《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第13話 探索者に絡まれる探索者!
「おい、ババアっ! 俺たちのほうが先に座っただろうが!!」
電車に響いた聲の主を見ると、優先座席に座った老婆に向かって三人の青年が怒鳴り散らしていた。そのには金屬製の探索者証(ライセンス)。から判別するに、階級はハヤトより一つ上のCランク探索者だ。
あの三人、どこかで……。
「俺たちは毎日の探索で疲れてるんだ。席を譲るのが道理ってもんだろ」
老婆は困った顔をしながら立ち上がる素振りを見せるも、腰が悪いのか揺れる電車では上手く立てないようだった。
「お兄様、あれって……」
「運が悪かったと思うしかないな、あれは」
探索者は日本全土に數千人、數萬人いるといわれている。だから、その全てが聖人君子のように立派な志を持って探索をしているわけではない。當然というか、探索者の中にはただ暴れる場所がしいだけ、命を奪う覚が好きなだけと言った犯罪者まがいの連中もいるのだ。
そして、そういった輩(やから)は往々(おうおう)にしてダンジョンの外でも同じように振舞(ふるま)う。それが分かっているので、他の探索者たちもそれに介しない。厄介ごとを被(こうむ)りたくないからだ。
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「……ちょっと行ってきます」
「ん? おい、エリナ!」
だが、エリナは言うが早いか走り出すと老婆と青年たちの間に割り込んだ。
「恥を知りなさいッ!」
そして、よく通る聲で叱責(しっせき)を響かせた。
「よってたかって大の男が、老婆一人に群がるなんて恥ずかしいと思わないんですかッ!」
「なんだぁ、コイツ」
「邪魔だ、どいてろ」
そう言ってエリナに拳が振るわれる。だが、
「いやあ、すみません」
それをハヤトがけ止め、想笑いを顔にり付けて謝った。
「この子も小さいんで大目に見てやってくださいよ」
「ちょっと、お兄様っ!」
エリナの咎めるような聲がハヤトに突き刺さる。だが、ハヤトはそれを無視して三人に平謝り。
「へえ、お前こいつの兄貴か」
「はい」
そう言った瞬間、ハヤトは毆られた。
「……っ!」
「ガキはしっかり躾とけ」
「……んだと」
“【強化Lv3】【心眼】をインストールできます”
「……ッ!」
“インストールしますか? Y/N”
ハヤトは周囲にバレないように“N”を視線移で選択した。何も知らない連中ならともかく、探索者相手に『外』でスキルを使うのはリスクが大きすぎる。
だからハヤトはへらへら笑いながら立ち上がる。
「エリナ、お前はあっちに行ってろ。おばあちゃん、立てますか?」
そう言って老婆に手を貸して立ち上がらせると、三人の青年に背を向けてその場を離れた。
「んだよ、あの腑抜け」
そう言ってゲタゲタと後ろから嗤い聲がする。
……落ち著け、相手にするな。
息を大きく吸って、大きく吐く。
……あんなのを相手にしてたら、キリがない。
それはダンジョンに潛れば嫌でも分かる。
だから、トラブルを避けるために探索者同士で鉢合わせないようにするのだ。
「ごめんなさいねえ。私のせいで」
「いえいえ、災難でしたね」
ハヤトは隣りの車両の優先座席に老婆を案すると、ため息をついて荷を取るべくその車両に戻った。
「……どうして、何もしなかったんですか」
「何が?」
「どうして、笑ってたんですか!」
「……聲が大きいぞ」
あの三人は優先座席を占拠するようにして、大で座って大きな聲で猥談を繰り広げていた。
「あのな、エリナ。ああいった手合いを相手に毆ってみろ。俺は暴行罪でアウト。スキルを使おうものなら探索者法違反でアウトだ」
「でも……でも……」
それでも、エリナは許せないのだろう。彼は社會常識なら知っている。だが、それでもそれを許すかどうかは別の話なのだ。
「だって、お兄様は悔しくないんですか?」
「……悔しい?」
「そうですよ! だって、毆られて馬鹿にされて、どうしてそれでも笑えるんですか!!」
ふと、ハヤトは思い返した。
……最後に悔しいと思ったのは、いつだっただろう。
悔しさというのは諦めというの対極に存在するものだ。
……俺は、いつから諦めていたんだ?
