《【最強の整備士】役立たずと言われたスキルメンテで俺は全てを、「魔改造」する!みんなの真の力を開放したら、世界最強パーティになっていた【書籍化決定!】》第34話 ダンジョンに仲間を求めるのは……

キルスダンジョンは、ここイアーグの街から馬車で二週間ほどかかるらしい。

イアーグの街から見て王都の方向にあり、その間に広がる大森林の奧にあるようだ。

不人気なダンジョンのため定期的に向かう馬車も出ていない。

でも、俺たちには高速で移する手段がある。

一旦、家に帰り、神殿での勉強を終えて帰ってきたキラナに話しかけた。

「キラナ、ちょっとって良いか?」

「あんっ……もう、パパくすぐったいよぉ」

「あっ、ごめん!」

「ううん、もっと……っていいよお」

などと、俺のスキルを知らない者が聞くと誤解しそうな會話をしながら、【スキルメンテ:複製】を実行した。

目的はキラナが持っているスキルだ。

「ふむ。【次元飛翔】実行!」

《【次元飛翔】 LV99 発

通常空間の飛翔は初めてだ。

だけど、あっさりが宙にうく。

その様子を見て、キラナは瞳を輝かせた。

「パパすごい! 背中からの羽が出てる! あたしもする!」

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《【次元飛翔】 LV1 発

「おおーー」

にょきっとキラナの背中の上部の辺りから竜の羽が現れた。

といっても小さくてちんまりしている。

人間で言えば十歳くらいの容姿のキラナに相応の大きさだ。

幸い、肩まで大きく開いているシャツを著ていたので、服が破れることはなかった。

羽をパタパタと羽ばたかせると、キラナのがふわっと浮く。

「おおおー! 浮いてるぅ」

「おっと!」

キラナがふらっとしたので、慌てて抱える。

安定して飛ぶことが難しいようだ。

まだLV1だからこんなものなのかもしれない。

「もうし練習しないとな。うまく飛べるようになったら、二人で一緒に飛んでみようか?」

「うん! 練習頑張る!」

キラナは満面の笑顔で答えたのだった。

なんらかの理由で封印されていたスキルだから、使えること自が楽しいのかもしれない。

「うん、でも無理しないようにな」

ちなみにキラナのスキル【炎の息(ファイアブレス)】はLV90だ。

家一軒程度なら簡単に丸焼きにしそうなので、練習は広いところでするようにと念を押しておいた。

☆☆☆☆☆☆

俺とリリアはキルスダンジョンに向かっている。

キラナから複製した【次元飛翔】を使用し、俺はリリアを腕に抱いて飛んでいた。

パァン!

飛行速度が音速を超え、俺の後ろで衝撃波が弾ける。

パァン! パァン!

「きゃあああああ!!」

「リリア、下を見ない方が良い」

どうやらリリアは高いところが苦手なようだ。

隙の無いエルフ族だと思ったけど、苦手なものがあるみたいだ。

「うう……。下を見ないなら、何を見たらいいのでしょう?」

「目をつぶっておくとか?」

「そ、その方が怖いかも。じゃあ……フィーグさんを見てます」

「え」

「ふふっ。安心できますね」

ううう。すごく恥ずかしいのだけど。

俺の腕に抱かれたリリアは、ぎゅっと抱きつく。そして、ずっと俺の顔を見てニコニコとしていた。

そういえば……。

これから向かうキルスダンジョンについて、し気がかりなことがある。

俺が勇者パーティに所屬していたときや、その前は、これほどスキルが暴走して困る人は多くなかったはず。

それが、今ではギルドへの依頼が溢れるくらい異常をきたす人が多くなっている。

何か原因がありそうだ。

そう考えると、このダンジョンの質にヒントがあるのかもしれない。

もしスキル暴走を、このダンジョンがまき散らしていたとしたら……?

このクエストを引きけたのも、そんな心當たりがあったからだ。

☆☆☆☆☆☆

森が急に開けたかと思うと、し盛り上がった丘にのふもとにダンジョンのり口が見えた。

り口の近くには簡易な小屋が建っている。

宿泊用の小屋だが、不人気なためか誰もいなかった。

リリアが珍しく休みたいと言ったので、しばらく休憩をした。

休憩が終わるとやたら元気になったリリアに俺は引っ張られてダンジョンに足を踏みれる——。

☆☆☆☆☆☆☆☆

ダンジョンの第一階層は魔(モンスター)に出會わず、代わりにバラバラに砕かれた魔の死が落ちていた。

ううむ。先行きが不安だ。

あっさりクリアし第二階層に進む。

殘念ながら、めぼしいは特にない。

しかし、通路の各所にの染みを見かけるようになった。

大量ではないものの、ちょいちょい見かける。

それを見て、怖いのか俺の後ろから服をつまんで歩くリリア。

スキル【剣聖:風神】を扱う腕前なのに、かわいい。

対人戦では無敵の強さだったが、はたして魔だとどうだろう?

……しばらく通路を歩くと、の聲が奧の方から聞こえてきた。

金屬音や、聞き慣れない何者かの聲も聞こえる。

戦闘音だ!

「リリア!」

「はい!」

俺たちは、の聲がする方向に走り出した。

☆☆☆☆☆☆

し広い部屋にると、數匹の緑のオーガが見覚えのあるを取り囲んでいる。

の神著をに付けている華奢なが、禍(・)々(・)し(・)い(・)毆打武を構えて、オーガに毆りかかっている。

エリシスだ。でも、以前見かけたと同一人なのか、自信が無い。

口調が隨分違うからだ。

レベッカの店で會ったときは、すごく丁寧でお嬢様というじだった。

それが……どうしてこうなった?

耳からってくる彼の言葉は……なんというか……。

荒々しい。

「ぐえっ、こっ、このヤロウ!! 卑怯だぞ!

この野郎、死ねええっ!!」

どこのヒャッハーだよ……。

隣にいるリリアが気付く。

「あの武、レベッカさんのところで見た——!」

特徴的な形の棒……釘バットを神が振り回している。

「うらああああああッ!

クソッ倒れろよお前らァッ!」

めちゃくちゃに釘バットを振り回すエリシス。

ドカッ、ドカっとオーガに命中するが、たいしたダメージを與えているように見えない。

オーガは打撃を食らい、釘によって引っかかれた皮からが出ている。

しかしやつらは再生能力があるため、多の傷はすぐに回復してしまう。

でも、あの戦い方をゴリ押ししていたら倒せそうな気がしてくる。

それくらい、迫力があった。

リリアが目を丸くしている。正直引く。っていうか俺は引いた。

「あの、フィーグさん……あの人すごいですね。軽く引きました……」

「全部、毆り倒しそうな勢いだな。あれでは撲殺神だ」

「撲殺神……」

清楚な見た目や神著、一方、釘バットと、あらくれ者のような発言。脳みその中で処理できない。

まあ、すっごく変わっている人でも戦力になるなら……。

うん、アリだな。

【作者からのお願い】

この小説を読んで

「撲殺なんとかってなんか聞いたことあるな」

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