《【書籍化&コミカライズ化】婚約破棄された飯炊き令嬢の私は冷酷公爵と専屬契約しました~ですが胃袋を摑んだ結果、冷たかった公爵様がどんどん優しくなっています~》第28話:王様からお手紙が屆きました

「メルフィー、ちょっと來てくれ」

ある日、ルーク様が見るからに豪華な手紙を持ってきた。

「キレイなお手紙ですね」

「これは王様からだ」

「え!? お、王様から!?」

それを聞いて、私はとても驚いた。

さ、さすがは、公爵家だ。

王様から直々に手紙が來るなんて。

「私が開発した新しい魔法に、王様が興味を持たれていてな。今度一緒に食事をしつつ、仕事の話もしようというわけだ」

「そうだったんですか。やっぱり、ルーク様はとても優秀なんですね」

王様と二人で食事できる人なんて、そうそういないだろう。

「私の新魔法について、王國図書館に納める魔導書を書かせてくれるかもしれん」

「え、王國図書館ですか!?」

古の魔書、を記した巻斷の書などなど……。

國で一番重要な本を集めている図書館だ。

「それは、大変にすごいことじゃ……」

「まぁ、私は名聲だとか栄譽だとかに興味はないが、魔法使いとしてずっと目指していたからな」

ルーク様は嬉しそうに話している。

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王様とのお食事が、上手くいくといいなぁ。

しかしルーク様は、衝撃的なことを言ってきた。

「メルフィー、手紙には君のことも書いてある」

「わ、私のことがですか……!?」

私はルーク様と一緒に、お手紙を読んでいく。

〔……メルフィー嬢の料理を頂きたく、この手紙を送った。そちらに訪ねる日にちは……〕

「わ、私の名前が書いてあります。しかも、私の料理が食べたいそうです。ど、どうして……?」

「そのようなことが書いてあっても、別に不思議ではない」

ルーク様は、さも當然のように言った。

もちろん、私には何が何だかわからない。

「実は、王様は君の料理を食べたことがある」

「え!? そうなんですか!?」

これまた驚愕の事実だ。

相変わらず、ルーク様はすました顔で言っている。

私にとっては、とんでもないんですが……。

王様が……私の料理を食べた?

でもいつだろう?

「ですが、私は王様にお食事を作ったことなんて一度もありません」

食事を作るどころか、王様にお會いしたことすらない。

どこかで私の料理を食べられたのかしら?

考え込んでいると、ルーク様が歯切れ悪く言ってきた。

「君の弁當を……し分けたことがあってな。たぶん、それだ」

「ルーク様のお弁當を、王様が食べたんですか?」

次から次へと、私の知らないお話が出てくる。

「君の弁當のウワサは、知らないうちに広まっていたようでな。王様も目をつけていたらしい」

「目をつけるって、そんなことが……」

「ずっと死守していたんだが、あまりのしつこさに負けして、つい分けてしまったんだ。私としたことが、不甲斐ない」

ルーク様は、とても悔しそうな顔をしていた。

「そ、それで、王様はなんと言っていましたか?」

「王様のぶりは、言葉にできないくらいだった」

私は靜かに、ホッとする。

「なんだか、恥ずかしいです」

「それ以來、君の料理に夢中らしいのだ。私の所におかずを貰いに來ては、追い返す毎日だ」

お弁當目當てに來る王様と、それを追い返すルーク様。

想像すると、しおかしかった。

「そんなやり取りがあったとは、私も知りませんでした」

「そういうわけで、君の料理をしっかり食べてみたいらしい」

「もし何でしたら、王様の分までお弁當をお作りしますが……」

「いいや、それはダメだ!」

ルーク様にとても大きな聲で言われた。

私は慌てて謝る。

「申し訳ありません、ルーク様! 出過ぎたことを言ってしまいました!」

「違う! そういう意味じゃない!」

ポカンとしていると、ルーク様は靜かに言ってきた。

「メルフィーの弁當は私だけの……ゴホン! 何でもない! とにかく、王様の分まで作ると君が大変だから、作らなくていい!」

「わ、わかりました」

ルーク様にすごい勢いで斷られた。

「この食事會なんだが當日は王様だけでなく、側近や王宮の総料理長まで來るそうだ」

「そ、そんなに、いらっしゃるんですか?」

「みんなして、メルフィーの料理を食べるチャンスを伺っていたらしい。君の料理のウワサは、予想以上に広まっていたみだいだな」

王様だけでも、大変な張だというのに。

偉い人たちが、いっぱい來るなんて……。

しかも、みんな私のお料理を楽しみにしている。

これは絶対に失敗できないわね。

「まぁ、嫌なら私の方から斷っておくが……」

「いえ、それには及びません!」

これはきっと、ルーク様にとっても大事な機會だ。

それならば、斷る理由などない。

「では、やってくれるか?」

「はい、それはもちろん、やらせていただきます!」

私の料理がしでも役に立つなら、それ以上むことはない。

王様となると、フルコースをご用意した方が良いわよね。

さっそくレシピを考えなくちゃ。

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