《【書籍化】世界で唯一の魔法使いは、宮廷錬金師として幸せになります ※本當の力はです!》25.弱強食⑥
子どもの頃の私は、夏になると毎年湖畔の別荘地・スティナを訪れていた。
それはお父様やお母様がまだ生きていた頃のことだから、まだ10歳にも満たない頃の話で。
お兄様と一緒に湖畔の周りを散策したり、錬金に使えそうな素材を見つけたり。別荘には珍しい魔法書も置いてあって、辭書を引きながら一生懸命読んだりもした。
土と木々とお日様の匂いが混ざった、幸せな記憶。
まさか、子どものころにあの場所をレイナルド様も訪れていたなんて。それは『魔法を見た』という言葉とどうしても無関係とは思えない。私の鼓は次第に高まっていく。
「ま……魔法は、いつ、どこで見たのですか」
「湖に落ちたんだよね。風が強い日で、飛ばされた栞を摑もうとしたらそのまま落ちた。泳げないわけじゃなかったけど、服が水を吸って意外とけなくて困ってた」
「……!」
私、その場面を知っているかもしれない……! 手の中にじんわりと汗がにじむ。
夏の暑い日、午後にお兄様がテラスで眠ってしまったことがあった。ずっと座っていてが痛くじた私は、読んでいた魔法書を置いてひとり散歩に出ることにした……気がする。
Advertisement
そして、森の中を歩いて湖畔にたどり著いた。湖畔には大きなお城が立っていて。素敵だなぁと思って眺めていたら、そこに男の子が現れたのだ。
私と同じぐらいの年齢に見えるけれど、彼は背筋がびていてどこか違った。特別な空気を放つ彼から目が離せずにいたら、彼は湖に落ちてしまった。……そして。
「水で龍を形作る魔法……」
「……龍?」
無意識のうちに呟いたと思った時にはもう遅かった。
私の顔をレイナルド様の空の瞳が覗き込んでいる。ここはしだけ薄暗いけれど、レイナルド様を見るだけで私はき通ったそのを思い出してしまう。
「い、い……いえ、何でもないんです。そ、それで、レイナルド様はどうやって湖から上がったのですか」
「うん。急に湖面がせり上がって、大きな水の流れと一緒に桟橋に押し出されたんだ。一瞬のことだった」
「……!」
レイナルド様の思い出話に、私は言葉が出ない。だって。
――私、湖に落ちた男の子に『水で龍を形作る魔法』を使った。
魔法伯家にある魔法書はさまざまなもの。初級魔法から忌魔法まで全ての管理が任されているのは魔法伯家の特権だった。もちろん、霊はもういないと思われているからそれも形式的なものにすぎない。
水で龍を作る魔法は上級魔法だったけれど、私はその呪文の響きがとても気にり一度で覚えてしまった。
男の子が湖に落ちたことに気がついたとき、咄嗟に出たのがその呪文だった。
子どもは魔力量がないから、湖面がせりあがるくらいで済んだ。過去、スウィントン魔法伯家を支えてきた大人の偉大な魔法使いが唱えていたら、湖上には大きな龍が現れていたことと思う。
無我夢中だったけれど、無事にその子を助けられたことにほっとして、私は震える足を何とかかして森の奧の別荘に戻った、ような……。
――つまり。あの男の子ってレイナルド様だったの……!?
「あのとき、湖で霊に助けられたのは俺の原點。魔法のことがもっと知りたいと思ったし、一気に夢中になったんだ」
驚きで何も言えない私だったけれど、レイナルド様の言葉が大いに引っかかる。
せ、霊に助けられたって、なに……?
「あ、あの。レイナルド様を助けたのは霊だったのですか……?」
「ん。遠くに白いワンピースを著た天使みたいな子が見えたんだ。その佇まいが人間とはどうしても思えなかった。それに魔法を使える人間がいないのは知っていた。だから、霊そのものなのかって」
待って。私が天使で霊ですか……!?
違います……! 全力で否定したい。當時のレイナルド様は湖に落ちたショックで取り返しのつかない勘違いをされてしまったみたい……!
