《【書籍化】世界で唯一の魔法使いは、宮廷錬金師として幸せになります ※本當の力はです!》23.弱強食④
私のに災難が降りかかったのは、その數日後のことだった。
錬金師工房の端っこで素材の數を數えてリストに記していた私は、先輩に聲をかけられた。
「フィーネさん。今日の夕方、ローナがあなたにサポートをお願いしたいみたいなの」
「わ、私でしょうか……!?」
私に聲をかけてくれたのは、この工房を取り仕切るローナさんの片腕とも言える存在の方。魔力量や知識に優れていて、ローナさんと同じように皆から憧れられている人だ。
ドキドキしながら目を瞬く私に、先輩は紙を手渡してくる。
「今日、この魔法道を生するみたいなのだけれど……溫度や素材の質の管理を任せられるアシスタントが必要なんですって。それでね。ローナは、フィーネ・アナ・コートネイ、あなたをご指名なの」
「!?」
息を呑んで私たちの會話を見守っていた工房が、ざわりとどよめいた。
待って。わ、私にこんな大役を……?
信じられなくて、渡された紙を見る。そこに書いてある設計図の概略や素材は、特別な魔法道の試作品に関するものだった。
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工房を取り仕切るローナさんのような錬金師には、國から特別な仕事がたくさん集まる。それをサポートできることは、見習い錬金師やかけ出しの錬金師たちにとって憧れの任務のひとつで。
だから、ただの薬草園メイドの私がこんなふうにけてはいけないお仕事だと思う。
「わ……私の本業は薬草園勤めのメイドです。こんなお仕事、務まりません」
「あら。あなたの名前で面白い魔法道がギルドに登録されたことを知っているわ。私もローナも、設計図を見せてもらって驚いたの。隨分面白いし、魔石も素晴らしかったわ。しっかり勉強しているんだなって」
「あの、でもそれは……」
レイナルド様に手伝ってもらったものなのです、と説明しようとしたけれど、周囲の突き刺さるような視線に言葉が続かない。この工房の空気は完全に凍りついてしまっているのがわかる。
……どうしよう。
先輩は私の焦りを気に留めることなく、空気を読まずにニコニコと続ける。
「そんなに気負わずに頑張ってみて? いい勉強になるわよ。ローナは今外出中だけれど、夕方には戻るわ。それまでにこの紙に書いてある素材を集めてくれるかしら。もちろん、最適な狀態でね」
「は……は、はい」
勢いに押されて思わず承諾してしまった。私は震える手で渡された紙を握りしめる。
「ほら、みんな手が止まってるわよー?」
工房の凍りついていた空気は、先輩の一言でまたき始めた。けれど、それは表面的なものだとわかる。恐る恐る周囲に視線を送ると、皆がふいと視線を逸らしていく。
でも、皆の気持ちも痛いほどにわかるだけに、どうしたらいいのかわからない。
「だから言ったじゃない。でも、こんなんじゃ済まないわよ。アナタ、もっと気をつけたほうがいいわよ」
立ち盡くす私の耳元で、ミア様が囁いて去っていく。
この前、カーラ様とシェリー様に問い詰められていた私を助けてくれたミア様。私はミア様が苦手だけれど、今日ばかりは追いかけたい気持ちになってしまった。
「その素材を集めるなら、いつもの隣の倉庫じゃなくて保管庫が良さそうだな」
聲をかけられて顔を上げると、そこにはデイモンさんがいた。デイモンさんは、この前保管庫で作業をしていたときに偶然聲をかけてくれた先輩で。
「は……い。確かに、向こうのほうが最適なものを揃えられそうです。わ、私、保管庫まで行ってまいります」
「――気をつけて」
デイモンさんに見送られて、私は保管庫に向かったのだった。
「……?」
數分歩いて辿り著いた古い扉の前。何か気配をじた私は周囲をきょろきょろと見回していた。けれど、誰もいなくて。
誰かがいるように思えたのは気のせいだったのかな……。
違和を片づけた私は、古い扉に手を掛ける。ギイと音がして開いたその先は、私が大好きなもので満ちる空間だ。
薬草やハーブの香りと、いろいろな石や布、砂や水、あらゆる特別な素材の気配。それが刺々しい空気に疲れた心に沁み渡って、思わず目を閉じてしまう。
――けれど。
「あれ、フィーネ?」
聞き慣れた先客の聲。ゆっくりと深呼吸をしていた私は、驚いて目を開けた。
「フィーネも素材を取りに來たの?」
その先に見える、青みがかった黒髪と空の瞳。優しく微笑みかけてくれる姿に、さっきまでの空気に死にそうだった私は心からほっとして表が緩んでしまう。
「……レ、」
その人の名前を呼ぼうとした瞬間、背後の扉でガシャン、ガチャガチャ、と音がした。
「!?」
慌てて後ろを振り向くと、古い扉はきっちり閉まっていた。外から鍵をかけられたようで、手をかけても開く様子がない。
「ま、待って……!?」
「どうかした?」
異変に気がついたそ(・)の(・)方(・)が、手にしていた素材の束を棚に戻して扉のところまで來てくれた。すっかりの気がひいて手が冷たくなってしまった私は、震える聲で彼に伝える。
「レ、レイナルド様……。どなたかに、鍵をかけられてしまったようです」
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