたくさんついたドレス。悪くはないけど、ちょっと地味じゃないかしら……。
お父様は「ナウいんじゃないか?」って言ってたけど、第一王子様にふさわしい裝いをするならもっと可くしなくちゃ。
「ねえ、召使いさん。帰ったら仕立屋を呼んでちょうだい」
「……また、ですか?」
「いけない?」
「いえ……。かしこまりました」
すごく何か言いたそうな顔をしているけど、何かしら。
分からないわ。この召使いさん、わたしがお父さまのお家で暮らすようになってからずっと付いてる人だけど……たまにこういう反応をするのよね。
笑った顔も見たことがないし。そういうのって良くないと思うの。
笑顔笑顔! ポジティブにいきましょう?
改めまして…
書籍化とコミカライズが決定いたしました。
それに當たって、反省點も多かった本編を展開ごと変えております。
詳しくは活報告に書きましたのでご覧いただければと思います…。
これから定期的に更新して參りますので、どうかお付き合い下さい。
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