《【最強の整備士】役立たずと言われたスキルメンテで俺は全てを、「魔改造」する!みんなの真の力を開放したら、世界最強パーティになっていた【書籍化決定!】》第13話 ランク決め戦闘試験(1)
俺は朝日をじて目を開けた。
俺の鼻の先には、すぅすぅと寢息をたてているリリアの顔があった。
昨日は張り詰めた表をしていたリリアだけど、今はとても穏やかだ。
長い髪のが朝日に照らされ、キラキラととてもしい。
穏やかな寢顔をずっと、見ていたい。
俺の視線に気付くようにリリアが目を開けた。
視線が合い、リリアの頬が緩む。
「フィーグさん……おはようございます」
「うん、おはよう」
俺の聲はガラガラだ。
ちょっと恥ずかしい。
「フィーグさんの匂い……落ち著きます」
「うん?」
「ふぁ……もうしだけ寢ます……」
リリアはそう言うと再び俺の元に顔を押し付けて眠りについた。
俺はそっとリリアの髪をでる。
窓から差し込むは、もうすっかり朝のざしになっていた。
この狀況で二度寢するのかよ……。
などとツッコんだ俺もリリアの溫に包まれ、眠くなってきた。
い、いや、マズいよな。
アヤメが起きる前にリリアにはアヤメの部屋に戻ってもらわないと、何を言われるか分からない。
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食をそそる香ばしい匂いが鼻を満たす。
俺とリリア、そして寢ぼけまなこのアヤメはダイニングで朝食を摂っていた。
「ちぇっ……リリアさんと話したかったのに寢ちゃったの」
アヤメはし頬を膨らませながら、朝食のパンを口に含む。
どうやらアヤメが目覚める前に、リリアはアヤメの部屋のベッドに戻れたようだ。
俺は正直なところ、リリアと目が合わせられなかった。
微妙に気恥ずかしい。
隨分クサいセリフを言っていたような。
視線を下に移する。
ふと、リリアは新品の包帯を顔や手足に巻いていることに気付いた。
もうはすべすべだったし……隠すことはないと思う。
「リ、リリア、もう包帯必要ないと思うが?」
「フィ、フィーグさん、おは、おはようございます。
さ、最近ずっと巻いていたので、こ、この方が落ち著くんです」
「そ、そうなんだね」
不自然なリリアとのやりとりに、アヤメは首をかしげ、ジト目で見てきた。
俺は視線を外し、下手くそな口笛を吹いてからパンを口に詰め込んだのだった。
******
俺はアヤメを魔法學園に見送り、リリアと二人で街の冒険者ギルドに向かう。
まだ朝の空気が冷たいものの空は晴れ渡り、太は眩しく輝いていた。
「よぉフィーグ、リリア。おはよう」
「「おはようございます、フレッドさん」」
俺とリリアの聲が重なった。
すると、フレッドさんはうんうんと頷く。
「なるほどなあ」
「何がなるほどなんですか?」
「フィーグとリリアを見て思ったんだが……息がぴったりじゃないか。
昨晩何かあっただろう? なっ?」
「何もないですよ!」
また聲が重なるかと思ったのだが、リリアは頬を染めて俯いてしまっていた。
ちょっ、リリアさん?
「うんうん。何も言わなくていいぞフィーグ」
「ですから何もないですって」
「ハハッ。まあ、そういうことにしといてやるよ。
それで、アヤメちゃんはいないのか?」
「アヤメは俺たちに付いて來ると聞かなかったのですが……説得して魔法學園に行かせました」
「そうか、分かった。早速冒険者登録するかい?」
「「はい!」」
再び俺とリリアの聲がハモった。
今度は息がぴったりだ。
まだ朝の冷たい空気が殘る時間のうちに、冒険者登録が終わった。
次に俺とリリア、そしてフレッドさんと數人の職員は、ギルド支部の中庭にある戦闘訓練場に向かう。
「じゃあ、早速ランク決定の戦闘試験をしよう。
難易度は、最高のSSS級の英雄ランクから、SS、S、ABCDEF、G級の初心者ランクまである」
「俺たちは何級ですか?」
「規定ではどんなに強くても最初はC級までだ。
昨日の様子からしても、フィーグとリリアのパーティはC級、中級者ランクスタートで良いだろう。いわゆるブロンズ級だ」
「わかりました」
「実際のランクは試験と戦って、その結果で判斷する。勝ち負けも重要だが、戦闘の質も判斷の材料とする」
俺が頷こうとしたとき、
「ちょっと待ったぁ!」
俺たちに割り込む、やや嫌味を含む聲が聞こえた。
冒険者ギルドでは見慣れない、下品な貴族が著るような服をにつけた男が一人。
その後ろには、スキンヘッドの神らしき男と、痩せた剣士らしき男が見える。
どう見てもギルド職員ではない。
どちらかというとチンピラのような風だ。
「あ……あの人達は——」
リリアが俺の後ろに隠れ、服の裾をつまむ。
そして、俺の耳元で「私がもといたパーティの人たちです」とささやいた。
偉そうな貴族風のパーティリーダーはギザという名前らしい。
いかにも悪人顔のギザが話を続ける。
「ランク決め戦闘試験の試験は俺たちがやろう。いいだろう? フレッド殿」
「えっと……貴方たちは?」
「おや、リリアに、フィーグさ(・)ん(・)じゃありませんか」
わざとらしく言い俺の顔を見てニヤニヤと笑う男たち。
リリアはともかく、なぜ俺のことを知っている?
