《【1章完】脇役の公爵令嬢は回帰し、本の悪となり嗤い歩む【書籍化&コミカライズ】》第4話 悪上等

オリーネ嬢は最後まで私を睨みながら、この會場を去っていった。

はぁ、まあまあスッキリしたわね。

そうこうしていたら、會場に曲が流れ始める。

ダンスの曲のようだが……もう疲れたから帰ろうかしら。

踴るとしたらルイス皇太子とだし、彼と踴る気にはならないわね。

「アサリア、踴らないのか。せっかく君を選んでやったというのに」

はっ? なんでこの人、上から目線なの?

さっきの出來事で「選んでやった」と言えるルイス皇太子の気概はすごいわね。

「申し訳ないですが、他のれ合ったルイス皇太子と踴る気はありませんので」

「なっ!? アサリア! 君はどこまで失禮な態度を取るのだ!?」

「婚約者がいるのに他のをパーティに招待する皇太子には言われたくありませんね」

「なんだと……! アサリア、いい加減にしろ!」

ルイス皇太子は私の手首を暴に摑み、私の正面に立った。

「……離してください、ルイス皇太子」

「君が無禮な行を取るからだ。舐めるのも大概にしろ」

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「忠告です、ルイス皇太子。痛い目を見たくないのなら、離しなさい」

「痛い目だと? 君が何を出來るというのだ」

全く離す気もない、である私をか弱いものだと決めつけ、力で優っていることで優越に浸って見下すような顔をしている。

だけど、私がいつ弱い存在だと勘違いしているのだろうか。

「忠告はしました」

私は魔法を発し、自分のの周りに炎を発させた。

「なっ!?」

私の周りに炎が出たことで驚いたルイス皇太子。

私の手首を摑んでるところにも小さな炎を出して、彼の手の表面を焼いた。

「いっ、ああぁ!?」

ルイス皇太子は無様な悲鳴を上げながら後退した。

周りに炎の球を作りながら、私はルイス皇太子を睨む。

「私は帝國を支える四大公爵の一つ、スペンサー公爵家のアサリア・ジル・スペンサー。私のことを力で従わせようとするなど、無謀なことは考えないでください」

周りにもいろんな貴族の方々がいるが、私の炎を見て反応は様々だ。

「あれが四大公爵で最も強いとされる、スペンサー公爵家の力か……!」

「魔獣を一撃で仕留めると言われているが、凄まじいな」

「アサリア様は十八歳であそこまでの力を持っているのか!?」

スペンサー公爵家の力は有名だし完全にっているのがわかるからか、恐怖で悲鳴を上げるような者はいない。

しかし私もここまでしっかりれるとは思わなかった。

確かに二年後の回帰する直前は魔獣と戦うことが多かったから、ここまで魔法をれるようになっていた。

だけど二年前の十八歳の頃は、皇室に嫁ぐ予定だったので、魔法の練習はさほどしていなかったはず。

回帰する前の魔法の力があるようだから、それはよかったわ。

「ルイス皇太子、私は帰りますわ。婚約の話、いろいろと考えさせてもらいますね」

「ま、待て、アサリア!」

ルイス皇太子の痛みに我慢してぶ聲を聞きながら、私はパーティ會場を去った。

私は回帰する前までは、ルイス皇太子とオリーネを引き立てる脇役みたいな者だった。

だけど回帰した今、そんな立ち回りは絶対にしない。

オリーネが私を処刑まで追い込んだ時の嗤った顔は今も忘れない。

もうあんな私を嘲笑った顔をさせるつもりはないわ。

むしろ私がああやって嗤って、悪のようにあの二人を陥れてやりたい。

だけど回帰した今、復讐してやるのもいいけど、ちゃんと人生を楽しまないとね。

前はルイス皇太子に婚約破棄されたのがショックで、自暴自棄になっていたから。

もっと遊びたいし、ルイス皇太子には全くを持ってなかったけど、今度はちゃんとをしたいわ。

もう婚約破棄をされたところで痛くもくもないし、むしろいつ婚約破棄をしてやろうかと企んでいるくらいね。

回帰した今、私は自分の生きたいように生きる。

上等、たとえ本の悪となろうと、私は嗤いながら生き抜いてやるわ。

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