《スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました★スニーカー文庫から【書籍版】発売★》新生の食品売り場と一軍ざまぁ
その日の帰り、俺と桐葉はスーパーに寄って、夕食の買い出しをしていた。
俺がカートを押して、桐葉の後ろを歩くと、彼は甘い笑顔で振り返った。
「ねぇハニー、こうしているとなんだか新婚生活みたいだね」
「恥ずいこと言うなよな、お、見て見ろよ」
コーナーへ行くと、珍しいものが々と並んでいる。
鶏、豚、牛の売り場が半減していた。空いた陳列棚を埋め盡くすのは、鹿、豬、キョン、ハクビシンだ。
「詩冴の能力で導したやつだね。どうするハニー? 豬の生姜焼きにしよっか」
「そうだな、豬と豚の食べ比べでもするか。こっちはなんだ?」
さらにカートを進めると、アライグマのが売られているも、やや趣が異なる。
すでに細かくバラされ、濃いタレに付け込んでいる、焼用のパックだ。
「なんでこっちは調理用じゃないんだろ」
「アライグマは雑食だからね、臭みが強いんじゃないかな。それでニンニクや生姜のタレに漬け込んで臭みを取ってるんじゃないかな。えーっと、今調べたら北米だと普通に食べられているみたい。ほら」
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桐葉はMR畫面を展開して作すると、反転させて検索畫面を見せてくれた。
「ふ~ん、ネイティブアメリカンたちは普通に食べていたんだな」
「じゃあハニー、今日は豬で明日は鹿、明後日からはキョン、ハクビシン、アライグマって毎日食べ変えてみようか?」
「せっかくだし、そうしようか」
「OK、じゃあ今日はまず豬だね」
ウィンクをして、桐葉は400グラム分の豬をカートにれた。
次に周ったのは野菜コーナーで、こっちも隨分と様変わりしている。
野菜よりも、果が目立つ。
それも、マンゴーやパパイヤ、ドラゴンフルーツなど、南國のものが多くて驚かされる。
デバイスをつけていないお年寄りに配慮して、値札が理シールの一方で、商品の上にはMR表示で、『ビタミンたっぷり』『野菜不足はフルーツで味しく補おう』というデジタルポップが浮かんでいる。
これは、早百合部長の言っていた、足りない野菜の供給量を果で補うための、國の戦略だろう。
なんだか、騙している気分だ。
「マンゴスチン、ライチ、ザクロ、俺が食べたことのない果ばかりだな」
「見てハニー、ローヤルゼリーサプリメントだって、ボクが生したヤツかもね」
桐葉は、ちょっと誇らしげに見せつけてくる。
「……だな」
「こうして見ると、この半月で日本も様変わりしたよね」
「あぁ……お前らの超能力で変えたんだ」
総理大臣と日銀総裁の不祥事で日本が財政破綻して、日本円は信用を失った。
そのせいで、日本は輸大國なのに輸ができなくなった。
金屬、食料、類が不足して日本國民の生活が破綻するのは目に見えていた。
だけど、稲や詩冴の活躍で金屬や食料、類の供給に功した。
他の能力者たちも、各分野で活躍している。
戦闘班の能力者は要人警護だけど、桐葉のローヤルゼリーは億単位で取引されている。
俺の護衛なのに、俺より稼いでいる。
――今まで普通に付き合ってきたけど、みんな、俺とは比べにならない活躍ぶりだよなぁ。もしかして、俺だけ役立たずなんじゃ。
そんな暗い気持ちがに湧いた瞬間、桐葉が顔を覗き込んできた。
「どしたのハニー?」
「え、いやいやなんでもない。ほら、足りない調味料買いに行こうぜ」
「ならいいけど、気になることがあったら言ってね。ボクはハニーの彼なんだから」
「気ぃ使わせて悪いな」
「どういたしまして」
えへんと、桐葉は嬉しそうにを張った。
――彼か、もしもこのまま桐葉と結婚したら、まるで大優とマネージャーのゴールインみたいだな。
妻は年商數百億、夫はその送り迎えを擔當する専屬運転手。そんなイメージが頭に浮かんで、俺は重たい足取りでカートを押した。
◆
翌日の晝休み。
俺はテレポートで舎へ帰り、冷蔵庫から桐葉の手作り弁當を取り出し電子レンジで溫め、テレポートで再び教室へ戻った。
「ほい、桐葉の分、今日もありがとうな」
「ボクのほうこそ、今日も食べてくれてありがとうだよ」
毎朝、手間暇をかけてお弁當を作ってくれている立場なのに、桐葉は甘えるような笑顔を見せた。
どうやら、彼は好きな人に手料理を食べてもらうのが好きらしい。
「あ、稲だ、やっほー」
桐葉の視線の先を追いかけると、教室の空いたドアから、稲がお弁當を手に室してくるところだった。
「今日も來たよ」
「よっ」
俺は軽く挨拶をしながら、俺と隣に座る桐葉の機を反転させながらくっつけて、この一週間、空きっぱなしである後ろの機(坂東の)を合させた。
「今日も妻弁當なんだね。桐葉さん、將來はいいお嫁さんになるよ」
「まぁね。ハニーの胃袋はつかみ済みだよ」
誇らしげに背を反らして桐葉は自信を誇示した。
「実際、桐葉の弁當は米まで味いからな。ブランドはうちで買っているのと同じ米なんだけどな」
「お米2合におおさじ一杯の蜂をれて炊くと、ふっくらした仕上がりになるんだよ」
「理的にりだったね」
「なんだそのパワーワード」
「でも桐葉さん、いくらハニー君のことが好きでも依存のある毒を混ぜちゃダメだよ」
「……やだなぁ混ぜてないよ」
「今の間は?」
「なんだと思う?」
俺が真顔で尋ねると、桐葉の口角はニヤァァっと上がって、俺を悩ませた。
稲が、眉を寄せて苦笑った。
「ハニー君、將來はに敷かれそうだね……」
「全力で抗ってやる」
握り拳を作って意思表示をするも、桐葉のセクシーなヒップラインに敷かれる想像をすると、まんざらでもなかった。
「そうだよね、ハニーはおよりおっぱいだもんね」
「そういう意味じゃねぇし!」
直前まで的な想像をしていたせいか、妙に慌ててしまった。
――桐葉の奴、心でも読めるのか?
橫柄な聲が割り込んできたのは、その時だった。
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