《優等生だった子爵令嬢は、を知りたい。~六人目の子供ができたので離縁します~(書籍化&コミカライズ)》026

インファート王國に戻って來たセレスティーヌは、ブランシェット公爵家の屋敷にお世話になる事になる。

流石に、離婚した妻が滯在するのは外聞が悪いのでは? と遠慮したのだが……。

子供達が許さなくて結局、ブランシェット家に滯在する事になった。エディーは、相変わらず別宅にいてほとんど本宅には現れない。

しかし、今までとは事が変わっていた。エディーの人達は、新しく妊娠した男爵家の令嬢を殘して、皆別宅を去っていた。

セレスティーヌが、ブランシェット家を去る際にエディーに言われてはいたが、本當に皆が実行に移しているとは思わなかった。

今まで、子供達の母親達は何度人がれ替わろうが、エディーの元を離れるはいなかったから。

セレスティーヌは、子供達の母親達が別宅を去った後はどうしたのか気になったので聞いてみると……。

ミカエルの母親以外は、全員新しい人を見つけてそちらで幸せに暮らしているらしい。皆、なんてたくましい人達なのだろうとセレスティーヌは、驚いてしまう。

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子供達曰く、あの父親と二十年も一緒にいれば男へ取りるのは容易いのだとか。

常に、他のを爭っていたので我慢強いし包容力がある。そんなの元に、妻と上手く行っていない男がいたらすぐに落とされる。

そう子供達が言っているのを聞くと、自分達の母親を客観的に見ていてみんな大人になったのだなと心する。

それに決して、嫌っている訳でもなさそうで安心する。それなりに距離を保ちつつ、たまの流は維持している。理想的な関係を維持していて、良かったと思う。

ただ、ミカエルの母親だけはミカエルを頼りにしているようだ。ミカエルに用意させた小さな屋敷に、一人で悠々自適に暮らしている。

それは、ミカエルの責任で、ブランシェット家に迷がかからない範囲でやらせているのだとレーヴィーが言っていた。

セレスティーヌは、將來ミカエルにとって重荷にならなければいいなと思う。

自分だったら、子供の世話になりながら暮らしていくのはちょっと嫌だなと思うから。親子だけれど、それぞれ自立した関係が一番ましいとセレスティーヌは考えている。

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帰って來てからもミカエルとは會っていない。レーヴィーが、ブランシェット家に立ち止にしているらしい。

リディー王國に行くのも、セレスティーヌにれられなかったら、即帰ると約束していたと後になって聞いた。

兄二人で、母上に言われた言葉をしっかり考えろと言い聞かせた。分かるまで、母上には會わせないと宣言したそうだ。

セレスティーヌは、帰って來てからアクセルとレーヴィーにも々と話を聞いた。

概ね、セシーリアが言っていた事と同じだったが……。

ミカエルの事は心配だったが、兄二人がミカエルの事は任せて下さいと言ってくれたので任せる事にした。

こうなってしまった以上、自分に出來る事は何も無いように思えたから。

一度、自分の実家のフォスター家にも顔を出した。

何も気にせずに、ここに帰ってくれば良かったと兄には凄く叱られた。國を出る事は無かっただろうと、辛そうな顔で言われてしまった。

だからセレスティーヌも、兄に正直に話をした。ここでは、私らしく暮らしていけないと思った事を。

國を出てみて、自分がどんなに息苦しかったか知る事が出來た。リディー王國では、毎日が楽しくて本當の笑顔でいられたのだと。

だから、こちらでの用事が終わったらまたリディー王國に帰りますと告げる。兄は、とても寂しそうだったけど分かって貰えたようだった。

今度は是非、兄にもリディー王國に遊びに來てもらって自分の生活を見て貰いたい。

セレスティーヌは、レーヴィーの爵位の継承を祝うパーティーとセシーリアの結婚式の準備に追われていた。だからか、日が経つに連れ早くリディー王國に帰りたいと思うようになる。

