《聖が來るから君をすることはないと言われたのでお飾り王妃に徹していたら、聖が5歳?なぜか陛下の態度も変わってません?【書籍化&コミカライズ決定】》第24話 確かに黒くて丸いんだけどね……うん
「エイゾウ……エイゾウ……?」
文字は読めるのに、言葉の意味が理解できない。私が不思議そうにブツブツつぶやいていると、異変に気づいたユーリさまが聲をかけてきた。
「エデリーン、どうかしたのか?」
「実は……アイのスキルが、またひとつ増えたようなのですが……」
「何っ? スキルが増えたのか!?」
その聲に、みなの視線が一斉に集まる。
「ですが、書いてある意味がわからなくて。……“エイゾウ”って何かご存じですか?」
「“エイゾウ”……?」
やはり、未知の単語よね? ユーリさまのみならず、その場にいたみなも不思議そうに首をかしげている。
「“エイゾウ共有”と書いてあったから、何かアイと共有できるとは思うのだけれど……。アイ、新しいスキルを覚えたみたいなんだけれど、使えそう?」
アイがきょとんとする。そもそも、この子には新しいスキルを覚えたという自覚って、あるのかしら?
しばらく考えたのちに、アイは私の手をぎゅっとつかんだ。
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するりと、頭に浮かんできたのは――
『これでいいのかなあ?』
……うん、これはいつもの“以心伝心”のようにじるわね。
諦めきれず、私はもうしだけ聞くことにした。
「アイ、いつもと何か違うところないかしら? 例えば何か文字が増えてたり……、何か見慣れないものがあったり……」
こてん、とアイが首をかしげる。
くぅっ! こんな時でもアイのかわいらしさは百點満點ね……! これはまた、後ろで侍辺りがうっとりしているに違いないわ。
「もじ……。あっ、もしかして、これのことかなあ?」
なんて考えているうちに、何やらそれっぽいものがあったみたい。
私がアイの手を握ったまま待っていると、脳裏に、ジジッ……という音と同時に、絵が浮かんできた。……これ、何かしら?
戸う私の頭の中には、蜃気樓のようにぼんやりとした絵が浮かび上がっている。それは私の目から見える景と喧嘩して、絵が二重になっていた。だから私は、思い切って目をつぶることにした。
目からる景を締め出すと、頭の中のおぼろげだった絵が、だんだんはっきり、くっきりと鮮明になっていく。
その真ん中に映ってるのは――やだっ! もしかしてこれ私!? ちょっとアゴのおがたるんでない!?
突如目をつぶった私の顔が映し出されて、私はすんでのところでび聲をあげるところだった。
……まっ、まずい。最近確かにちょっとはめをはずしていたとはいえ、何なのこのお! 角度の問題かしら!? きっとそうよね!? アイが下から見上げてるから、よね!?
必死に自分の頭を納得させながら、同時に私は気づいていた。
これはもしかしなくても、アイに見えている景なのかしら?
後ろにはユーリさまもいるし、予想通り侍たちがうっとりした顔でアイを見ているし。あっホートリー大神さまったら、お顔がイカスミで真っ黒……っていうか、どういう食べ方したら顔全部が黒くなるのよ。
頭の中の絵は、まるでアイの目を通して皆を見ているよう。
――どうやら“映像”というのは、脳に絵を書くスキルみたい。けれど絵と違って、アイが映したものは鏡を見ているように鮮明な上に、対象がくのよ。聖の力って、本當にすごい……。
私は目を開けると、アイの頭をでた。
「アイ、すごいわ! とっても上手にできたわね!」
えへへ、とアイが嬉しそうに笑いながら、私の手にほっぺをすりつける。それをひとしきりなでまわしてから、私はみんなを席に座らせた。
改めて、さきほど私が見たアイの新たなスキルについて説明すると、おぉっとどよめきが上がる。
「まさに、聖の奇跡としか言いようがないな……。一どういう仕組みなんだろう」
「ありがたやありがたや……! 信徒ホートリー、またひとつ聖さまの奇跡をこの目で拝見できようとは……!」
ユーリさまが興味深そうに見つめる橫では、大神がまたもやアイを崇《あが》め奉《たてまつ》っている。私の橫では、三侍のひとりがアイの右手をでさすり、もうひとりがアイの左手をでさすり、最後の一人が頭をでさすっていた。もちろん、全員恍惚とした表だ。
「エデリーン、アイが映し出せる映像とやらは、今見たものだけなのか? 過去に見てきたことは?」
「それは……どうでしょう。もう一度試してみないと」
私が首をかしげると、そばでじっと私たちの會話を聞いていた料理人のハロルドが口を開いた。
「……そのちんちくりんが過去の記憶も映し出せるなら」
「ちんちくりんはやめてっ! 『すべての苦悩と罪を洗い流す神の娘兼この世に舞い降りたけがれなき純白の――』」
「わぁかったわかった! なら『姫さん』な!」
フーッフーッと肩で息をする私を、ハロルドがあわててなだめる。
……姫さん? ふうん、まあ、かわいい響きだから、それならギリギリ許してあげてもよくってよ……。
橫ではなぜかユーリさまがくつくつと笑っていた。ハロルドが続ける。
「もし姫さんのスキルで記憶も映し出されるなら、その“ボタモチ”とやらも正がわかるんじゃないか?」
「あっ、確かにそうね!」
私はポンと手を打った。それから急いで、今度はアイのほっぺをつついている三侍を引きはがそうとした。……って待って。なんかこの娘《こ》たち、だんだん、はがれなくなってきてるんだけどっ……! 前より粘著力、上がってない?
力ずくではがしては投げ、はがしては投げを繰り返してようやく自由になったアイの手を摑む。
「アイ、今度は“ボタモチ”のことをママに教えてくれない? 多分、頭に思い浮かべればいけると思うの」
「ぼたもち? いいよ!」
アイがぎゅっと私の手をつかんだ。途端に、頭の中に何かもやもやした映像が浮かび上がる。私はまた鮮明度を上げるために、目をつぶった。
――ぼんやりと浮かび上がるのは、丸い、白い、何か。
……あ、これもしかしてお皿かしら?
じゃあ、この真ん中に載っかってる黒くて丸いこれは……。
これは……。
……うん。
黒くて……丸くて……。
……うん。
私はカッと目を見開いた。
「どうだ? わかったか?」
すぐさまユーリさまが聞いてくる。大神やハロルド、侍に騎士たちもじっと私の言葉を待っている。
……でもね、どうしましょう。こんなこと言っていいのかしら?
――見たけど黒くて丸い以外何かさっぱりわからなかったわ、って。
私は頭を抱えた。
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