《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第28話 友達ってまず言葉の響きが良いんだよ!
「何これ?」
ハヤトはそこに落ちた寶石を持ち上げながら誰にともなく問う。すると、すぐに答えが返ってきた。
「ああ、それが転移の寶珠よ。運がいいわね」
「これが……」
『転移の寶珠』
推定売卻価格は數千萬。これは一度見たことのある場所に一切の時間を必要とせずに転移することができる寶珠であるが、これがそこまでの高値を付けられている理由はただ一つ。
これは、外の世界でも使えるのである。
だが、探索者たちはこの寶珠を売ろうとしない。ダンジョンは死地の世界。特に前線攻略者(フロントランナー)は未開の大地を自ら踏みしめて先に進むわけである。そこには険しい壁が立ちふさがっている。だから彼らは中域攻略者(ミドルランナー)とは比べにならないほどの殉職率を誇っているのだ。
去年の前線攻略者(フロントランナー)の殉職率は14.6%。注意したいのは、この數字が鍛え抜かれた鋭たちの數字ということである。今回攻略した20層のトラップエリアは特に殉職者が出たと聞く。あまねくトラップは人が乗らねば起しないからだ。
Advertisement
このダンジョン攻略本のマップに記されている罠(トラップ)の數はすなわち、それだけの犠牲者を指す。
たが、そんな死の世界においてもこの寶珠が一つあるだけで、生存確率が大きく違う。即死のトラップを除けば、全ての狀況にこの転移の寶珠だけで解決できるからだ。
「ハヤト、転移の寶珠は持ってるの?」
「いや。俺は持ってないけど」
「じゃ、あげるわよ、それ。今日は無理して連れてきちゃったし」
「いいのか? これって結構、貴重品だろ」
「ふっふっふ」
ユイはそういうとポーチに手をれて三つの転移の寶珠を取り出した。
「じゃーん! どうよ!!」
「すげえ! なんでそんなに持ってんの!!?」
「ほら、私って探索者兼アイドルじゃない?」
「そうだな」
「だから、探索者の中にもファンがたくさんいるの。そしたらこういうプレゼントも屆くのよ」
「へぇー。すごいな、アイドル。金稼げるじゃん」
「アンタ、ファンからのプレゼントをなんだと思ってるの? 信じられない……」
「…………」
「ま、流石に売り飛ばしたり捨てたりしないわよ。よっぽどじゃない限り」
「よっぽど?」
「なに? 聞きたいの?」
「いや、いいっす……」
あんまりれないほうが良い気配を察知した。まぁ、大変なんだろう。々と。
「けど、転移の寶珠なんて貴重品をよくプレゼントで贈れるよな」
「何か新しいファンからの贈りなんだけど、最近まで前線攻略者(フロントランナー)やってたらしいわ。けど私たちの魅力に気づいて辭めたんだって。手紙(ファンレター)に書いてあったの」
「へぇー」
前線攻略者(フロントランナー)を辭めて、アイドルに貴重品をプレゼントするだなんてよっぽどれ込んでいるのだろう。世の中、いろんな人がいるものだ。
《なんか似たような話をどこかで……》
(あぁー。どこだったかな……)
二人して思い出せずに悩んでいる、こちらをじぃっと見るユイと目が合った。
「……何?」
「いや、視線がこっち向いてなかったから」
……勘が良すぎないか、こいつ。
「……ユイガカワイクテミレナカッタンダヨ」
「なんかそこまで適當だと一周回って許せるわ」
「そりゃどうも……」
「んで、ハヤトはここからどうすんの?」
「21層の下見をして、安全圏(セーフエリア)まで楽に行けそうだったらそのまま階層主(ボス)を倒そうかな」
「ちょっとハイペース過ぎない? 曲(まが)りなりにも20層以上なのよ? 今までの覚で挑むと返り討ちにされるわ」
「心配してくれてんの?」
「そりゃするわよ。友達が死にそうな目にあうかも知れないのよ」
「と、友達……?」
「そうよ……。どうしたの、そんな顔して。まさか、友達いないとか言うんじゃないでしょうね」
「は、初めて友達ができた……」
「マジでどういう生活送ってきたのよ……」
友達いないだけでそんなに悲嘆する必要ないだろ!!
