《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第15話 壁にぶつかる探索者!
「そこをどうしてもお願いしますっ!」
「さすがにこればっかりは……」
「そこをなんとか!!」
「無理ですよ…………」
月曜日の朝っぱらからギルドの付で咲に頭を下げるハヤト。
《まさか、こんなところに障害があるとはな……》
死漁り(スカベンジャー)を警察に突き出して數日後、しは自分の話がギルドに伝わっているかとウキウキしながら付に言ったら、死漁り(スカベンジャー)はダイスケが警察に渡したことになっており、それに付き添っていたDランクのモブ探索者は一つとして話が上がっていなかった。
と、悲しい出來事もありダンジョン攻略に熱がった彼は再び一日で9層までクリアした。続けて難関の一つである10層に挑もうとしたときに咲に止められたのだ。
曰く、
「ギルドの規則で10層はソロでは攻略できないんです」
とのことである。流石にハヤトも震える聲で何故を問うた。
「10層以上は敵の強さが跳ね上がるので、その関門(かんもん)である10層攻略は一人ではできないんです」
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ギルドの懸念も當然だ。ハヤトは知らないが10層以上の単獨(ソロ)探索者の殉職率は28%。およそ、三人に一人が死んでいる。だが、これが二人組(ペア)になるとその數字はがくっと下がって7%臺に乗るのだ。
なので、二人以上で10層を攻略し、突破できたら単獨(ソロ)攻略が可能となるのだ。
「な、なら、俺はどうしたら良いんですか……」
「誰かほかの人を見つけるか……。それとも、クランに所屬するかしてもらって、ということになります。あ、ハヤトさんにクランのいが來てますよ。『ヴィクトリア』からです」
その言葉に隣で付をしていた男と場処理をしていた探索者たちがぎょっとした顔でハヤトを見た。當然だ、かの「ヴィクトリア」は団試験を設けるほどの人気クラン。そこから勧が來るなんて話は誰も聞いたことが無い。
「それは、この間斷ったんです……」
「じゃ、このメール消しときますね」
ダイスケ相手に一人でクリアすると言っておいて、一人でクリアできないんで助けてくださいなんて言えるはずもなく。
「どうします? 簡易ペアを組む依頼でも出しときます?」
「あ、そういうのもできるんですか?」
一応、ギルドとしても救済措置を設けている。同じように10層まで単獨(ソロ)で上がってきて、友達も頼る人もいないハヤトのような人間同士をくっつけるシステムがあるのだ。だが、
「お金かかりますけどね。ギルドの仲介手數料が」
「……ですよね」
それなりに、値が張るのだ。ギルドとしてもその場で組んだ即席ペアが強いはずが無いということなど周知している。だから、できるだけ知り合いと組んでほしいという意味を込めてあえて高めに値段を設定しているのである。
言い方を選ばなければ、ギルドは探索者の命に関して責任を負いたくないのだ。
「ちょっと! どうして一人じゃ10層行けないのよ!!」
ふと、遠くから甲高い聲が響いた。ハヤトも咲も思わず聲のほうを見てしまう。そこにいたは恐らくハヤトと同年代。ぱっとするほどしく、咲に負けるとも劣らないほどに可らしい。
しかも、それだけではなく言葉に言い表せない華(・)があった。もしかすると、蕓能人。それもアイドルでもしているのではないかと思わせる、そんな雰囲気を漂わせていた。
「どうして、と言われましても殉職率の関係で……」
に説明している男職員も困り顔である。
「知ってるわよ。けど、私が誰だか知ってるでしょ!」
「はい。ですけど、今(・)の(・)ま(・)ま(・)ですと、一人で攻略はできないんですよ」
《ハヤト、お前これチャンスじゃないか?》
ポツリとヘキサがらした言葉にハヤトはぎょっとしてそちらを見た。
(……俺に行けってか)
《ほかに選択肢もないだろ》
(……ナンパだと思われるかもよ)
《そこはお前のテクニックしだいだろ》
(くそっ……)
ハヤトは心の中で一人ため息。
「……ちょっと、聲かけてきます」
しかし、それ以外に選択肢が無いのも事実。
