《【書籍化】ループ中のげられ令嬢だった私、今世は最強聖なうえに溺モードみたいです(WEB版)》23.『先見の聖』とお茶會②
昨日バージルに教えてもらったところによると、エイムズ伯爵夫人は社界で有名なお方らしい。ずっと家に引きこもっていた私には全く縁のない報で。バージルに相談して本當によかった、心からそう思った。
「と、トラヴィス様。張します」
「あはは。手が震えててかわいいね」
「冗談はやめてもらっていいですか? 私、本気でだめかもしれません」
とりあえず、トラヴィスが王弟だと知っている人がいたらまずい。敬稱をつけてみたけれど、咎められなかったので選択肢としては正解なのだろう。
そして、彼は私の震えている手を笑っている。しかし足もがくがくである。誰か、助けて。
いつものおまけ扱いのときの流れなら、その他大勢に紛れてお茶會の主催者へ挨拶をし、後は數時間靜かに微笑んでいればいいだけのはずだった。
けれど、なぜかお庭にいる出席者たちは皆一様にこちらを見ていて。一どういうことなのだろう。嫌な予に、私は隣で涼しい顔をしているトラヴィスを恨めし気に見上げた。
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「……もしかして、ここにトラヴィスのお顔を知っている方がいらっしゃったりしますか!?」
「ああ。エイムズ伯爵夫人にはお會いしたことがあるな。俺の事も知ってくれている」
「それって主催者では」
「うん、そうなるね?」
もっと早く言ってほしかった。
「バージルが言っていた、『ぎゃふん』の意味がわかりました……」
「なにその言葉。面白いね」
門からお屋敷に向かって敷き詰められた石畳の道を歩く。トラヴィスはやっぱりエスコートが上手だ。無意識にマーティン様と比べてしまうのが申し訳ないぐらいに。
そして、私たちは主催者の前にたどり著いた。視界の隅にはマーティン様の腕を摑むクリスティーナの姿。事前にクロスを渡さなかったからきっと怒っているだろうな。そちらを見るのはやめておこうと思う。
「お久しぶりです、トラヴィス殿下」
恭しく最敬禮をするエイムズ伯爵夫人の挨拶に、周囲にはぽかんとした空気が流れた。この背の高いイケメンの正は。皆がそう思っている気がする。けれど、トラヴィスはそれに構う様子もない。
「ご無沙汰しております。エイムズ伯爵夫人」
「お戻りになっておいででしたのね。……隨分大きくなられて」
「今日のことはにしていただけると助かります。大切な人をエスコートするためにまいりましたので」
「あら」
大切な人ってなに。
エイムズ伯爵夫人は私と同じ想を抱いたようだった。値踏みをするような視線がこちらに向けられて、私は目を瞬いた。
「セ……セレスティア・シンシア・スコールズと申します。本日はお招きいただきありがとうございます」
噛まずに言えた。実は昨日バージルと死ぬほど練習したのだ。あの時は、こんなに注目を浴びると思っていなかったけれど。
「スコールズ子爵家のセレスティア嬢だったのね。あなたのお母様のことは私も知っているわ」
「……ありがとうございます」
「それは何?」
エイムズ伯爵夫人が指差したのは、私が持っていたクロスだった。それに気がついたクリスティーナが聲をあげる。
「それ! 私の刺繍をセレスティアお姉さまが持ってきてくださったのですわ」
「……妹への屆けです」
「ありがとうございます、お姉さま。……皆さま! 時間が足りずに未完ですがぜひご覧くださいませ」
クリスティーナは私の手もとからクロスを取り上げると、刺繍を見せびらかすようにしてふわりと広げた。そこに現れたのは、クリームの布地に金と銀の刺繍糸で丁寧につくられた模様たち。
「まあ。噂通り、クリスティーナ嬢の刺繍の腕前は素晴らしいわね」
「ありがとうございます! 合いは控えめですが、上質な糸をふんだんに使って華やかに仕上げました」
「この柄は何?」
「え……と、花です。春になるとうちの庭に咲くお花で。とても綺麗なので、このお茶會に一足早くお屆けしようと」
「これは?」
「ええと、鳥ですね。幸せの象徴です」
エイムズ伯爵夫人とクリスティーナのやりとりを聞きながら、申し訳ない気持ちになる。やはりし意地悪をしすぎたかもしれない。だって、これは。
「この鎖模様は何?」
「蔦ですわ。周囲にめぐらせて、アクセントに」
クリスティーナの答えを聞きながら、エイムズ伯爵夫人の表がだんだんと曇っていく。
「わかったわ。けれど、この刺繍を持ってくるなんてスコールズ子爵家はどういうつもりなのかしら?」
「え?」
「この模様……本當にあなたが考えて刺繡したものなの?」
「は……はい! もちろんですわ!」
庭がざわざわとし始めた。エイムズ伯爵夫人の言葉が何を意味するのか周りの出席者も理解しつつあるようで。私はこの場をなんとかしようと一歩踏み出したものの、トラヴィスに手を引かれて止められる。
「この刺繍は神話を元にしているわね」
「え? 神話ですか?」
「この神話を語ることが許されるのは、聖と神だけよ。こんなに神聖なものを無許可で私のお茶會に持ち込むなんて。恥を知りなさい」
「そ……そんな、どういう」
冷たく言い放ったエイムズ伯爵夫人の前で、クリスティーナの肩が震えていた。
【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~
舊タイトル:「え? 僕の部下がなにかやっちゃいました?」ハズレギフトだと実家を追放されたので、自由に辺境開拓していたら……伝説の村が出來ていた~父上、あなたが尻尾を巻いて逃げ帰った“剣聖”はただの村人ですよ? 【簡単なあらすじ】『ハズレギフト持ちと追放された少年が、”これは修行なんだ!”と勘違いして、最強ギフトで父の妨害を返り討ちにしながら領地を発展させていくお話』 【丁寧なあらすじ】 「メルキス、お前のようなハズレギフト持ちは我が一族に不要だ!」 15歳になると誰もが”ギフト”を授かる世界。 ロードベルグ伯爵家の長男であるメルキスは、神童と呼ばれていた。 しかし、メルキスが授かったのは【根源魔法】という誰も聞いたことのないギフト。 「よくもハズレギフトを授かりよって! お前は追放だ! 辺境の村の領地をくれてやるから、そこに引きこもっておれ」 こうしてメルキスは辺境の村へと追放された。 そして、そこで國の第4王女が強力なモンスターに襲われている場面に遭遇。 覚悟を決めてモンスターに立ち向かったとき、メルキスは【根源魔法】の真の力に覚醒する。【根源魔法】は、見たことのある魔法を、威力を爆発的に上げつつコピーすることができる最強のギフトだった。 【根源魔法】の力で、メルキスはモンスターを跡形もなく消し飛ばす。 「偉大な父上が、僕の【根源魔法】の力を見抜けなかったのはおかしい……そうか、父上は僕を1人前にするために僕を追放したんだ。これは試練なんだ!」 こうしてメルキスの勘違い領地経営が始まった。 一方、ロードベルグ伯爵家では「伯爵家が王家に気に入られていたのは、第四王女がメルキスに惚れていたから」という衝撃の事実が明らかになる。 「メルキスを連れ戻せなければ取りつぶす」と宣告された伯爵家は、メルキスの村を潰してメルキスを連れ戻そうと、様々な魔法を扱う刺客や超強力なモンスターを送り込む。 だが、「これも父上からの試練なんだな」と勘違いしたメルキスは片っ端から刺客を返り討ちにし、魔法をコピー。そして、その力で村をさらに発展させていくのだった。 こうしてロードベルグ伯爵家は破滅の道を、メルキスは栄光の道を歩んでいく……。 ※この作品は他サイト様でも掲載しております
8 102【書籍化作品】離婚屆を出す朝に…
書籍化作品です。 加筆修正した書籍のほうは、書店での購入は難しいですがネットではまだ購入できると思いますので、興味を持たれた方はそちらも手に取って頂ければ嬉しいです。 こちらのWEB版は、誤字脫字や伏線未回収の部分もあり(完成版があるので、こちらでの修正は行いません。すみません)しばらく非公開にしていましたが、少しの間だけ公開することにしました。 一か月ほどで非公開に戻すか、続編を投稿することになれば、続編連載の間は公開します。 まだ未定です。すみません。 あらすじ 離婚屆を出す朝、事故に遭った。高卒後すぐに結婚した紫奈は、8才年上のセレブな青年実業家、那人さんと勝ち組結婚を果たしたはずだった。しかし幼な妻の特権に甘え、わがまま放題だったせいで7年で破局を迎えた。しかも彼は離婚後、紫奈の親友の優華と再婚し息子の由人と共に暮らすようだ。 思えば幼い頃から、優華に何一つ勝った事がなかった。 生まれ変わったら優華のような完璧な女性になって、また那人さんと出會いたいと望む紫奈だったが……。 脳死して行き著いた霊界裁判で地獄行きを命じられる。 リベンジシステムの治験者となって地獄行きを逃れるべく、現世に戻ってリベンジしようとする紫奈だが、改めて自分の數々の自分勝手な振る舞いを思い出し……。 果たして紫奈は無事リベンジシステムを終え、地獄行きを逃れる事が出來るのか……。
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