ギザは、フレッドさんをバカにするような目で見ながら言う。
「なあ、いいよな?
俺たちのことは聞いているだろう? フ(・)レ(・)ッ(・)ド(・)」
「ぐ……っ。確かにあんたらの言うとおりにしろと王都ギルドから連絡があった。
しかし、戦闘試験に介するなんて許可できな——」
ガッ。
スキンヘッド神がフレッドさんを短剣の柄で毆った。
あいつら、いきなり何を?
「もう一度聞く。なあ、いいだろ?
フレッド、逆らうならギルドをクビにすることくらい簡単だぞ?」
見ていられない。
駆けつけようとしたけど、フレッドさんは俺に手のひらを向けて制した。
「分かった。フィーグと話をさせてくれ」
「構わないとも」
フレッドさんは額に汗を浮かべ小聲で俺たちに話しかけてくる。
モンクとは言え、不意打ちだったのだ。無理はない。
「フィーグ、奴らは最近この街に現れたA級ランクの冒険者だが、フィーグとリリアのランク決め試験を行いたいらしい。どうする?
今日は諦めて、奴らがいないときにするも手だが……。
もしやるならオレもフィーグ側に參加する」
フレッドさんによると、奴らは王都ギルドからやってきた「勇者アクファ同盟」という冒険者パーティらしい。
思わず「ダサッ」と聲が出そうになったが飲み込む。
フレッドさんもA級だ。リリアは、フレッドさんと遜ない戦いをしていたはず。
リリアの依頼も突破口が見いだせるなら、丁度いい。
奴らはフレッドさんとリリアを舐めているようだけど、昨日の様子から思えば十分勝機はある。
さらに、俺には魔改造がある。
俺はギザという男に話しかけた。
「あなたたちが試験で構いません。
ただし、人數が合わないので、そちらが一人抜けるかフレッドさんの參加を認めてください」
「いいだろう。フレッドの參加を許す。
戦闘試験だが當然勝敗を決める。もし、オレたちアクファ同盟が勝ったら、
リリアはオレたちのパーティに戻ってもらう」
「彼に危害を加えようとして追い出しておいて、今さらですか?」
「フン、フィーグ、お前にもちょっと顔(ツラ)を貸して貰おう」
ギザが苛ついた様子で言った。
戦闘試験の結果に妙なことを押しつけようとしてくる。
やつら、勝つ前提だ。
だったら……。
「じゃあ、オレたちが勝ったら……リリアから奪ったという水晶珠を返してくれませんか?」
「はぁ?」
「俺たちが勝ったら、の話ですよ」
「ケッ。オレたちが負けるわけないだろ。いいだろう」
ギザの言質が取れた。
それに、奴らが負けると疑ってないことも分かった。
俺たちを相當下に見ているか、切り札を持っているのかもしれない。
「リリア……どうしたその顔は?
こんな上玉だったとは……こりゃ々と楽しめそうだ。どうせまだ処なんだろう?
々教えてやる。可がってやるぜ」
ギザが目を細め、リリアをいやらしい目つきで見つめている。
すぐにリリアがをすくめ、俺に縋り付いてきた。
「し時間をくれ。リリアとフレッドさんと話をする」
俺たちは、リリアとフレッドさんと作戦會議を行った——。
そして。
「では、用意——始めッ!」
ギルド職員の聲と共に戦闘試験が始まった。
平和の守護者(書籍版タイトル:創世のエブリオット・シード)
時は2010年。 第二次世界大戦末期に現れた『ES能力者』により、“本來”の歴史から大きく道を外れた世界。“本來”の世界から、異なる世界に変わってしまった世界。 人でありながら、人ならざる者とも呼ばれる『ES能力者』は、徐々にその數を増やしつつあった。世界各國で『ES能力者』の発掘、育成、保有が行われ、軍事バランスを大きく変動させていく。 そんな中、『空を飛びたい』と願う以外は普通の、一人の少年がいた。 だが、中學校生活も終わりに差し掛かった頃、國民の義務である『ES適性検査』を受けたことで“普通”の道から外れることとなる。 夢を追いかけ、様々な人々と出會い、時には笑い、時には爭う。 これは、“本來”は普通の世界で普通の人生を歩むはずだった少年――河原崎博孝の、普通ではなくなってしまった世界での道を歩む物語。 ※現実の歴史を辿っていたら、途中で現実とは異なる世界観へと変貌した現代ファンタジーです。ギャグとシリアスを半々ぐらいで描いていければと思います。 ※2015/5/30 訓練校編終了 2015/5/31 正規部隊編開始 2016/11/21 本編完結 ※「創世のエブリオット・シード 平和の守護者」というタイトルで書籍化いたしました。2015年2月28日より1巻が発売中です。 本編完結いたしました。 ご感想やご指摘、レビューや評価をいただきましてありがとうございました。
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