《【書籍化】誰にもされないので床を磨いていたらそこが聖域化した令嬢の話【コミカライズ】》薬師のケリー様
ふっと目を覚ますと、豪華な天井とこちらを見下ろす濃ゆい三人と一羽が目にって、あまりの報量の多さに驚いて飛び起きた。
「いった……!」
背中が痛い。
そうだった。私、はしごから落ちたんだった。殿下が來て浄化をして気絶して……それからどうしたのだろう。
「無理に起きなくていいよ。まだ痛むだろう?」
殿下が肩にれ、ベッドに押し戻してきた。……いや、よく見たらベッドでは無かった。ポチだ。私はポチの上で寢かされていたらしい。
「ありがとうございます……」
お禮を言うと、陛下と王妃様もホッとした表を浮かべる。
「君が寢ている間に宮廷醫に診てもらったのだが、打ち以外に問題は無いそうだ。重傷に至らなくて良かった」
「本當に……。貴、レベルが上がってポチに自分のスキルを使わせたって言ったわよね? そんなの初めて聞いたけど……きっと使いすぎたのよ。スキルを使うとあらゆるものが消耗するから」
「あらゆるもの……?」
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「そう。力もそうだし、神力もそうだし。……浄化と掃除、二つのスキルを自分とポチで同時に使ったのなら倒れるのも當然だわ」
そうか……。確かに、今までもスキルを使った後はそれなりに疲労をじていた。
連攜するとその疲労が倍になるんだわ……。レベルが上がって出來る事が増えたからと調子に乗ってしまった。
「ご……ご迷をおかけしました……」
こまって謝罪をすると、王妃様はため息をついて言った。
「いいのよ。誰でも最初の頃に一度はする失敗だから。……でも、はしごの上じゃないところで倒れてほしかったわ。死んじゃったかと思ってわたくしまで壽命がんだわよ」
「すみません……。あの、これって、慣れれば大丈夫だったりするのですか?」
「慣れもあるけど、力も大事よ。力は全ての基本ね。貴、打ちが治ったらセシルと一緒に筋トレしなさいな」
えっ。……筋トレはいいけど。
「で、殿下と一緒にですか?」
「ええ。だって今のあなた達の力ってきっと同じくらいだもの。丁度いいじゃない。どうせ離れられないのだから。ねぇ? セシル。貴方、ステラから一定の時間以上離れると倒れちゃうのよね?」
「フッ、まぁね」
何故か誇らしげな殿下。そっか……。私、殿下と同じくらいの力なんだ……。
し釈然としないものをじながらのそのそとを起こそうとすると、王家のお三方は揃って止めにってきた。
「なぜ起きようとするのよ。まだ痛むでしょう?」
「そうなのですが、ランランの居場所を作るのは急務ですから」
「無理をすると怪我の治りが遅くなるぞ」
「そうだよステラ。ちょっと待ってなよ。さっき母が薬師の子を呼んだみたいだから、それまで待とうよ」
「薬師?」
聞き慣れない単語が出てきた。薬師。それってもしかして、スキルの名前ではないのだろうか。
「そう。準聖の、ケリー嬢。彼のポーションは怪我によく効くらしいよ」
「まぁ……!」
初めて出會う、フィオナ以外の準聖。正確にはお茶會の現場に突したことはあるけれど、會話をした事は無い。同年代のご令嬢とお會いするのはこれが初めてになる。
「これからお見えになるのですか?」
「そー」
「た、大変です! 相が無いようにしないと! 早くお茶とお菓子の準備を」
「うん。そうだね。でもそういうのは王宮のメイドさん達がやるから君は寢てなさい。薬師さんもさ、怪我人に準備させたなんて知ったらせっかくのお茶も味しさが半減すると思うな」
そう言って殿下は私を安靜にさせる事に功した。陛下といい王妃様といい殿下といい、なぜ王家の方々はこうも人の扱いが上手いのか。
そうでなくては務まらないのだろうけど、殿下はずっと引きこもりだったはずなのに何故……。
ポチの上で橫になりながら考えているうちに、やがて自分自に意識が向いていった。さっきは急激に意識が遠くなったけど、し眠ったおかげか今はなんだかいけそうな気がする。
……さて、どうかしら。連攜でポチ単ならなんとか……?
試しにポチに連攜で力を流し込んでみる。ポチの明なはピカッとり、先ほど王妃様を乗せていた時と全く同じようにき始めた。
「うわっ! ステラ、なにそれ」
「連攜です」
「連攜!? これが!?」
私が喋りながら運ばれていくのを、殿下はぽかーんと口を開けて見ていた。しばらくして口元を抑え、ふいと目を逸らす。そして私を乗せたポチが聖域を作りながら真っ直ぐ進み、壁に當たってくるんと向きを変えた時ついに噴き出して聲を上げ笑い出した。
「なにそれ! なんかすっごい可いんだけど!」
「か、かわっ……!? どこがですか!?」
これのどこにそんな要素が……?
笑いが止まらない殿下をよそにポチは粛々と床を聖域化していき、そうしているうちに大広間の扉がかちゃりと開いた。誰か來たようだ。王妃様は言った。
「あら、ケリー。ごめんなさいね、急に呼び出したりして」
薬師のケリー様! 本當にいらして下さったのね!?
「…………これは、どういう狀況なのでしょうか……?」
ケリー様の聲がする。落ち著いた聲のお方だ。私は慌ててを起こし、ポチから下りて背中の痛みをこらえながら禮を取った。
「お、お初にお目にかかります。ステラと申します。このたびは私めが相をしてしまったばかりにケリー様に貴重なお時間とスキルを使わせていただくはめになってしまい大変申し訳なく」
どんどん早口になっていく私に、橫から殿下がポンと肩に手を置き”落ち著け”と伝えてくる。
王妃様は優雅な仕草でちょいちょいと手招きし、り口に立ったままのケリー様を呼び寄せた。
「説明するからっていらっしゃい。ええと――そうね、侍の皆さんはサロンでお茶でもおあがりなさいな」
そう言うとケリー様の侍さん達は靜かに退いて行き、ご本人だけを殘して扉が閉められた。ケリー様が大広間の中に足を進めて來る、カツカツと響く靴音。
私はじっと頭を下げたままでいたのだけれど、殿下が肩に手を添えて顔を上げるよう促してくる。ようやく顔を上げると、こちらに向かって歩いてくるご令嬢と目が合った。
彼は大地を思わせるブラウンの髪と森のような深緑の瞳の、理知的なしさを持つだった。
ケリー様はまず陛下と王妃様の前でお辭儀をし、それから私の方に顔を向ける。
「……メイド」
ぽつりと、小聲で呟くのが聞こえた。
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