《スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました★スニーカー文庫から【書籍版】発売★》途中経過

桐葉とみんなの距離がまってから一週間が経った4月24日火曜日の夕方。

峰を連れて総務省の講堂へ帰ると、早百合さんが聲をかけてきた。

「今日もご苦労だったな。変わりはないか?」

「はい、問題ありません。それよりも、量は足りているんですか? 必要なら殘業しますよ?」

稲――一週間前のパーティーから、名前呼びの風になっている――の提案に、早百合部長は首を橫に振った。

「その必要はない。貴君のおかげで、國の金屬需要には全て対応できているし、むしろ備蓄すら増えている。これ以上、貴君のプライベートを犠牲にする必要はないさ」

稲大活躍だな、てか日本政府お前に頼り過ぎじゃないか?」

「いやいや、恥ずかしいからそんなに持ち上げないでよ」

「だが、実際に稲を含め、貴君らの活躍には頭が下がるよ。財政破綻して日本円の価値がなくなり、日本は何も輸ができなくなってしまった。金屬、類、食料、燃料不足は深刻だ。だが」

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品よく微笑を浮かべながら、早百合部長は滔々と言いあげた。

稲の力で國の金屬需要すべてを賄いつつ備蓄を増やし、金銀などの貴金屬も富だ。おかげで、金銀で東南アジアから綿を、マレーシアやニュージーランドから羊を輸し対応できている。食料もそうだ」

視線を、し離れた場所で果報告中の詩冴へ向けた。

「枝幸詩冴の力で漁獲高は倍増し、南首都圏と離島から外來生は一掃され、鹿と豬による畑の被害も無くなった。同時に、キョン、ハクビシン、アライグマ、鹿、豬のを流通させることで食不足問題は解決。農産不足は、金銀で東南アジアから輸することで解決している。また、これら金屬資源、類、食料は全て、企業が政府から買っているため、早くも政府には2兆円を超える収を確保している。これで、なくとも今月の公務員の給料と公共工事費の支払いはできそうだ」

続けて、早百合部長の視線は、職員に果報告中の舞たちを捉えた。

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「警察班のおかげで、捜査費用はかからないしな。既に一萬件以上の未解決事件が解決して、失蹤者の行方も、二萬人分が明らかになっている」

つまり、まとめるとこんなじらしい。

資不足

・金屬資源 稲が海から生

稲が生した金銀で輸

・農産 稲が生した金銀で輸

・水産 詩冴が魚を漁港に導。

・食 詩冴が捕まえた鹿と豬、外來生たちで賄う。

節稅

・警察捜査費用 探知、念寫、サイコメトリー能力者たちで事件解決。

・環境対策費用 詩冴の能力で外來生を一掃。

「そうなると、あとは燃料問題ですね。そっちはどうなっているんですか?」

俺の問いかけに、早百合部長はし眉を寄せた。

「難しいな。探知能力者が油田や石炭、天然ガスの鉱床を見つけ、地形作能力者に掘らせるつもりだったのだが、うまくいっていない」

「どうしてですか? 地形作能力者って、地面を自由に作できるんですよね?」

「そうだが、目視できないような、地下數百メートル數キロメートルの作は難しいのだ。それに、土ではない石油などは作できないから、を掘ってから結局は掘削設備を建造する必要がある。設備が整うまでの間に、國の備蓄で賄えるか、それが問題だな。最悪の場合、中東から金銀で輸することになるが、そこで大盤振る舞いをすれば、能力で金銀を作っていることが一発でバレる」

表向き、稲は廃品などの都市鉱山から金屬資源を分離させていることになっている。

けれど、何千トンという金をバラまけば、諸外國は疑いの目を向けるだろう。

そうなれば、海から金を生していることが明るみになり、日本にだけおいしい思いをさせてなるものかと、國連は海水の使用を制限するに違いない。

「そうだ、話は変わるが桐葉、貴君のローヤルゼリーの品質が正式に認められた。明日から、業者がグラム100円で買い取ってくれるぞ」

「一グラム100円て、銀よりレート高いじゃないですか!?」

俺は驚いて、つい聲を上げてしまった。まさか、ローヤルゼリーがそこまで高価なものだとは思っていなかったのだ。

「やったね。じゃあ明日から毎日1トン作るよ」

「1日1億、年間365億円の売り上げだな。初任給は期待していいぞ」

――年商365億円!?

途方もない金額に、俺は呆れてものが言えなかった。

――ていうか詩冴も一人で日本の食を支えているし、稲に至っては黃金の山を築いているんだよな。あれって何億円分だ? 舞たちのおかげで數千億円分の警察捜査費用も浮いているし……。

一人の力で大國を左右する彼たちの力量に、自分が矮小な存在に思えてくる。

「みんな凄いなぁ、俺なんてただのタクシーなのに……」

「大丈夫、ハニーのことはボクが養うから」

「俺はヒモか!」

腕に抱き著いてくる桐葉に怒鳴った。二の腕に當たるが気持ちいい。

「心配せずとも、プロジェクトを円に進められているのは貴君のテレポート能力のおかげだ。そこらの公務員よりも高い給料は保証しよう」

「ちぇ、ハニーをボクに依存させようと思っていたのに」

「こらこらこら」

桐葉の頭に、連続空手チョップを下ろすジェスチャーをした。

すると、桐葉はわざと頭を突き出して、チョップをけた。

「ふふ、ハニーに叩かれちゃった」

ちゅっとを尖らせて、可く笑う桐葉。

その姿はごぐりと息を呑むほど魅力的だけれど、下手にかまうとバカップルぽくて恥ずかしいので、俺はあえて平靜を裝った。

「あほなことするなよ」

「いや、私としてはもっとバカップルになってくれたほうが都合がよいのだが」

「なんの都合ですか!?」

「今後、高給取りの能力者に群がる馬鹿が増えるだろうからな。対等な能力者同士のカップルのほうがトラブルが無いだろう?」

「ふ~ん、つまりボクらの仲は政府公認てことだね♪」

桐葉は軽くハシャぎながら、さらに強く、俺の腕を抱き寄せてきた。

でも俺は、苦笑いを返すことしかできなかった。

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