《聖が來るから君をすることはないと言われたのでお飾り王妃に徹していたら、聖が5歳?なぜか陛下の態度も変わってません?【書籍化&コミカライズ決定】》第15話 すこしずつ、すこしずつ、ね
「ママ。ここ、なーんにもないねえ……」
サクラ陛下が住まう離宮に向かう石畳を歩きながら、手をつないだアイがぽつりと言った。
「そうね……。離宮だとしても、靜かすぎるわね……」
時刻は晝時。しぐらい晝休憩を取る人たちの姿を見かけてもよさそうなのに、辺りには私たち以外誰もいない。噴水もなく、花壇も最低限しかなく、見えるのはだだっ広い石畳とぽつんと佇む離宮だけ。建が豪華な分、辺りの靜けさが際立っていた。
「サクラ陛下は、本當に最低限の使用人しか置いてないらしいんだ」
橫を歩くユーリさまが言った。彼はサクラ陛下に面會を拒絶されているけれど、念のため私たちについてきてくれたのよ。
辺り全を包む靜けさは、離宮の中にってからも続いた。カツンという足音ですらよく響く天井の高い空間。アイがつないだ手をぎゅっと握る。
『……ママ、ここなんだか怖い』
不安そうな目が見上げてくる。
アイは聡い子だから、きっと空気の違いを敏にじ取っているのね。どうしたものかしら……と考えていたら、隣で歩くユーリさまの姿が目にる。彼も今は、アイに合わせてゆっくりと歩いてくれていた。
私は腰をかがめてささやいた。
「……ねえ、アイ。よかったらユーリさまとも手をつなぐ? ちょっと怖くなくなるかも」
アイがぱちくりと目をしばたたかせた。
パパ呼び同様、こっちもまだ早いかしら? そう思っていたら、頭の中にするする文字が浮かび上がった。
『……へーか、アイとてをつないでくれるかなあ……?』
あら? 何やら恥ずかしげにもじもじしているし、こっちは意外と好なのね? ……となると、ますます謎だわ。なんでパパ呼びだけダメなのかしら。これは早めに確認しておきたいわね。
「手をつないでくれるか、ママから聞こうか?」
聞くと、アイがコクンと恥ずかしそうにうなずいた。私はまた背をばして、ユーリさまの方を向く。
「ユーリさま。よかったら、アイと手をつないであげてくれませんか?」
「……私と?」
ユーリさまが驚いた顔をした。そういえば私とアイが手をつなぐことはよくあるけれど、ユーリさまとはつないだことなかったわね。
「私はもちろん構わないが、アイはいいのか……?」
ユーリさまはユーリさまで、おそるおそるといった顔で手を差し出してくる。その大きな手に、アイの小さな手が乗せられた。
それからアイの小鼻が膨らみ、むふぅ、と満足げな息がもらされる。よかった、どうやら本當に嬉しいみたい。
その様子を、私とホートリー大神がくすくすと笑いながら見ていた。ユーリさまはまだ慣れないのか、どこかこそばゆそうだ。
「……あのねママ、もうこわくないよ」
つないだ手をぶらんぶらんと揺らしながら、アイが嬉しそうに笑った。
「よかったわ。それにしても、みんなでおててつないで歩くのも結構楽しいわ。ね? ユーリさまもそう思いませんこと?」
「う、うむ。……悪くない……」
ユーリさまはかなり背が高いから、アイと手をつなぐためには腰を曲げてかがまなければいけない。姿勢を維持するのも大変だろうに、一生懸命かがんでいる姿が健気でありほほえましかった。
やがてたどりついた謁見室の前で、私たちは一度足を止めた。ホートリー大神が進み出る。
「陛下、大変申し訳ないのですが、ここから先に進めるのはエデリーンさまとアイさまだけになります」
「わかった。私はここで待っていよう」
「アイ。ここからは私と一緒に行きましょう。……もし怖いなら、このままユーリさまと一緒に待っていてもいいのよ?」
けれど私の質問に、アイはふるふると首をふった。
急いでユーリさまから手を離し、両手で私にしがみつく。……あ、ユーリさまが骨にがっかりした顔をしているわ。ちょっと悪いことをした気分。
「アイ、いっしょにいく!」
「わかったわ。もし怖くなったら、後ろに隠れていてね」
そうして私たちは、謁見室へと足を踏みれた。
開けられた扉の奧。ゆったりとした椅子に彼――サクラ太后は座っていた。
白が多く混ざり始めた髪は高い場所でひとつに結い上げられ、まとうのは首まで覆うぴっちりとしたハイネックのドレス。
かつて満開の桜を思わせる笑みを浮かべていた顔に、今は深いしわが刻まれていた。
疲れた顔でサクラ陛下がこちらを見る。
「……久しぶりね、エデリーン。その子が、次の聖かしら?」
サッと、アイが私の後ろに隠れた。
【書籍化&コミカライズ】関係改善をあきらめて距離をおいたら、塩対応だった婚約者が絡んでくるようになりました
【6月10日に書籍3巻発売!】 「ビアトリスは実家の力で強引に俺の婚約者におさまったんだ。俺は最初から不本意だった」 王太子アーネストがそう吹聴しているのを知ってしまい、公爵令嬢ビアトリスは彼との関係改善をあきらめて、距離を置くことを決意する。「そういえば私は今までアーネスト様にかまけてばかりで、他の方々とあまり交流してこなかったわね。もったいないことをしたものだわ」。気持ちを切り替え、美貌の辺境伯令息や気のいい友人たちと學院生活を楽しむようになるビアトリス。ところが今まで塩対応だったアーネストの方が、なぜか積極的にビアトリスに絡んでくるようになり――?!