「えっ、ハヤトさん!? ……うーん。あの人、どっかで見たことあるような」
咲の言葉は耳にはらず、ハヤトは早鐘のようになる自分の心臓を努めて気にしないように歩きながら、職員を困らせているの子に聲をかけた。
「なあ、あんた」
「何よっ!」
聲でかっ。
「組む相手がいなくて困ってるんだろ」
「……そうよ。それがあなたになんの関係があるっての?」
「実は俺もそうなんだ。どうだ、ペアを組まないか」
「いやよ」
一蹴。
「そこをなんとか……」
「アンタみたいな頼りない男は嫌だわ。もっと強そうな人がいい」
「……一応、俺も10層まで一人で來てるんだけど」
「私も一人で來てるわよ!」
「そうっすか……」
《駄目だハヤト! 撤収しろ!!》
ヘキサ軍師の指揮の下、ハヤト二等兵決死の撤退。
「……駄目でしたね。けど、ハヤトさんなら大丈夫です! すぐに見つかりますよ」
一部始終を見ていた咲からめの言葉を貰った。けど、気が付いてほしい。こんな時にめの言葉は余計に傷を抉るだけなのだと。
「俺は心が折れましたよ……。ははっ、今日はもう帰ろうかな……」
「……簡易ペアの申請、出しておきます?」
「……はい。もうそうしてください」
必要経費と割り切ろう。3萬くらい取られるけど。
「俺は……そこの喫茶店(スタバ)で暇でも潰しておきます…………」
「ペアが見つかったらすぐにお伝えしますよ!」
完全に真っ白になってしまったハヤトの背中を咲は優しく見送ることにした。
「……はぁ」
《ため息つきすぎだぞ》
ハヤトは喫茶店で一番安い珈琲を注文して、ダンジョン攻略本を広げると10層以上を読んで暇をつぶしていたが、1時間経っても2時間経っても一向に咲からの連絡は來ない。
(だってさぁ……。こんなことある?)
《……普通に攻略本に書いてあったな。ソロじゃ無理なこと》
(先の階層読まなかったのが悪いけどさぁ……)
そう、暇つぶしのために攻略本を開いたら10層の最初のページの最初の行に書いてあったのだ。単獨(ソロ)攻略は無理だと。
(もう晝時だよ。こんなに遅いならここで待たずにダンジョンに潛れば良かったなぁ……)
《終わったことを嘆いても仕方あるまい》
「はぁ……」
既に何回目になるか分からないため息をついた瞬間、
「見つけたわっ!」
喫茶店の中に大聲が響いた。
……うるさっ!
喫茶店の中にいた探索者たちの視線が聲の主に集まる。案の定というか、聲の主は今朝のだった。彼はカツカツと音を立ててハヤトのほうにやってくると、彼のテーブルの前にある椅子にどっかり座った。
「まだペアは見つかっていないようね」
「……まぁ」
「私が組んであげてもいいわ」
「お前も見つかんなかったのか」
「ち、違うわよ」
「…………」
ハヤトは彼の顔をじぃっと見た。
「そ、そうよ。何か悪いわけ?」
「いや、別に……。俺はハヤト。Dランク探索者だ」
探索者同士に余計な談笑は必要ないだろう。ハヤトはそう言って手を差し出した。
「私は、はなぞ……いえ、唯(ゆい)よ。一日だけだと思うけど、よろしく」
「ユイさんか。よろしく」
「様づけでもいいわ」
「……よし、潛るか」
「ちょっと無視しないで?」
変なやつと組むことになったなぁ、と思いながらハヤトは今日一番のため息をついた。
《ちゃんと生還できればいいな》
ほんとだよ。
はやくも前作の評価を超えることができました!
これも皆様の応援のおかげです!!
ありがとうございます!!!
【書籍化決定】拾ったギャルをお世話したら、〇フレになったんだが。
ある日、吉永海斗(よしながかいと)はバイトを終えて家に帰ると。 一人暮らしをしているアパートに、ずぶ濡れのギャルがうずくまっていた。 なんとその子は、同じ高校に通っている1年生にして、トップカーストの中でも上位の超勝ち組。 清坂純夏(きよさかすみか)だった。 見るに見兼ねた海斗は、純夏を家に上げて獻身的に面倒を見る。 一人暮らしかつ優しい海斗に、純夏はとんでもない関係を持ち掛けた──。
8 139じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
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