「ユイはどうすんだ?」
「私は……どうしよ。ついていこうかな」
「…………なんで?」
「何? 嫌なの?」
「別にどっちでもいいけど」
「何その言い方。って、ホントのこと言うと今の時間は上(ギルド)が混雑してるからあんまり帰りたくないのよ」
「ああ、目立つからか」
「そ。ダンジョンなら仮面してても通るけど、上は通らないでしょ?」
「そうだな。ダンジョン退出の本人確認があるもんな」
ダンジョン退出時は本人かどうかの顔判斷が行われる。これは死漁り(スカベンジャー)などの探索者殺しが本人を偽って退出し、死の処理をして元行方不明(アンノウン)が出ることを防ぐためである。
「まあ、しゃーない。行くか……」
「あ、ちょっと待って。ハヤト、あんたのステータスって今どれくらい?」
「……なんでそんなこと聞くんだ?」
「超高階層に行くんでしょ? 相手のステータスを知っておくのは重要じゃないの。平均で良いわ。流石に平均は出せるでしょ?」
「馬鹿にすんな。流石にそれくらい俺でも出來るわ」
全部を足して足した數だけ割ればいいのだ。
ハヤトはすぐにステータスを確認した。
----------------------------------------------
天原(あまはら) 疾人(はやと)
HP:33 MP:45
STR:21 VIT;20
AGI:21 INT:14
LUC:04 HUM;60
【アクティブスキル】
『武創造』
【パッシブスキル】
『スキルインストール』
----------------------------------------------
お? 運(LUC)が増えてる。
(ていうか人間(HUM)がどんどん上がってんだけど)
《私がお前に馴染みつつあるんだろう。人間に戻りつつあるってわけだ》
ハヤトはステータスの平均を素早く計算すると、それをユイに伝えた。
「19だ」
「適正階層は2層低いの(マイナス2F)か……」
「ん、まずいか?」
「低い人の中では高いほうよ」
「んん……?」
日本語って難しいね。
「やっぱり攻略するなら平均(アベレージ)が21になるまでどこかでステータスを上げたほうが良いんだけどね」
「ま、それはおいおいなんとかなるだろ」
「ならないから言ってるのよ。果は一朝一夕で(すぐに)出るようなもんじゃないんだから」
「ステータスが全てじゃないぞ」
「それは認めるけど、あって困るものでもないでしょ。21階じゃ20時まで狩りをしましょ。途中で行けそうだと思ったら先に進めばいいし、無理そうなら階層主(ボス)に挑む。これでどう?」
「お、おぉ……」
「何、そんな目でみて」
「ユイ、お前トレーナーに向いてるかもな」
「本當? 初めて言われたわ。そんなこと」
「まるで本の前線攻略者(フロントランナー)みたいだった」
「縛るわよ」
二人は仲良く會話しながら21階層へと降りていった。
【書籍化・コミカライズ】無自覚な天才少女は気付かない~あらゆる分野で努力しても家族が全く褒めてくれないので、家出して冒険者になりました~
各分野のエキスパートである両親と兄姉5人を持つリリアーヌ・アジェットは幼いころから家族から最高水準の教育を受け続け、15歳になった今ではあらゆる分野で天才と呼ばれている。 しかし家族が全員「この子はこんなに可愛い上に素晴らしい才能もあるのだから、自分くらいは心を鬼にして厳しいことを言わないとわがままに育ってしまうだろう」とそれぞれ思っていたせいで、一度も褒められた事がなかった。 ある日突然遠縁の少女、ニナが事情があって義妹となったのだが、いくら頑張っても自分を認めてくれなかった家族が全員ニナには惜しみなく褒め言葉をかける様子を見て絶望したリリアーヌは書置きを殘して姿を消した。 (ここまでが第8部分) 新天地で身分を偽り名を変えたリリアーヌだが、家族の言う「このくらいできて當然」という言葉を真に受けて成長したため信じられないくらいに自己評価が低い。「このくらいできて當然の最低レベルだと習いましたが……」と、無自覚に周りの心をボキボキに折っていく。 殘された家族は「自分を含めた家族全員が一度もリリアーヌを褒めたことがなかった」とやっと気づくのだが…… 【コミカライズ進行中】
