《【書籍化&コミカライズ化】婚約破棄された飯炊き令嬢の私は冷酷公爵と専屬契約しました~ですが胃袋を摑んだ結果、冷たかった公爵様がどんどん優しくなっています~》第25話:公爵様と一緒に山登りすることになりました

「みんな、ちょっと私の周りに來てくれ。話しておくことがある」

お庭で作業していると、ルーク様が私たちを呼んだ。

ルーク様の周りに、お屋敷のみんなが集まる。

「明日、私はベクトナツ山に行く」

ベクトナツ山は、この近くにある小高い山だ。

そこにしか生えない植が、たくさんあるらしい。

「ルーク様、魔法省のお仕事ですか?」

「ああ、そうだ。頂上付近に生えているマリョク草を、採取しに行ってくる」

ルーク様が言うと、みんながざわついた。

『マリョク草かぁ。それはまた、たいそうな仕事じゃないか』

「別に、たいしたことなどない。私の他に行ける者がいないだけだ」

マリョク草は、特別な回復薬などを作るのに必要な植だ。

とても貴重なので、自生地は保護結界がられている。

たしか、限られた人しかれないはずだ。

「ルーク様は、結界の中にれるのですか?」

「もちろん、れるぞ」

「そんなに重要な仕事を頼まれるなんて、やっぱりルーク様はすごい人なんですね」

私は羨の眼差しで、ルーク様を見る。

自分には、絶対できないような仕事なんだろうな。

「こ、こら、そんな目で私を見るんじゃない」

しかし、ルーク様は慌てて目を逸らしてしまった。

どうしたんだろう?

そして、なぜかみんながニヤニヤしていた。

「ウウン! それでだな……メルフィー」

ルーク様は私をギロリと見た。

こ、今度は何を言われるんだろう?

私は張して構える。

「はい……何でしょうか?」

「君も一緒に來てくれ」

唐突に、ルーク様は言った。

「私もベクトナツ山にですか?」

「ああ、そうだ」

「わかりました。でも、どうしてでしょうか? 私は魔法なんて使えません。足手まといになりませんか?」

それどころか、まともな登山の経験すらない。

「君に魔法を使わせることはない。ベクトナツ山に泊まることはないだろうが、行って帰ってくるまでに、半日はかかりそうだ。食事の用意を頼む」

あっ、そういうことか。

たしかに、お腹が空いてしまうわよね。

登山は力を使うから、食事の管理はとても大切な仕事だ。

「わかりました。お食事のことは、私にお任せください」

私はが引き締まる思いだった。

『ベクトナツ山に行くんなら、俺も一緒に行くぞ。魔に遭遇すると危ないだろ』

「いや、ルフェリンは殘っててくれ。念のため、屋敷の警護につかせる。私たちがいない間、留守を守っていてくれ」

『そうかぁ、わかったよ。たしかに、俺は殘った方がいいな』

ルフェリンさんは、とても殘念そうにしていた。

「ここのところ天候も良いし、予定が早く進めばすぐに帰ってこれるだろう」

でも、私は心配なことがあった。

今まで山に登ったことなど、一度もない。

「ルーク様。私は登山は初めてなんですが、大丈夫でしょうか?」

「それほど高い山ではないから、メルフィーでも登れると思うが……。まぁ、心配しなくとも、私がサポートするから安心しなさい」

「そうですね。ルーク様がいらっしゃれば安心ですね」

それでも、ケガしないように気をつけなくちゃ。

なるべく、ルーク様にご迷をかけないようにね。

「途中、景が良いところがある。そこで一緒に晝食をとろう」

『ベクトナツ山から見える景はキレイだぞ』

「そうなんですか!? 私、とっても楽しみです!」

「では、また明日だな」

そう言うと、ルーク様はお屋敷に戻っていった。

そういえば、お屋敷以外でご飯を食べるのは初めてだ。

なんだか、ウキウキしてくるわ。

一人で意気込んでいると、みんながコソコソ話すのが聞こえてきた。

「近い山と言っても、立派な小旅行ですね」

「二人っきりで山の中、何も起きないはずはなく……」

「アタイはメルフィーたちが幸せになってくれれば、それでいいさ」

『見ている方としては、ヤキモキしてしょうがないけどな』

三人と一匹は、またよくわからないことを言っていた。

「みなさん、さっきから何を話しているんですか?」

「『いや、何でもないよ』」

何はともあれ、登山でお料理をするのは初めてだ。

山にピッタリのお食事をご用意したい。

「よし、おいしいをつくるぞ!」

さっそく、私はレシピを考え始めた。

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