8 64【書籍版8/2発売】S級學園の自稱「普通」、可愛すぎる彼女たちにグイグイ來られてバレバレです。
【講談社ラノベ文庫より8/2刊行予定】 権力者の孫娘にして超人気聲優アイドル・瑠亜の下僕みたいな立場に甘んじていた俺。 「アタシと幼なじみなこと、光栄に思いなさい! ッシャッシャ!」 しかし、しかし……。 彼女がやった「あること」がきっかけで、俺はぶち切れた。 お前とはこれまでだ、さらばブタ女。 これまでずっと陰に徹して、ブタの引き立て役だった俺。 ようやく普通に生きられると思っていたが、「普通」はなかなか難しい。 天才が集うS級學園の特待生美少女たちに、何故か次々とモテてしまって――。 これは、隠れハイスペックの主人公がヒロインとの「絶縁」をきっかけにモテまくり、本人の意志と関係なく「さすがお前だ」「さすおま」されてしまう物語。 ※ジャンル別日間・週間・月間・四半期1位獲得 ※カクヨムにも投稿
8 60スクールクエスト!
主人公、延永守恒が通う學園には変わった部活が存在する。 その名も、人事部。 この部活は県內入りたい部活ランキング20年連続第1位であり、入部條件はただ一つ、人を助ける覚悟を持った人。 そんな人事部に『姉の七光り』でうっかり副部長に抜擢された守恒は絶え間なく続くスクールクエストの中で何を想うのか!? 王道學園ラブコメディー!! バトルもあるよ!
8 83死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜
學校で酷いいじめを受けていた主人公『藤井司』は突如教室に現れた魔法陣によって、クラスメイトと共に異世界に召喚される。そこで司が授かった能力『不死』はいじめをさらに加速させる。そんな司が、魔物との出會いなどを通し、心身ともに最強に至る物語。 完結を目標に!
8 125極限まで進化した頂點者の異世界生活
主人公の黒羽海斗は他の人間とは違うものを持っていた。完全記憶能力、そして、絶対なる力・・・破壊と創造の力を・・・ これは人間が進化をした先にもつ頂點の能力だった・・・ 力を使い、大切な物を守り抜く。 これはそんな主人公の異世界生活の物語。 注意無雙はしません。 応援お願いします。 更新は進みしだい更新します。 不定期の更新だと思います。
8 174貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無雙します
舊題「転生〜最強貴族の冒険譚」 弧月 湊、彼は神の手違いにより存在が消えてしまった。 そして神は彼を別の世界に力を與えて甦らせることで彼に謝ろうとした。 彼は神の力を手に入れて転生したのだった。 彼が転生したのは辺境伯の貴族の次男アルト・フォン・クリード。 神の力を持った主人公は聖霊の王であるキウン、悪魔の長であるネメス、天使の長であるスーリヤを従えるのだが…… ハーレム弱めです。 不定期更新です。 絵はにぃずなさんに描いてもらいました!! にぃずなさんもノベルバで活動してるので是非とも読んでください!! 更新日 毎週金、土、日のいずれか(確実では無い) Twitter @gujujujuju なろう、アルファポリスにて転載中
8 126