《スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました★スニーカー文庫から【書籍版】発売★》ネタバレ! 監視役はです!

「戻ったか。今日もご苦労様だったな」

俺、峰、詩冴が総務省の會議室に戻ると、早百合部長が労ってくれた。

あれ以來、俺ら三人は一緒に帰るのが日課になっている。

俺が連れ戻してきた能力者たちが、総務省の職員たちに果報告をする橫で、峰は早百合部長に尋ねた。

「お疲れ様です。早百合部長、プロジェクトの進捗狀況はどうですか?」

「うむ、貴君らのおかげで順調そのものだぞ。稲が都市鉱山から金屬資源をこそぎ採掘するおかげで、究極のリサイクル制ができている。明日から、國の各メーカーへ金屬資源の販売を行う予定だ。まだ貴君らのことは世間に公表していないから、表向きは政府の備蓄資源を解放したとしているがな」

他にも、探知能力者が鉱脈を探知して、地形作能力者地中から鉱石を掘り起こしている。

けど、鉱石から金屬のインゴットを作るのには手間と時間がかかる。

海からいきなり金屬塊を作れる峰の能力は、本當にチートだ。

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「食料も、牛は不足しているが代わりに鹿が、豚の代わりに豬が市場に流れる制を構築中だ。警察班の活躍で未解決事件は一日100件解決しているし、行方不明者も毎日200人以上見つかっている」

「そうなると、殘りは農作類、燃料ですね」

「それについてだが、燃料は政府の備蓄を解放、類は日本円が使えないから今まで稼いだ外貨で輸、農作と砂糖は、貴君が再構築した金銀プラチナで、東南アジアから輸する予定だ」

今の説明に違和を覚えて、俺は口を挾んだ。

「どうして東南アジアからなんですか?」

「先進國の調査能力では、流通量や品質から、貴金屬のインゴットを超能力で作り出していることがバレるかもしれないからだ。とはいえ、東南アジアには日本國民の需要を満たすだけの野菜や穀の余裕がない。輸は果が多くなるだろうが、國民のビタミン不足は補える。農林水産省の働きかけて果食の宣伝をしよう」

「ハチミツの生産量も數倍っす♪」

「お前が王蜂を増やしまくったからな」

普通、王蜂候補の蟲は數匹いるが、爭いを経て、実際に王蜂になれるのは一匹だけらしい。

なのに、詩冴は養蜂所へ行くと、王蜂候補の蟲を増やしつつ、さらにミツバチ同士の爭いをじて、全ての王候補蟲を王蜂に育てるよう働きかけた。

結果、詩冴が周った養蜂所は、ハチミツの生産量が數倍になる見込みだった。

「じゃあ俺らは報告が終わったら帰りますね」

「待て奧井育雄、貴君の処遇について、上層部より辭令が下った」

「え?」

「言いにくいのだが、貴君のテレポート能力を危険視する者がいる。彼がその気になれば、立止區域への出りも自由ではないのかとね。何か犯罪を犯しても、一瞬で現場から立ち去れる、と」

「いや、そんなことしませんよ。なんなら毎日舞にサイコメトリーしてもらって俺がいつどこにテレポートしたから報告してもいいですよ。舞!」

犯罪者予備軍扱いされて、カチンと來た俺は、つい怒鳴っていた。

「大きな聲出してどうしたの奧井くん?」

職員の人に果報告をしていたらしい舞は、不思議そうな顔で駆けてきた。

「これから毎日俺をサイコメトリーして俺の潔白を証明してくれないか? 上層部が俺を犯罪者予備軍扱いするんだ」

「えっ!? 毎日!?」

何故か、舞はぽっと頬を染めて、顔をちょっと逸らした。

「毎日なんてしたらわたしも魔が差しちゃったら困るし」

「ん、どうした? 聲が小さくて聞こえないぞ?」

詩冴が、舞の肩をわしづかんだ。

「わかるっすよその気持ち。シサエがサイコメトリー能力を持っていたら間違いなくイクオちゃんの癖をサイコメトリーするっす!」

「ふゃ!?」

「やめい」

頭に空手チョップをれるジェスチャーをして、俺は詩冴を撃退した。

「まったく、舞はお前と違ってイイ子なんだからな」

「そうっす、シサエは悪い子っす。だから何をしても許されるんす♪」

「どんな理屈だよごら。ん、どうした舞?」

舞は、今すぐにでも巖に頭をぶつけて自殺しそうなくらい申し訳なさそうな、良心を痛めた顔で肩をめていた。

「産まれてきてごめんね奧井くん」

「何があったかわからないけどお前はうちの子のマイナス1倍の価値があるから安心しろ」

「マイナス?」

「うちの學校の子共は存在がマイナスだ。マイナスを掛け算しないとプラスにならない」

「あは、なにそれ」

舞は、目じりに涙を溜めて、笑ってくれた。

舞を笑わせられたことに、ちょっと達を得る。

「さてと、いいじにイチャラブしたところで本題なのだが」

「イチャッ!?」

舞は、両手で顔を覆ってうつむいてしまった。

――舞って一生いじられ役なんだろうなぁ……。

「そういうわけで奧井育雄。上層部の命令で、貴君にはボディーガードの名目で監視をつけることになった」

「監視ですかっ?」

スキンヘッドでサングラスをかけた怖い顔の軍人が、四六時中張り付いてくる妄想が浮かんで、俺は素っ頓狂な聲を上げた。

そんな青春は絶対に嫌だ。

「心配しなくても、形だけの監視役だ。貴君を警戒する政治家へのパフォーマンスだと思ってくれていい。だから監視するのは、戦闘系能力者だ。初日に、サイコメトリーをけた子らがいただろう? あの中の一人だ」

「な、なんだそうですか」

戦闘系能力者、と聞いた瞬間、坂東が頭に浮かんで肝が冷えた。

萬が一にも坂東が俺の監視役になんてなったら、俺は東京灣に飛び込みたくなる。

「明日、貴君の學校に転校する手はずになっている。誰が行くかは、それまでのお楽しみだ」

「今っすよマイコちゃん! イクオちゃんのに監視されたいというSUKEBE心をサイコメトリーするんす!」

「ふゃ!?」

舞を便利グッズ扱いすんなっ」

本日二度目の空手チョップを構えた。

早百合部長も、峰も、楽しそうに笑っていた。

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