《【最強の整備士】役立たずと言われたスキルメンテで俺は全てを、「魔改造」する!みんなの真の力を開放したら、世界最強パーティになっていた【書籍化決定!】》第09話 試行錯誤をしてみる

恥ずかしがるリリアを置いて家から出ると、道ばたでアヤメとフレッドさんが睨みあっている。

即発の狀況だ。

お互い負けたくないというようで、バチバチと闘志を燃やしている。

家の前の道幅は広く、三人の腕試しができる程度には広い。

王都と違い人通りはあまり多くない。ここは田舎なのだ。

アヤメが俺に気付いた。

「遅い遅い! 何してたのお兄ちゃん——まさかリリアさんと

……へ、変なことしてたの!?」

変なことって何だよ……?

「リリアのスキル整備(メンテ)をしてやってただけ」

「ズルいの。フレッドおじさんをすぐ倒すからあたしのも診てしいの!」

アヤメは魔法學園でもトップクラスの実力があると聞いている。

は炎と土系の霊使いで、実力はA級の冒険者に匹敵するという。

「アヤメちゃん、言ってくれるね。オレを倒すだと? ふっふっふ。オレの本気を知らないようだなぁ?」

フレッドさんも現役で冒険者A級の昇格試験ができるくらいの腕前らしいが、彼が戦うところを見るのは初めてだ。

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ジョブは武闘家(モンク)。

一見スラッとした細なので、弾戦をするように見えない。

フレッドさんは、ポーズをとり、フンっと気合いをれた。

すると、ムクムクとたくましい筋がはちきれんばかりに膨らんでいき、上著を破ってしまった。

——なるほど、これがモンクか。

普通の服を著ているときはシュッとしていてそれほどゴツくじなかったのに。

ムキムキの筋は、一どこに格納されていたのだろう?

「——お待たせしました」

リリアが鎧を裝備して家から出てきた。

兜と全鎧をうまく纏っている。

まるで彼用にあつらえたような、そんなフィットがある。

【スキル:完全裝備】がうまく作しているようだ。

包帯の隙間から見えるにあった赤い痕が、なくなっているように思う。

まだ包帯を顔や手足に巻いているが、そのうち必要なくなるだろう。

リリアが駆け寄ってきた。

「フィーグさん、あの……その」

リリアは言いかけて、言い留まった。

「どうした?」

「あの、鎧にれても痛くならないし、武を持っても手のひらも(かゆ)くありません。

顔も腫れが引いてきていて……きっと元のように戦えます。本當に、本當に、ありがとうございます!」

俺に抱きつきそうな勢いでリリアはまくし立てた。

「そ、そうか、そんなにか?」

「はい。フィーグさん、あなたは私が探していた——希です!」

リリアは聲を震わせ瞳を潤ませている。

って大げさな。

こんなに謝されるとは思わなかった。

ちょっと恥ずかしい。

「いや、リリアの持つスキルが元の能を発揮しただけだよ

もともと、君の力だ」

「そ、そう言われると……嬉しいけど恥ずかしいです」

リリアが頬を染めもじもじしていた。

様子を見ていたアヤメが待ちきれない様子で言う。

「ねえお兄ちゃん、みんなで対戦しない?

バトルロイヤルなの。リリアさんとお兄ちゃん、早く來てなの!」

「え、俺も?」

バトルロイヤル方式。

つまり全員が一度に戦い、最後まで立っていた者がチャンピオンというルールだ。

俺だけが非戦闘職だけど、戦略とスキル次第では勝てる可能が……うーん……あるのか?

リリアから複製したスキル【剣技】しかないわけだが。

俺含め四人が向かい合いそれぞれ構えた。

互いに負けないという気持ちがひしひしと伝わってくる。

「じゃあ、お兄ちゃん、開始の號令をお願いするの!」

「ああ。——では、始め!」

「先制します。スキル【剣技】!」

合図をした瞬間、すぐにリリアは素晴らしい速さでフレッドさんに近づき、剣を振り下ろす!

まずは剣士として弾戦になるフレッドさんを叩くつもりだ。

「ぐっ! なんだこのスピードは……スキル【剣帝】並みじゃないか?」

剣技系のスキルは、【剣技】→【剣帝】→【剣聖】と進化する。

リリアのスキルを改めて確認した。

名前:リリア

戦闘スキル:

【完全裝備】 LV43:《絶好調》

*回避力50%アップ

*防力50%アップ

*特殊魔道裝備可

【剣技】 LV40:《絶好調》

*攻撃力50%アップ

*俊敏50%アップ

【風屬魔法】LV 1

【水屬魔法】LV 1

【聖域】 LV 1』

《絶好調》ボーナスは大きい。

「くっ、リリア、やるな!」

「私のスキルが……す、すごい——これなら……!」

フレッドさんの驚きの聲とリリアの震える聲がする。

「あたしを忘れてない?

霊召喚魔法】起! 炎の霊イフリートよ、我が召喚に——」

「アヤメさん、させません!」

「うわっと……速い!?」

リリアはアヤメに駆け寄り、威嚇するように剣を持っていない方の腕を振った。

すんでのところでアヤメが躱す。

その結果、魔法の起が中斷されるのを見て、リリアがを引く。

リリアがアヤメとフレッドさんに挾まれる形になった。

しかし、リリアの表に焦りはない。

誰が勝つのか、現時點で俺には想像がつかない。

幸い、俺は誰からも攻撃されていない。

前衛職でもなければ、攻撃魔法も使えない。そんな俺を、いつでも倒せると思っているのだろう。

この隙に、【スキルメンテ:改造】を試すことにしよう。

「【スキルメンテ:改造】起!」

《スキル【改造】を実行します。対象となるスキルを選択して下さいい》

さて、どれにしたものか。

名前:フィーグ・ロー

スキルメンテ:

【診斷】

【整備】

【複製(コピー)】

【上書き(アップロード)】

【試行(テスト)】

【改造】←(NEW!)

複製済みスキル:

【剣技】』

上から順に改造を試してみよう。

《【診斷】は改造できません……【整備】は改造できません……》

やっぱり無理か。

……あれ? もしかして……?

「【改造】を改造!」

《…………》

スキルが沈黙した。

あ、あれ? 怒った?

っているようにじる。でもきっと、気のせいだろう。

ど、どうなる?

《スキル【改造】が【改造】を改造しました。【魔改造】に超(・)進化しました》

な……なんて?

何を言っているのかよく分からない。

やっぱ怒ってない? いやまさかな。

よくわからないけど、きっと上手くいったのだろう。

超進化とか自信たっぷりに言っているし。

どうなるのか、さっそく使ってみよう。

俺は手した【魔改造】スキルを行使する。

「【スキルメンテ:魔改造】起

対象は【剣技】スキル!」

《スキル【剣技】を魔改造します——》

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