しかも、大人になってもまだその勘違いを信じ続けているのがしだけ面白いところで。
私も同じ。好きなものに関することは、最初のをそのままずっと大切にしたくなってしまうから。……例え、答えが違うとわかっていたとしても。
また似ているところに気がついたと思ったら、なぜかうれしくて笑ってしまった。
「その街……私も行ってみたいです」
「フィーネならそう言うと思った。今度案するよ」
らかなレイナルド様の視線にほっとする。さっきまで張で冷たくなっていた指先は、すっかりいつも通りになっていた。
目を合わせて笑い合うと、レイナルド様の聲ががらりと変わった。
「ところで、フィーネ。茶い短髪の男に覚えはあるかな? がっしりめの長で、につけているローブは見習いのものなんだけど」
「!」
それは、さっきここで素材を集めることを勧めてくれたデイモンさんのこととしか思えなかった。
- 連載中351 章
外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。
【一話1000字程度でスマホの方にもおススメです!】 主人公は魔導學校を卒業し、スキル【即死《デストラクション》】を手に入れる。 しかしそのスキルは、発動すれば自分が即死してしまうという超外れスキルだった。 身一つで放り出され、世界を恨む主人公。 だが、とある少女との出會いをきっかけに、主人公は【即死】の隠された能力に気付く。 「全て、この世界が悪いのよ。この世界の生きとし生けるもの全てが」 「……ふうん。で、仮にそうだとして、君はどうするんだ」 「私の望みは一つだけ。ねえ、私と一緒にこの世界を滅ぼさない?」 「すっげー魅力的な提案だね、それ」 最強の力を手に入れた主人公は、少女と共に自分を見捨てた世界に復讐を果たすことを決意する。 隠れ最強主人公の、復讐無雙冒険譚。 ※カクヨムにも改稿版の投稿始めました! ご一読ください! https://kakuyomu.jp/works/1177354054893454407/episodes/1177354054893454565
8 180 - 連載中93 章
【書籍化】探索魔法は最強です~追放されたおっさん冒険者は探査と感知の魔法で成り上がる~
※BKブックス様より第1巻好評発売中! リーダーやメンバーから理不盡なパワハラを受け、冒険者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者ロノム。 しかし、趣味に使える程度だと思っていた探査と感知の魔法は他を寄せ付けない圧倒的な便利さを誇っており、全てのダンジョン探索がイージーモードになるような能力だった。 おっさん冒険者ロノムはその能力もさることながら、人當たりの良さと器の大きさもあって新パーティのメンバーや後援者、更には冒険者ギルドや國の重鎮達にも好かれていき、周りの後押しも受けながらいつしか伝説の冒険者と呼ばれるようになっていく。 一方、知らないところでロノムの探査魔法にダンジョン攻略を依存していた前のパーティーはどんどん落ちぶれていくのであった。 追放によって運が開かれたおっさん冒険者のサクセスストーリー。
8 67 - 連載中67 章
【書籍化・コミカライズ】竜神様に見初められまして~虐げられ令嬢は精霊王國にて三食もふもふ溺愛付きの生活を送り幸せになる~
魔法王國フェルミ。 高名な魔法師家系であるエドモンド伯爵家令嬢ソフィアは、六歳の時に魔力判定でゼロを出したことがきっかけで家族から冷遇される日々を送っていた。 唯一の癒しはソフィアにしか見えないフェンリルの『ハナコ』 母にぶたれても、妹に嫌がらせを受けても、ハナコをもふもふすることで心の安寧を保っていた。 そんな彼女が十六歳になったある日。 ソフィアは國家間の交流パーティにて精霊王國の軍務大臣にして竜神アランに問われる。 「そのフェンリルは、君の精霊か?」 「ハナコが見えるのですか?」 「……ハナコ?」 そんなやりとりがきっかけで、何故かアランに求婚されてしまうソフィア。 家族には半ば捨てられる形で、あれよあれよの間にソフィアは精霊王國に嫁ぐことになり……。 「三食もご飯を食べていいんですか?」 「精霊國の皆さん、みんなもふもふ……幸せです……」 「アラン様と結婚できて、本當によかったです」 強制的に働かされ続け、愛も優しさも知らなかった不器用な少女は、精霊王國の人たちに溫かく見守られ、アランに溺愛され、幸せになっていく。 一方のフェルミ王國は、ソフィアが無自覚に國にもたらしていた恩恵が絶たれ崩壊への道を辿っていて……。 「君をあっさり手放すなぞ、エドモンド家は判斷を誤ったな。君の本當の力がどれだけ凄まじいものか、知らなかったのだろう」 「私の、本當の力……?」 これは、虐げられ続けた令嬢が精霊國の竜神様に溺愛され、三食しっかり食べてもふもふを堪能し、無自覚に持っていた能力を認められて幸せになっていく話。 ※もふもふ度&ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。
8 135 - 連載中17 章
俺の得能は「平凡」だった。
この世界には1000人に一人「得能」を持つものが生まれる。 「得能」すなわち得する能力のことだ。サッカーが圧倒的に上手くなる得能や足がめちゃくちゃ速くなる得能、種類は様々だ。 その得能を所持して生まれてきたものは高校から得能を育成する學校、「得能育成學校」に行くことになる。 俺、白鳥伊織はその一人だった。だがしかし! 俺の得能は「平凡」であった。 この話は平凡な俺がある出來事で成長する話。
8 149 - 連載中46 章
突然不死身という最強の能力に目覚めちゃいました
西暦2200年地球には2種類の人間が存在するようになっていた。 1種は昔からいたいたって普通の人間、もう1種は生まれながらにして特殊能力を持った人間つまり超能力者だ。 そして今世界では特殊能力を持った人間を中心とした格差社會が起きていた。通う學校、働ける職場、仕事の基本給、その他etc、全てにおいて超能力者が優遇されていた。 學校に関しては小學校までは同じ學校へ通うが、中學、高校は、舊人と超能力者では通う學校が違く、さらに超能力者に関しては受験を受けなくても能力がと言う理由だけで進學をすることができる。もちろんその先にある就職だって同じようなものだ。その職場に適した能力があれば簡単に入社できる。それだけじゃな給料だって高卒で入っても同じ條件の舊人の倍はもらうことができる。 そんな世界で超能力者 神谷 玲は舊人つまり無能力者として暮らしていた。
8 119 - 連載中14 章
怪奇探偵社
初めて小説書いてみました…!しぃです!連載続けられるように頑張ります!怖いの苦手な作者が書いているので、怖さはあまりないです! 2話まででも見て行って! この作品、主人公は戀愛無いです!ただ、その他のキャラにそういう表現が出るかもしれないです。 ーいわゆる取り憑かれ體質の主人公、柏木 蓮(かしわぎ れん)は、大學卒業後も面接で落ちまくっていた。 理由は會社や面接官に取り憑いてる悪霊怨霊達に取り憑かれまくり、生気を吸われて毎回倒れるから。 見える憑かれると言っても誰にも信じて貰えず、親には絶縁される始末。金も底を盡き、今日からはホームレス達に仲間に入れて貰えるよう頼むしか… フラフラと彷徨い、遂に柏木は倒れてしまってーー
8 187