《ほう、奉仕種族(メイディアン)のくせに言うではないか。どうだ、腰抜けフニャチン早野郎》
(そこまで言われてねえよ)
だが、エリナの言葉で一つ気づかされたのは事実だ。ハヤトは、悔しいと思わなかった。それを仕方ないことだとけれてしまった。
「ま、だからと言って何もできねえよ。あれは確かにマナー違反だけど、特に咎められるようなことじゃない」
「でもお兄様は毆られてます」
「警察も厄介ごとは面倒だから、厳重注意くらいで済ますだろうよ」
スキルが使える探索者相手はよっぽどのことでない限り警察もかない。
「さっきと言ってることが全然違いますよ……」
「それが大人の世界ってもんだ…………あっ!」
ハヤトはふと三人の顔を見ていて、頭に電流が走った。
あの三人は、
《知り合いか?》
(死漁り(スカベンジャー)だ)
《あの三人が……》
死漁り(スカベンジャー)はまだ裝備の整っていない探索者にモンスタートレインを仕掛け、殺した後に裝備を売り飛ばすれっきとした犯罪者集団である。
ハヤトの目の前にいるのは、間違いなくそのうちの三人。あの日、ハヤトが自殺を決意するきっかけとなったあの日にモンスタートレインを仕掛けてきた三人組だったのだ。
「……そうなりゃ、話は変わってくるぞ」
“【強化Lv3】【心眼】をインストールできます”
再びのスキルインストールが発。
“インストールしますか? Y/N”
ハヤトは“Y”を選択。念のため、インストールしておく。例外を除いて、探索者は“外”でのスキル使用を認められていない。だが、一部の事例では認められることがある。
それは、スキルを使って罪を犯している探索者を逮捕するときである。
「……おい」
「あ?」
ハヤトは談笑していた三人に聲をかける。彼らは笑顔を崩してハヤトに振り向いた。
「久しぶりだな。死漁り(スカベンジャー)」
ハヤトの一聲で、電車の探索者の注目が集まった。それも當然だ。死漁り(スカベンジャー)は探索者にとってモンスターよりも恐ろしい存在になりえるからである。
「……テメエ、誰だ」
先ほどまでの大聲はどこへやら。並みの人間なら、その場で逃げ出すほどの殺気を込めた鋭い聲が放たれた。
「モンスタートレインをしかけた相手も覚えてないか」
「……お前、あの時の」
死漁り(スカベンジャー)は、殺した相手の裝備を剝ぎ取るために現場に戻らなければいけない。數日前、彼らはいつも通りにモンスタートレインをボロい裝備を付けている単獨(ソロ)探索者に仕掛けた。
數時間後、戻ってみるとそこに死は無く、有象無象のモンスターたちで溢れていたのだ。彼らにしてもモンスタートレインから逃げ切られたのは初めてのことだったので、ひどく困した。もし顔を見られていたら、逮捕されるリスクがある。
そして、その懸念は今、現実となって表れていた。
ハヤトの前にいた青年が立ち上がる。長は190近くあるだろうか。ハヤトを見下ろし犬歯をむき出しにして笑った。
「証拠はあるのか?」
「証拠?」
「ああ、人に死漁り(スカベンジャー)と難癖付けたんだ。証拠はあるんだろうな」
「勿論、ここにしっかりってる」
そう言ってハヤトは自分の頭を指でさした。
「俺は記憶を映像化できるスキルを持っている。これを警察に見せたら、どうなるだろうな」
勿論、噓だ。だが、その言葉で目の前の三人は明らかに揺した。
「…………何がしたい」
「自首しろよ。アンタらが何人殺したか知らねえけどな」
「……ッ!」
ハヤトの目の前にいた青年の顔が一瞬で真っ赤になった。だが、襲い掛からない。彼の中で冷靜に判斷が行われていることだろう。ここでハヤトを殺すかどうかの。
ここでハヤトを殺せば確実に彼ら三人組は捕まる。だが、たかが人一人。懲役十數年だ。死刑は確実に免れる。だが、ここでハヤトを殺さなければ逮捕されると死刑は確実だ。
ハヤトは戦闘態勢。いついかなる攻撃でも回避できるように構える。こんな連中相手に殺されるような弱ではない。一方の青年も、どちらに天秤が傾いたのか分からないが腰に隠している武に手をかけた。
あわや一即発となった時、
「おいおい、こりゃどういう狀況だ」
外部の聲がってきた。
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