《【最強の整備士】役立たずと言われたスキルメンテで俺は全てを、「魔改造」する!みんなの真の力を開放したら、世界最強パーティになっていた【書籍化決定!】》第02話 スキルメンテ(1)

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俺は勇者パーティをクビになり無職になった。

人格まで否定されたようにじる。ショックをけ、やる気がなくなり、死にたくなってくる。

王都にいるとまた勇者アクファに會うかもしれない。

會ったらきっと嫌味を言われるのだろう。もう嫌だ……。

「よう兄ちゃん、元気無いがどうした?」

「いや……職を失って。仕送りもあるしどうしようかと……」

「そうかい。々あるだろうけど、故郷に帰るのも悪くないかもよ?」

道ばたの店先の主人が聲をかけてくれた。

そうだな。それもいいかもしれない。

冒険者をやめて、前みたいにギルド職員としてスキル整備だけをする仕事に就くのもありだろう。

田舎でのんびりするのもいいかもしれない。王都は人が多い。

俺は故郷に帰ることにした。

妹や王都で世話になった人たちにも手紙で連絡する。

さて、出発だ。

足が重い。でも、どういうわけか俺は不思議な騒ぎをじ走り出した。

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まさに今、出発しようとしている乗合馬車に乗り込む。

俺は馬車に揺られながら思う——。

『スキルは世界を支配する』

誰が言ったのか知らないが、俺はこの言葉が好きだ。

俺は子供の頃から、ずっとこの言葉にワクワクしていた。夢に描いていた。

スキルを整備(メンテ)するという能力を持ち、スキルの扱いに俺は長けている。

このスキルがあれば將來、何でもできると信じていた。

でも、結局俺は勇者パーティでは認められずクビになり、自信を失った……。

ダメだな……俺は。

妹がいるのに。頑張っているのに。

*****

二週間後。

俺の生まれ故郷イアーグの街はかなりの田舎だ。

周りは山や森ばかりの景になっていく。

馬車を乗り継ぎ、イアーグの街に近づく。その頃には、馬車の乗客は十人程度になっていた。

晝過ぎになり太が高く昇っている。

目的の故郷の街まであともうし。

そう思ったところ……森の中で異変が起きる。

ヒヒーン!

馬の悲鳴と共にひどい揺れがあり、馬車が止まった。

外からはビュウビュウと強い風の音がする。いつのまに?

外を覗くと、馬車を囲うように暴風が包んでいるようだ。

馬車の乗客は騒然とする。

「お……恐ろしい」

「あとしで森を抜けられるというのに、どうしてこんなことに?」

何人か、魔法の心得がありそうな人もいるのだが何もできないようだ。

俺は周囲を注意深く見渡し、狀況を確認する。

この行は勇者パーティにいたときのクセのようなものだ。

「ぐあっ……何だコイツは……?」

護衛の兵士たちが剣を構え森の出口を見つめている。

馬車の先には半明、緑のヴェールをかぶったが見えた。

人ならざる神的な雰囲気。

「シルフィード(風屬の大霊)が、なぜこんな所に……!」

しかし、その表は怒りに震えている。

暴風の原因はこのシルフィードらしい。

もともとこの霊は溫和で優しい格のはずなのに。

どうしたのだろう?

首をかしげていると、暴風の奧から逃げるように一人のが走ってきた。

「たっ、助けて……!」

切羽詰まったの表を見て、俺は反的に馬車から飛び降りる。

すると、俺の背中から靜止する兵士の聲が聞こえた。

「おい、お前! 一般人は馬車の中に戻れ!」

「いえ、俺は勇者パーティの……」

返す言葉を失う。

俺は勇者パーティを追放されたのだ。今はどのパーティにも所屬していない。冒険者ですらない。無職だ。

しかも、俺はスキル整備士だ。剣技や魔法を使って、高位の霊であるシルフィードに抵抗できるわけでもない。

——このボンクラが。何もするな!

いつも勇者アクファにそう言われていた。

いつもいつも。

今、俺に指図する者はいない。

だったら……!

俺は制止の聲を振り切り、駆け出した。

先ほどのの聲が聞こえた方向に走ると、やや出の高い服を著た人がいる。

十四〜十五歳くらいので、妹のアヤメと同じくらいだ。

「ああっ……助けて!」

そのは俺を見るとしがみついてきた。

ぶるぶると震えている。

しい金髪が目を引く。しかし、服裝は隨分大膽で、面積のない白い布地に目のやりどころに困る。

の膨らみや腰のラインがわになっていた。

ふわっとらかいと、さわやかな甘い香りが鼻をくすぐる。

の姿は、怪しげなを使う「師」といった様子だ。

には魔で使う古代文字が刺青のように描かれている。

でも、これは、たぶん……意味がない。

どんな格好をしていても、霊召喚が上手くいくかどうかはスキルの能や練度によって決まるからだ。

つまり、単なる、コスプレというやつだ。

「シルフィードはよほどのことでない限り人を襲ったりしないはずだがどうして?」

俺はに問いかけた。

「本當はもっと下級の霊を召喚するつもりだったのに、シルフィード(こんな大が)が——」

「じゃあ、君は風と水の霊召喚が使える、ドルイドか?」

「は、はい」

の大きな瞳が曇り、小さな聲が続く。

「でも、わたくしはいっぱい努力してきたのに、才能がないと言われて……それでも、頑張ってきたのに——」

は勇者パーティから追放された俺のような、寂しそうな目をしている。

を失っている。自信を失っている。

は才能がないと言っているけど、この失敗がスキルの暴走によるものだったら?

「スキルの調子が悪いのに無理をしたのか?」

「そんなつもりは……格好もこうやって気合いをれて頑張ったのに、失敗したみたいでっ」

がぽつりと「やっぱり才能が無いのね」と寂しそうにうつむく。

しかし、すぐに何かに気付いたのか、俺を見上げた。

「って、どうして貴男はわたくしに抱きついているのですか!?」

「いや、君の方から抱きついてきたんだけど?」

「えっ、あっ……」

真っ赤になってそっぽを向く

そんなことより、今はシルフィードをなんとかしなければ。

今は、が召喚し直すのが一番だ。

「失禮、手を繋ぎます」

「きゃっ!? 何をするのですか。この無禮者ッ! 離しなさい!」

「【スキルメンテ】発!」

は俺の手を振りほどこうとしている。

申し訳ないけど、今はこの手を離すことはできない。

俺の考えが正しければ、きっと——。

「スキル診斷開始!」

俺自のスキルを発する。

すると、診斷を行ったスキルの結果が俺の頭に響く。

職業スキル:

【風屬霊召喚】 LV39: 《【警告!】:暴走狀態》

【水屬霊召喚】 LV25

風屬霊召喚 LV39。この年齢で、このレベルはなかなか見かけない。

の言葉通り、スキルを磨いて頑張ってきたのだ。

それに、暴走しているスキルがある。

暴走が原因なら、スキルを整備(メンテ)する俺の能力が役に立つ。

「俺は君の努力を信じる。君も、自分の力を信じろ!」

俺はを勵ますために聲をかけた。

このには、才能が、努力による賜(たまもの)が——。

きっと、あるのだから。

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