もう、セレスティーヌにとって、リディー王國の方が帰る方なのだと慨深い。

エヴァルドとは、頻繁に手紙のやり取りをしている。

會えなくなってからセレスティーヌにとって、エヴァルドがどれだけ大きな存在だったのかを知ってしまう。

最後に言われた一言が、気になって仕方がない。バルコニーに出て夜空を見上げると、會いたいなと思う。あの穏やかで、優しい聲が聴きたいなと思ってしまう。

エヴァルドに託されたエメラルドの指は、チェーンを通して首からぶら下げていた。いつもエヴァルドをじられるように。

もう自分を誤魔化しきれなくなっている。この思いが、なのだとしたら私はどうしたらいいのだろう……。

セレスティーヌのめている思い。それは、もう子育ては遠慮したいと言う事。

誰かと再婚したとしても子供はみたくなかった。それに年齢的にも、難しいと思う。だから、誰かと再婚する事になっても子供がもう必要ない人の元へと考えていた。セレスティーヌにとって、公爵家の當主だなんて一番縁遠い人だ……。

世継ぎを殘さなければいけない人を好きになるなんて……。どうすればいいのかわからない。

そんな事ばかり考えていたら、セシーリアに気づかれてしまった。

「お母様、最近どうしたの? 何だかいつも溜息ばかりよ?」

二人でリビングでお茶を飲んでいたら、そう言われてしまった。

セレスティーヌは、無意識に溜息をついていたらしい。これでは駄目だと、姿勢を正す。

「ごめんなさい。大した事じゃないのよ。しっかりしないと駄目ね」

セレスティーヌが、セシーリアに答える。

「もう、お母様はすぐにそうやって溜め込む。お母様だって、たまには弱音を吐いたっていいのよ。もしかして、グラフトン公爵様がしくなってしまわれたとか?」

セシーリアが、冗談じりに聞く。セレスティーヌは、図星を突かれて揺する。

「ちっ違うわよ。そんなんじゃないのよ」

セレスティーヌは、お茶を飲みながら誤魔化す。セシーリアは、冗談で言ったつもりがどうやら図星だったようだと気づく。

「何だ、會えなくて寂しいだけですか……。なら良かった。みんな何かあったのかと心配しているんですよ」

セレスティーヌは驚く。まさか子供達みんなに心配されていたとは……。反省する。

「そう言うのでは、ないのだけど……。でも、心配するような事じゃないから大丈夫よ」

セシーリアは、呆れる。こんなに分かり易いのに、まだとぼける気なのかと。

「お母様……。別にお母様に好きな人が出來たからって、誰も反対しないですよ。むしろ、みんな賛で応援しますよ?」

セレスティーヌは、下を向いて俯いてしまう。そして、ポツリと弱音をらす。

「だって……。違うのよ。私、相応しくないのよ……」

セシーリアは、それを聞いて嬉しく思った。やっと弱音を吐いたなと。

「お母様。何が相応しくないのか分かりませんが……。きちんと相手に聞いてみるべきですよ。都合を考えてなんて出來ないです。グラフトン公爵様は、話し合える人でしょう?」

セレスティーヌが、顔を上げる。びっくりした顔をしている。

「セシーリアは、婚約者の方と話し合っているの?」

セシーリアが頷く。

「私、婚約者とは嫌な事とか、好きな事とか、やってしい事とか何でも話し合っていますよ。私、結構我儘だから、窘められる事だってあるけど……。その時はムッとするけど、時間を置くと納得できるんです。そう言う関係が、私好きなのですわ」

セレスティーヌが、セシーリアの言葉を聞いて考え込んでいる。

自分一人で決めつけていたけど……。この思いを話してみてもいいのだろうか……。でも、セシーリアの場合二人は好き合っているからで……。思考が堂々巡りになる。

「でも、セシーリアの場合は好き合っているからできる事じゃないの?」

セシーリアが、お茶を口に運ぶ。そして、にっこり笑顔で答える。

「じゃあ、お母様の場合は、好きですって告白する所からですわ」

告白……。セレスティーヌは思ってもみなかった事を言われて放心する。自分が告白するなんて、考えてもみなかった。

でも確かに、エヴァルド様が自分の事を好きかどうかもわからない。それなのに、子供がと考えるだけ無駄なのでは? と思うと恥ずかしくてたまらない。

自分に告白なんてものが出來るのか疑問だったが、まずはそこからだと思うと何だか心が軽くなった。

「セシーリア、ありがとう。子供にアドバイスを貰うなんて何だか恥ずかしいわね」

セレスティーヌが、頬を赤らめながら言う。

「だって、面では私の方が先輩なのだから仕方ないのではなくて?」

セシーリアが茶目っ気たっぷりに、言葉を発した。セレスティーヌは、確かにと思うと笑いが込み上げてきた。

「ふふふ。確かにそうね」

そう言って、二人で笑い合った。

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