8 170日本円でダンジョン運営
総資産一兆円の御曹司、笹原宗治。しかし、それだけの金を持っていても豪遊はしなかった。山奧でひっそりと暮らす彼は、愛犬ジョセフィーヌと戯れるだけのなんの変哲もない日々に飽きていた。そんな彼の元に訪れた神の使いを名乗る男。彼との出會いにより、ジョセフィーヌと供に異世界でダンジョン運営をすることに。そんなダンジョンを運営するために必要だったのが、日本円。これは、笹原宗治がジョセフィーヌと供に総資産一兆円を駆使してダンジョンを運営していく物語。
8 72魔法の世界でプログラム
序章 2017/06/01 序章スタート。(過労死するまでの話です。IT業界の事がすこしだけ書かれています。) 俺は、真辺。しがない。プログラマをやっている。 火消し作業から久しぶりに戻ってきた會社で、次の現場の話をされる。 営業からのお願いという名前の強制受注が決まった。 5ヶ月近く現場を駆けずり回って、なんとかリリースが見えてきた。 そんな時、SIerの不正が発覚。善後策を考えるために會社に戻る事になる。しかし、そこで更なる訃報が屆く。 俺達は、身體以上に心が疲れてしまっていた。今日は久しぶりに家に帰ってゆっくり休む事にした。 しかし、俺は電車を待つホームのベンチで眠るように死んでしまった。 いわゆる過労死というやつだ。 少年期 2017/06/11 第11話。少年期編スタート(人物紹介や設定紹介が多い) 俺は、アルノルト・フォン・ライムバッハ。辺境伯の後継ぎだと言われている。 俺はどうやら魔法のある世界に生まれ変わった様だ。 最初は言葉もわからなかった。スキルを得て言葉がわかるようになると、次は魔法を使ってみたくなる。 無事魔法が使える事がわかる。 友と出會い。日々を過ごしている。 そんな俺に、一つの情報が屆く。”ライムバッハ家”を狙った賊が居るという物だ。 俺は、その情報を冒険者から聞いて、寮を出て救出に向かった・・・。 冒険者 2017/07/01 第36話。冒険者編スタート。 アルノルト・フォン・ライムバッハは、再出発を行う。それは、冒険者として生きる事になる。 その前に、やらなければならない事がある。それを、片付ける為に、ライムバッハ領に向かう事になる。 ライムバッハ領での用事を終わらせて、共和國に向かう事にする。
8 162Creation World Online
指先1つで世界さえも思いの儘だ--- 【Creation World Online】人類初のフルダイヴ型のMMORPG。 そんな夢が詰まったゲームは突如悪夢へと変わった。 主人公シュウはそんなデスゲームと化したこのゲームを自身の固有スキルでクリアしていく。
8 78魔術で成績が決まる學園で魔法を使って學園最強
いじめの辛さに耐えてかねて自殺してしまった主人公カルド。そしたら神に君は自殺者10000人記念だからと転生させてもらった。そこは魔術で人生が決まる世界その中でどうやって生きていくのか
8 88都市伝説の魔術師
ゴールデンウィークが明け、六月。『事件』後、家族と仲睦まじく暮らしていた柊木香月とその妹夢実。 彼の本業である學生生活と、『裏の仕事』も順風満帆に進んでいた。 彼の裏の仕事は魔術師だった。それも魔術師として優秀な存在であった。 最強の魔術師にも弱點はある。 「私は……仕方がない。都市伝説に『殺されても』仕方ないのよ……!」 「そうであったとしても、罪を裁かれようとしても……女性が涙を流している。それだけで助ける理由には充分過ぎると思うのだが?」 魔術師柊木香月は都市伝説から彼女を守るべく、取った行動とは――! 「……どうしてお兄ちゃんは毎回のように女の子を助けてくるのかな? もうこれで數えきれない程の回數なのだけれど。お兄ちゃん、慘殺か虐殺、どっちがいい?」 「ちょっと待ってくれ夢実! いつから君はヤンデレになったんだ! 頼むからそのコンパイルキューブを仕舞ってくれ! なあ!? 頼むから!!」 現代に生きる魔術師とその爭いを描く、シリーズ第二弾登場!
8 85