《聖が來るから君をすることはないと言われたのでお飾り王妃に徹していたら、聖が5歳?なぜか陛下の態度も変わってません?【書籍化&コミカライズ決定】》第9話 役立たずどもめ ◆――???
――全く腹立たしい。
ずるり、ずるりとを引きずりながら、我は暗い地の底を這うようにして進んでいた。
……ああ、今日もが重い。が渇いた。お腹がすいた。
本當は一歩もきたくない。だが、失敗したあやつらを処理せねば。……全く、聖を片付けるためにわざわざ門をあけてやったのに、みすみす追い返されおって。
ずるり、べちゃっ、ずるり。
……ここにいたのか、役立たずどもめ。
瘴気が立ち込め、紅い月が輝く空の下。我は目當ての人間たちを見つけた。
異世界の人間である男もも、我ですら反吐が出そうな匂いを醸し出している。――さ(・)す(・)が(・)、聖(・)(・)の(・)親(・)。
ずるり。歩みを進めると、の方が我に気づいた。ヒッと引きつったびをあげ、あわてて男の裾をひっぱっている。
「ね、ねえ! 暗闇に何かいる……!」
「あん? 一何が……」
その時、雲に隠れていた月がサッと姿を現した。月に照らされた我の姿を見て、ふたりが絶する。
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「き、きゃあああああっ!」
「うわああああっ! バケモノ!!!」
ガタガタと震え、ぺたりとその場に座り込む。腰が抜けたようだな。
ふん、そんなに我の姿が怖いか。ならば、見えなくしてやろう。
我はビュッと手を振った。紫のがびちゃっと飛び散り、それを顔に浴びたふたりが悶絶する。
「うわああっ! 目が! 目があああ!」
「痛いいいいい!」
……聲まで耳障りだ。これくらいで痛いだと? おまえたちの子がけた傷に比べれば、ささいなことだろうに。
「おい、誰かおらぬのか」
我がイライラしながら言うと、シュンという音とともに気配をじた。
「――ここに」
「あのふたりをさっさと片づけよ。うるさくてかなわん」
「承知いたしました」
それだけ言い捨てると、我はずるりとをひきずってきびすを返した。後ろでは何をしているのか、ぞっとするような音が聞こえる。
ああ、本當に腹が立つ。
我は心の中で毒づいた。
――神の紋に侵し、今にも消えそうな弱い聖を連れてきたはずなのに、なぜ聖なるが増しているのだ?
ずるり。ぬめったの中から巨大な鏡が浮かび上がる。その鏡面に映っているのは、呑気に笑っている聖の顔だ。鏡の周りが淡く白くり始める。
……まずいな。弱いどころか、これは放っておけばさらに強く輝きだしてしまう。そうなる前に、なんとしてでも止めねば。
ずるり、べちゃっ、ずるり。
……ああ、それにしてもお腹がすいた。
我は何も食べなくても生きていける。だと言うのに、消えることのない飢は、我をずっと苦しめていた。
ふと、鏡が目にる。
その中では、ひとひねりで潰してしまえそうなほど小さな聖が、ふかふかした、白くてまるい何かにかぶりついていた。
ぷくっとほっぺがふくれあがり、目が幸せそうにきゅっと細められる。
……なんだあれは。……おいしそうだな……。
ぐぅと、とっくに死んだはずの腹の音がなった。
◇
「――以心伝心というのは、どうやらアイの々なことが私に見えるようになるみたいですわ」
ここ數日の検証でわかったことを、私はユーリさまに話していた。
隣では、アイがもふもふと白パンにかじりついている。どうやら朝ごはんにこれを食べるのがお気にりらしい。目が合うと、アイはにこっと笑った。
「々なこと、とは?」
ユーリさまがフォークを持つ手を止め、じっと私の言葉を待つ。
私たちは、三人で朝食を食べていた。
アイはお気にりの白パンと新鮮なフルーツ。私とユーリさまはスクランブルエッグとベーコンだ。
「まず、こうしてアイと手をつなぐでしょう」
私が手を差し出すと、ピンと來たアイがパンをほっぺに詰め込んだままサッと手を乗せた。それはまるで利口なわんちゃんが「お手」をしているようで、思わず口の端がゆるむ。
しかもその表が、「上手にできたでしょ!?」と言いたげに輝いてるものだから、なおさら。気のせいか、アイに大きなお耳とふさふさのしっぽが見える気がするわ……!
かわいさに頬をほころばせていると、するんと、私の頭にいくつかの文字が浮かび上がった。
『聖アイ:スキル魔探知、以心伝心(対象、王妃エデリーン)』
『ほめてもらえるかなあ?』
……ふふっ、功したみたい。気持ちがまるわかりね。
「ばっちりよ、とってもうまくいったわ! ありがとう、アイ」
頭をわしゃわしゃしながらお禮を言うと、アイがえへへと笑った。
「と、こんなじで、スキルを発した時だけアイの狀態や気持ちが私に見えるみたいなんです。ただ、本人はあまりわかっていないみたい」
アイのれた髪を直しながら、私はユーリさまに言った。陛下が考え込む。
「……ふむ。その“以心伝心”は、君にしか効果を発揮しないのか?」
「そのようですわ。対象欄に載っている名前が、私だけだからかもしれません」
「ということはアイ、いや聖のことがわかるのは、君だけということか」
陛下の言葉に、私がこくりとうなずく。
アイはあれ以來、時々自分の言葉で話してくれるようになった。けれどっこが引っ込み思案なのか、それともまだ警戒する気持ちがあるのか、発する言葉より隠してしまう言葉の方がずっと多い。
それに、聖スキルが書かれた文字を、アイは読むことができないようだった。
不思議な形をした文字は、この國で使われている言葉ではない。それどころか、大陸のどこでも目にしたことのない文字だ。
……なのになんで、私だけが読めるかしら? これも以心伝心の効果なのかしら?
私が首をひねっていると、陛下が言った。
「ならば君にも役職が必要だな。彼を助け、サポートし、この國との橋渡し役として。……エデリーン、引きけてくれるか?」
私はにこりと微笑んだ。
「もちろん、最初からそのつもりですわ。アイは私のかわいい娘ですもの」
橫にいるアイをぎゅうーっと抱きしめると、パンくずをいっぱい口の周りにつけたまま、アイが嬉しそうに笑った。
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