《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第29話 火力不足の探索者!
「火力が足りなぁいっ!!!!」
「うわっ、びっくりしたー。もう! ご主人様、突然大聲出さないでくださいよ!!」
ハヤトがいるのは自宅の一口しかないガスコンロの前。せめて炒飯(チャーハン)くらいは作れるようになっておきましょうとエリナがいうので考え事しながら料理をしていたのだ。
だが、
「なんですか、ガスコンロの話ですか? まあ、確かに業務用のソレと比べると火力は落ちますけど……」
「……違う。探索者の話」
日曜日の晝前。傍(はた)から見れば妹に炒飯を作る優しい兄に見えるだろう。まあ、16の男が12歳くらいのの子から炒飯の作り方を教わっているわけだが。
「ねー、なんでそんなぐるぐるかき混ぜるんですか! お米が潰れちゃいます……って、ちょっと、本當に潰すの止めてください!!」
生クリームを泡立てるときのように菜箸(さいばし)でお米をかき混ぜるハヤト。
「いや、こうやったほうが火の通りがいいかなって……。それにかき混ぜないとフライパンにくっつくだろ?」
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「これはテフロン加工してあるから大丈夫なんです!! もっとティファールを信じて!!」
「え、そうなの……。エリナがそう言うなら……」
「小學校の家庭科でやりますよね。調理実習」
「ん? ウチの學校は無かったよ」
「いやいや、義務教育ですから」
「ちょっと特殊だったんだよ。ウチの學校」
《ハヤトの言ってることは正しいぞ。コイツの記憶を見た限り、小學校の授業に家庭科そのものが無い》
「……それ、マジで言ってるんですか?」
「うん。前時代的というか、なんと言うか。けど男に家庭科の授業は無かったなぁ……」
「の子限定ですか?」
「うーん……。そういうわけでもないけど、まあそんなじで大あってる。家庭科の代わりに男は育に充てられてたわけ。まあ、育って言っても基礎力作るようなトレーニングばっかりだったけど」
「どんな學校なんですか……そこ……」
「特殊な學校」
「それはいいです! 今日の料理を見ている限り、ご主人様が卵も割れないということがよく分かりました!!」
「まて、言い訳させてくれ! ステータスが上がったから力の込め合が分かんなかったんだよ!! 卵るのなんて二年ぶりだから!!!」
「ご主人様は私が來なかったらどう生活していくつもりだったんですか……」
「だから、れてなかっただけで料理しようと思ったらできるんだって」
「自稱料理男子ほどあてにならないものはありません!! どうせ料理って言ったってカップラーメンでしょ!」
「あ、俺カップラーメン食べたこと無いんだよね」
「もう! どさくさに紛れてとんでもないことカミングアウトするのご主人様の悪い癖ですよ!! 即行止(や)めてください!!!」
「別にそういうわけじゃ……」
「焦げてる! 焦げてます!! 速くフライパンからお皿によそって!!!」
「お、おう……」
ハヤトはフライパンをガスコンロから持ち上げてお皿に炒飯をよそった。
「ガスは切ってからフライパンを持ち上げるんですよ。ご主人様」
「次から気を付ける」
エリナが火のついたままのガスコンロのつまみをひねって火を消す。
「あと、カッコつけてフライパンを振らなくていいですからね。あれは本職(プロ)の技ですから」
「次から気を付ける」
そう言ってしコンロ周りに飛び散った米粒をエリナが掃除して捨てる。
「卵はお皿の上で割るんですよ?」
「違うんだって、ちょっと力んだら割れたんだって」
ハヤトは卵が落ちた床をティッシュで念に拭いていた。
「どんな握力してるんですか。意味わかんない言い訳しないで次に活かしてください」
「うぅ……。ヘキサぁー、エリナが冷たいよぉ!」
《いや、チャーハンも作れないお前が悪いだろ……。だいたい包丁を刀みたいに握るやつ初めて見たぞ……》
「刃の持ち方あれ以外知らないんだよぉ……」
「それはそれでヤバい発言しないでください。料理に関してもう何も言いませんから、さっそく食べましょ」
そういって二人してテーブルの前について一口運ぶ。
「うん、味は良いな。良くできた」
《なんでドヤ顔してるんだ。凄いのはお前じゃなくて鶏がらスープの素(もと)だろ》
「…………」
《無心で食うな》
「そういえばご主人様、さっき何か言いかけてなかったですか?」
「ん? 何か言ったっけ」
「火力が足りないとかなんとか」
「あ、それそれ。その話がしたかったんだよ」
「分かったから口閉じてくださいね。口にご飯粒ついてますから」
「ありがと、エリナ」
《まるで介護だな……》
ヘキサの一言に先に反応したのはエリナだった。
「これは奉仕です!!」
《お、おぉ……。そうか……》
「そろそろ話していいっすかね……」
ハヤトの言葉にヘキサとエリナが頷いた。
「最近、20層以上で戦い始めてから敵が固すぎて火力が足りないって思うんだ」
「ステータス不足ですか?」
「それもあると思う。けど、一応平均値は20に近づいてるんだ。だから、そこまでステータス不足が原因とは思えないんだよ」
《武のせいだろ》
「「武?」」
《ああ。ハヤトの生み出す武が20階以上の超高階層に適応してないだけだろ。それだけだ》
「武かぁ……。うーん、難しいなぁ……」
《別に難しくないぞ? お前が武を記號化しすぎてるだけだ》
「……なんつった?」
《記號化。まあ、だいぶ端折(はしょ)って言うとだな、普通の人間が“♨”って文字みたら溫泉を思い浮かべるだろ?》
そう言って空中に地図記號を表示するヘキサ。
どうやってんだろ、それ。
「まあ、そうだな」
《それと同じでお前は武と聞いて思い浮かべる武が同じばっかりなんだよ》
「はー、なるほど」
《だから、武のレパートリーを増やすべきだ》
「確かにそうだな」
《じゃあ飯食ったら出かけるぞ》
「どこに?」
《武屋以外のどこに行くって言うんだ》
ですよね。
というわけで ハヤトたちはギルドで貰ったパンフレットに載っている地図に従って武屋に訪れたのだ。
「武屋と言っても基本的に防屋と兼業なんだけどな」
「二つ合わせて裝備屋とも言いますもんね」
正式名稱は他にあるのだが、ゲームから持ち込まれた言葉のほうが皆、聞きなれており使い心地も良かったことからそちらが定著したのだ。
「んで、ほんとにここで合ってんの?」
「一応……ギルドで貰ったパンフレットには載ってますけど……」
ということは提攜店だ。割引が使える、のだが……。
「看板も何も無いんだけど」
「うわっ……窓ガラスもないですよ? 消防法的にセーフなんでしょうか、この建」
「なーんか、防買うときにった最初の店と近い匂いがするぞ……」
「どうします? 別のお店にります?」
と、エリナと二人で黒塗りの建を外から眺めていると、
「ハヤト……久しぶり」
「……ん?」
ふと、ハヤトの名を呼ぶ。
ハヤトの中に潛む本能が全力で危険をぶが、染み付いた反が先に首をかして振り向いた。
「ゲッ、シオリッ!?」
その瞬間、エリナとヘキサはスキルも使わず人間が1m近く飛び上がるのを初めて見たという。
「いえーい」
著地と同時に足をひねってこけたハヤトに向かってダウナー系のがピースで答えた。
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