《スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました★スニーカー文庫から【書籍版】発売★》ビューティーアルビノガール

「そしてこっちが」

詩冴の白い指先が、MR畫面をスライドさせた。

「五歳の時に撮ったエゾヒグマちゃんとのスクショっす♪」

「ッッ!?」

俺を絶句させた畫像に映っていたのは、ボスモンスター然とした怪だった。

まずデカイ。

背中にまたがる詩冴が五歳児であることを考慮しても、まるでおひな様のように小さく見える。

な剛越しにもわかる重厚な筋の隆起――移要塞かな?

分厚くも鋭利で先端が尖り、灣曲した長い爪――ニンジャのかぎ爪かな?

太すぎて頭とを一化させてしまう首――巨木の幹かな?

「ちょっと待て、何かがおかしい。俺の知っているクマと違う。これはあれか? CGのフェイク畫像か何かか?」

「え? あーあれっすね、イクオちゃんが言っているのは【ツキノワグマ】のことっすね。これは北海道固有の【エゾヒグマ】ってクマっすよ」

あっけらかんと、詩冴は笑った。

「エゾヒグマ?」

「そうそう。ツキノワグマは長110センチで重80キロのチビクマちゃんで」

Advertisement

――重80キロはチビクマなのか?

「エゾヒグマは大きい子だと長270センチ重400キロ、噛む力は800キロ、走るスピードは時速65キロ、川を泳ぎ木に登り、牛やライオンはワンパンキルで頭蓋骨でライフルの弾を弾く、別名山神キムンカムイ、または邪神ウェンカムイっす」

「バケモンだろ! 北海道の生態系レギュレーションどうなってんだよ! そんな奴がそこら辺を闊歩してるとか北海道怖すぎるわ!」

「いやいや、それは本州の人の勘違いっすよ。いくら北海道でもクマがそこらへん歩いているわけないじゃないっすか。山のふもとの町に時々降りてきてニュースになるぐらいっすよ。う~んただぁ……」

瞳からスゥッとハイライトが抜けて、詩冴の顔は、樹海の怨霊もかくやというほど暗くなった。

「山から下りてきたクマを撃つのはカワイソウとか言っている人は【三別羆事件】でググってしいすよねぇ……安全圏から無責任なこと言うなよ、こっちは命かかってんだよ……山に帰してもすぐ降りてくるしイタチごっこだし、そのたびに何人死ぬと思ってんすか……」

「さんけべつ? え?」

「日本史上最大の獣害事件っす。村の全住民が避難して軍隊の出を視野にれつつ、銃火と日本刀で武裝した和人アイヌ連合討伐軍270人を員しても仕留められなかったっす。イクオちゃんはググっちゃダメっすよ」

ウフフフフ、とホラーマンガみたいに笑い、詩冴は脅してきた。

「お、おう、とりあえずググるのはやめとくよ」

「それにしても本州のはちっちゃくて可いっすね。北海道のってみんな大きくてモフモフのプクプクっすから。おーよちよち」

ころりと表を変えて、詩冴は牡鹿の頭をで始めた。

テンションの切り替えが早すぎる。

「モフプクも可いけどな、ていうかその可いのをお前は食加工工場へ送るのはいいのか?」

「うん? そんなこと言ったらイクオちゃんだってヒヨコちゃんやコブタちゃんは可くないっすか?」

「それは……」

「この辺のはわからない人には一生わからないと思うんすけど、が好きで可いのと食べる食べないは何も矛盾しないなんすよ。ていうか他の生きを食べるのは自然な行為でそれに善悪をつけるのが傲慢なんすよ。それにを食べるのは殘酷で植を食べるのは殘酷じゃないってのはダブルスタンダードでしょ?」

牡鹿をでながら、詩冴の笑顔は落ち著いた雰囲気に変わる。聲も、どこか大人びた、穏やかな語調になる。

「ただ一つ言えることは、畜産家はみんな、牛や豚を可がっているし、この子らに養って貰っているって姿勢でお世話しているっすよ。社畜、なんて言葉があるけど、家畜のほうが何萬倍もと敬意をかけて貰っているんす」

「ッ」

そう語る彼の橫顔に、一瞬、ドキリとさせられた。

今の詩冴は、無償ので全てをれる聖のように、慈に満ちていた。

そして、彼は俺の方をまっすぐに見つめて言った。

「それにぃ、イクオちゃんだって可い子ほど食べたくなるでしょ? 的な意味で」

「臺無しだよ!」

詩冴は、よこしまなにまみれた邪悪な顔で笑った。

「サユリちゃんのおっぱいハンパないっすよね。あ、イクオちゃんと一緒にいたミイナちゃんとマイコちゃんもマジ巨で驚いたっす」

峰や舞をそういう目で見るなよな」

両手の指をわきわきとみだらにかす純白のアルビノ子に、俺はツッコんだ。

「いやいや、シサエは自分よりおっぱい大きい人をリスペクトしてるだけっすよ? ほら、巨ってご利益ありそうでしょ?」

言いながら、詩冴が両手を頬に當ててをくねらせると、彼が大きく揺れた。それを見ないようにしながら、俺は彼の手をつかんだ。

「はいはい、お馬鹿言ってないで次の現場に行くぞ」

「ぃやん、冷たくしちゃいやっす♪」

――次の現場に行ったら、すぐ峰のところへ避難しよう。もうすぐ10分経つし。

沈鬱なため息をつきながら、俺はテレポートをした。

    人が読んでいる<スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました★スニーカー文庫から【書籍版】発売★>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください