《【書籍化&コミカライズ化】婚約破棄された飯炊き令嬢の私は冷酷公爵と専屬契約しました~ですが胃袋を摑んだ結果、冷たかった公爵様がどんどん優しくなっています~》第10話:お庭の野草でお料理を作りました ~シロザのキッシュとさっぱりドクダミ茶~

「さあ、作りましょう。まずは、ドクダミの下準備からね」

ドクダミをよく洗って、葉っぱと花を取っていく。

リトル君とラベンテさんも、一緒にキッチンにいた。

「メルフィー、のところはどうするんだい?」

「乾燥させれば、お茶として飲めます。ドクダミは花もも、全部お茶葉として使えるんです」

「そんなに有効活用できるんですね」

しかし、私はちょっと困った。

ドクダミ茶を作るには、乾燥させる必要があるんだけど……。

外に吊るしておくと時間がかかるし、でも私は魔法をあまり使えないし。

「どうしたんですか、メルフィーさん?」

「ドクダミを乾燥させたいのだけど、外に出すだけだと時間がかかるから、どうしようかと思って。リトル君は、を乾かす魔法とか使える?」

「それなら、乾燥箱があるよ」

ラベンテさんが、キッチンの隅に案してくれた。

冷蔵箱と同じように、魔法陣が描かれた箱がある。

「これはなんですか、ラベンテさん?」

「乾燥箱って言ってね。中にれとくと、すぐにカラッカラになるんだ。これを使うといいよ」

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どうやら、ルーク様がいろいろ用意してくれたみたいだった。

私はドクダミを、乾燥箱にそっとれる。

蓋を閉じると、ゴー! っという音がし始めた。

「これで大丈夫だよ、メルフィー」

「じゃあ、この間にシロザを使って、メインのお料理を作ることにします」

「シロザはどんな風に調理するんですか?」

「キッシュにするのよ」

「「おぉ~、キッシュ」」

二人は心したような顔をしている。

「シロザは食べてみると、ほうれん草みたいな味わいがするわ」

「それは意外ですね」

「なんだか、アタイも楽しみになってきたよ」

「さて、シロザも下準備しないといけないわね」

野草は栄養が詰まっている分、野菜よりきついアクがある。

だから、しっかりとした下準備が必要だ。

まずは葉っぱにくっついている白っぽいを、よく洗い流す。

そうしたら、たっぷりのお湯でグツグツ煮る。

「たくさん茹でた方が良いんですか?」

「いいえ、短くて大丈夫よ。らかくなってくれれば十分だわ」

シロザが茹で上がったら、冷たい水で冷やす。

冷やしていると、シロザが鮮やかな緑になった。

とてもしくて、目にも眩しいくらいだ。

「うわぁ、メルフィーさん! すごくキレイなになりましたよ!」

「こんなに深い緑なのは、野菜でもなかなか見ないね」

「見るからに、栄養がありそうでしょう? ちょっと、味見をしてみましょうか」

かじってみると、味も匂いもほうれん草みたい。

リトル君とラベンテさんにも、しわけた。

「意外といけますね」

「ただの雑草だと思っていたけど、野菜みたいじゃないか」

「これを一口サイズに切ったら、いよいよキッシュを作るわよ」

材はシロザの他に、ベーコンと玉ねぎにしよう。

私は玉ねぎをサクサクとスライスしていく。

切っていると目がツーンとして、涙が出そうになった。

だけど、こういう験も料理ならでは。

ベーコンも薄目に切りましょう。

オリーブオイルを引いたフライパンで、玉ねぎとベーコンを炒めていく。

ジュワーッという音がして、おが焼ける良い匂いがしてきた。

「メルフィーさん、これだけでも味しそうです」

「アタイもお腹が空いてきたね。見てると食べたくなっちゃうよ」

「ダメですよ。これはフィリングの材料になるんですから」

シロザを加えて味を調えたら、フライパンは火から外しておく。

「一度、火からどけるんですか?」

「こうしてフライパンを冷やさないと、卵れた時に固まってしまうの」

「「なるほど……」」

「次は卵を作っていきましょう」

私は卵とクリームを、クルクルとかき混ぜる。

アクセントに、細かく刻んだチーズもれた。

やがて、しずつ泡立ってきた。

その中に炒めたベーコン、シロザ、玉ねぎをれて、全をゆっくりなじませていく。

「栄養がたくさんっていそうですね」

「これがキッシュの元、フィリングよ。あとはパイで包むだけね」

パイ生地(小麥とバターで作っておいた)を、タルト皿に乗せた。

底をフォークで刺して、空気の逃げ道を作っておく。

フィリングを注いだら、後は焼くだけだ。

「オーブンは予熱をすませておくのがコツよ」

「出來上がるのが楽しみだね」

やがて、キッシュが焼き上がった。

ホカホカと、良い匂いが漂ってくる。

し味見しましょう」

二人にもちょっと分ける。

「「「おいし~い」」」

「そろそろ、ドクダミを取り出してみましょうか」

私は乾燥箱にれておいたドクダミを取り出す。

るだけで、パリパリになっていた。

これくらいなら、大丈夫だわ。

「さぁ、飲んでみましょう」

私はドクダミの茶葉に、トクトクとお湯を注いでいく。

琥珀き通ったお茶ができた。

さっそく、コクリと飲んでみる。

「ふぅ……おいしい……」

ドクダミ茶は意外にも、スッキリと飲みやすい。

かすかに、薬草のような香りと味がした。

口の中がサッパリするわ。

リトル君たちも、びっくりしたように飲んでいる。

「ドクダミ茶は、結構香ばしいんですね」

「まさか、あのにっくきドクダミが、こんなに味しいお茶になるなんて」

そろそろ、ルーク様のお夕食の時間だ。

「それでは、ルーク様にお出ししてきます」

「こんな味しい料理を作ってくれるなんて、公爵様は幸せですよ」

「公爵様も、きっと喜んでくれるさ」

私はキッシュとお茶を運んでいく。

その途中、かすかな不安がをよぎった。

お口に合うかしら……?

やっぱり、まだ不安になるときがある。

「いつも全部食べてくれてるし、大丈夫よ」

私は自分に言い聞かせるように呟く。

食堂に行くと、ルーク様はもうお席に著いていた。

「申し訳ありません、遅くなってしまいました」

「別に、待ってなどいない」

私は張しながら、お料理を出す。

「“シロザのキッシュとさっぱりドクダミ茶”でございます。お庭の花壇で採れた野草を使ったお料理です」

「ほぅ……野草料理か、珍しいな」

私はキッシュを、丁寧に切り分けた。

ルーク様は興味深そうに見ている。

「どうぞ、お召し上がりください」

私はルーク様の前にお出しした。

しかし、ルーク様は一向に食べようとしない。

ど、どうしたのかしら?

もしかして、お気に召さなかったんじゃ……。

「君も早く、席に著きたまえ」

「も、申し訳ありません!」

私は慌てて席に座る。

待っててくれたのかな?

私はそーっと、ルーク様を見る。

だけど相変わらずの仏頂面で、何を考えているのかはわからなかった。

「では、いただくとしよう」

ルーク様は、キッシュを口に運んでいく。

私はドキドキしてきた。

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