《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第7-25話 深淵の攻略者たち!

「暗いなあ、ここ」

その階層をなんと呼ぶべきだろうか。例えるのであれば『地下跡』ステージとでも呼ぶべきだろうか。壁面の所どころに木のが生えており、どこかからあふれ出した水がそっと地面を伝っている。

苔で覆われた地面では足がりやすくなっており、さらには地面を覆っているレンガらしき石の破片があちこち無くなっていたりするので歩きにくい事この上ない。

「松明(たいまつ)でも持ってくればよかったかな?」

「『水燈石』でもよかったな」

「そもそもここって暗視系のスキルを持ってること前提なのかもね」

2人で喋りながら歩いてると、後ろから苦が上がった。

「なあ、お前らって普段からそんな喋りつつ攻略してんの?」

「え。うん。まあ」

レーネを倒した後、階層の狹間で眠っていたら上からヒロが降りて來て運よく合流出來たのである。ちなみにだが安全圏(セーフエリア)でも無いところで寢るなとマジギレされた。

「どうしたのヒロ。會話にれなくて寂しかった?」

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「ぶち殺すぞ。よくそんなに喋ってて集中できると思ったんだよ」

今いるのは87階層。掛け値なしの最下層。地球に存在する7ダンジョンの最深部である。モンスターは一周まわって笑えてしまうほどに強いし、罠(トラップ)もえげつない。普通に即死するような罠だらけだ。

しかしアイゼルの『魔法』によってモンスターを避けることが出來るし、ヒロは何故だかよく分からない技で罠(トラップ)が見えるらしくてこの2人にくっついて歩いているハヤトは何もしなくても勝手に攻略が進んでいるのである。

パーティー攻略って楽なんだなぁ……。

《お前がやってるのは寄生だけどな……》

(何だとっ!!)

その時、手にツルハシをもったゾンビみたいな男が差している道の端から現れた。87階層のモンスターだ。ハヤトの生み出した氷柱(ツララ)が一瞬で頭を貫いて砕く。大砲もかくやという衝撃で激突した氷柱(ツララ)のせいでを大きく逸らしたモンスターだったが、すぐに頭部を削られた狀態で起き上がった。

この階層まで降りると頭を吹き飛ばしたくらいでは死にやしない。先制攻撃で出來た隙に飛び込んだアイゼルが魔劍を抜いて2連撃。を大きく斷ち切った魔劍の剣筋は猛者のそれ。が大きく3つに分割されたモンスターはをさらにかそうとしたが、止めの一撃とばかりに心臓を貫かれると黒い霧になって霧散した。

霧散した黒い霧の中に1つだけ殘ったのは頭蓋骨。だがどこか並々ならぬオーラをまとっている。

「なんだこれ」

「魔法使いの武っぽいね。ハヤトいる?」

「要らねえ」

「じゃあヒロ」

「何で俺に回すんだよ」

「ならこれは上で売ろう」

アイゼルはそう言ってハヤトに頭蓋骨を投げた。彼はそれを用にキャッチすると、アイテムボックスにしまい込む。階層主(ボス)部屋まで最短ルートの攻略を目指しているが、どうしても途中でモンスターと出會ってしまうことは避けられない。

そのため、最低限のモンスターだけを狩っているのだが下に降りれば降りるほどモンスターの量も増えていく。そのため、アイテムボックスにはそう言ったモンスターたちが落としたドロップアイテムだらけだ。

それらを全部売るだけでも億を超えるくらいにはなるだろう。もはやハヤトには的な金の量が想像つかない世界だが、著ている防がそれくらいすると思うと大したことないと思ってしまう。

《金銭覚ガバガバだなぁ》

(昔はちゃんとしてたのになぁ。これも探索者ドリームってやつかな?)

《は?》

ギイィィィイイイイイイイイイインンンン!!!!

突如として、ステージ全に響き渡るほどの激しい金屬音。彼ら3人は顔を見合わせて、飛び上がると『地下跡』ステージの天井に刃を突き立ててそれにしっかりと捕まった。次の瞬間、通路全を埋めるような巨大な金屬製の戦車が駆け抜けていく。

3人はそれをすれすれのところで回避すると、そろって息を吐き地面に降りた。

「あれ止められないのかな?」

「やって見る?」

「止めとけ止めとけ。あれはギミックだから力じゃ止められねえよ」

ということである。ギミックとはステージそのものに影響を及ぼすようなものだ。例えばいつぞやの雪だるま。あれは階層主(ボス)部屋を開けると『溶巖』ステージだったものが一転して氷漬けのステージへと変化した。

他にはただの『草原』ステージだったものが、塔の上にあるレバーを引くとステージ全が水沒したりだとか、ああ言ったを総じてギミックと呼ぶ。

「じゃあ、ぶつからないように先に行くか」

「そうだな」

87階層は複數ステージ構造と言うべきか、1つのステージ自は1km×1kmの比較的小さなステージだが、その階層の準階層主(ニア・ボス)を倒すと底に底に向かう階層構造だった。

ハヤトは日本の67階層を思い出して懐かしい気持ちになりながら、ステージをさくさくと進めていると1時間ちょっとで今までの準階層主(ニア・ボス)部屋とは違うとても大きな扉に出會った。

「……ここ?」

「ああ。間違いない」

アイゼルは瞳を輝かせてそう言った。ということは正しいのだ。

「開けるぞ」

ハヤトはそっと階層主(ボス)部屋の扉に手をあてて押し込んだ。ここは87階層。つまり、ダンジョンの最下層だ。ここの階層主(ボス)を倒して、イギリスの『核の』を倒せばここまでの旅は終わる。

全てをひっくるめた半年間は本當に激の半年間だった。

なーんてことを思い返すのだが、いまいち実がわかない。ここの階層主(ボス)を倒してもまだ次の階層へと向かう扉が出てきそうなじがするのだ。

「ようやく、來たな」

階層主(ボス)部屋の中心にいた年が、待ちわびたようにそう言った。その手前には2人の年たちが剣を構えて立っている。ちょうど良い事に、人數は3vs3。

「上の連中は弱かっただろ」

そう言って本を呼び出した年は犬歯を向きだしにして笑った。

「まさか。強かったよ」

ハヤトはそう言って槍を生み出す。

“【槍神】【武神の歩み】【狩人の神髄】をインストールします”

“インストール完了”

さあ、準備は完全に整った。

「ここで3人殺してしまえば俺たちの悲願に近づく」

その年の後ろには見るだけで呼吸を忘れそうになる貌のがちらりと見えた。だが、すぐに消える。

《はっ。威嚇のつもりか。モノ》

ヘキサは馬鹿にするように笑う。

「これで、終わりにしよう」

ルザルの手が本へとれる。その瞬間に、互いの足が地面を蹴った。

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