《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第8-6話 向かうは踏破者!

「元気そうで安心しましたよ」

「そ、それは……こちらのセリフですぅ……」

咲桜(さくら)はゆっくり歩いてメイの隣に座った。

「ハヤトさんも出會ったんですよね。天日(あまひ)さんに」

「えぇ、まあ……」

その口ぶりだと咲桜(さくら)さんも出會っているんだろう。まぁこの人をぼっこぼこに出來る人って言えば天日(あまひ)くらいしか思いつかないし……。

「あれは本(・)(・)ですか?」

単刀直に咲桜(さくら)が尋ねた。

「……。あの人が使う“天原”の技はどれもこれも本(・)(・)でしたよ」

「ハヤトさんは、どう思います?」

「……俺は本だと、思います」

ハヤトの言葉に、深く咲桜(さくら)は頷いた。

「理由を聞かせて貰えますか?」

「その……直で」

「なるほど。“魔”祓いの覚を信じましょう。天日(あまひ)さんは、何と言ってハヤトさんのところに來たんですか?」

「その……仲間にならないかって言われました。弱いから、“天原”に向いてるとかなんとか言ってましたよ……」

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「弱いから……」

なるほど。と、咲桜(さくら)は頷いた。

納得するんですね。咲桜(さくら)さん……。

まあ、確かに俺は強くないけどさぁ……。

《くよくよするな》

(でもさぁ……)

「昨日未明、“八璃(やさかに)”が襲撃をけました。それと同時期に私個人を狙った襲撃もありました。恐らく、次は“八咫”が狙われると推測できます」

「まぁ、そうでしょうね」

流石にここまで骨に“三家”を狙っているのだ。俺でもその順序は簡単に予想がつく。

「はい。ハヤトさんでも想像が出來るほど相手の思考は単純。つまり、向こうには絶対の自信があるのです」

今さらっとディスられなかった?

「だからここは裏をかいて“草薙”の襲撃の可能も考えられますし、今日は襲撃を休んで日本全國での同時テロ活が行われるという可能もあります」

「……占いは?」

ハヤトがそういうと、咲桜(さくら)は肩をすくめた。

「アマネさんにやってもらってますけど、何回やっても結果が出ないそうです」

「結果が出ない? 何でそんなことに」

「強力な妨害が働いていると。まあ、そんなことが出來るのは“伏見”のあの人くらいでしょうし」

「無理やり協力させられてるってことですかね」

《ケモミミ待ダメ絶対!》

おい、真面目な話してるんだぞ。

「その可能もありますし、そもそも“伏見”のあの人と天日(あまひ)さんは知り合いですから……」

「え!? 知り合いなんですか!!?」

「はい。顔見知りだそうですよ? 流石に“草薙”の祖とはあったこと無いとは言ってましたけど、分家の祖は全員會ったことがあるそうです」

「はぇー。すっごい長生き……」

ってか“魔”絶対殺すウーマンの天日(あまひ)と出會ってよく生き殘ったな、あの人。ということはあの人も強いのかな。嫌だなぁ。

「というわけで占いは使いになりません。なので我々が対処するしかないのです。しかし、圧倒的に人間の數が足りない」

「探索者に頼りますか?」

「巻き込めないでしょう……。流石にこれには」

「まぁ。ですよね」

自慢ではないが、探索者の中でも俺は結構弾戦には自信がある。そんな俺はもちろん、アイゼルやヒロですらも歯が立たずにやられたのだ。これ以上探索者を増やしても犠牲が増えるだけだろう。

「もしかして私ならやると思ってました?」

「ええ、まあ……」

「ごめんなさいね。見た目だけは大和子で」

やっべ。に持ってる……。

《素直にごめんなさいってしたらどうだ?》

(それで許してくれると思うか?)

《思わん》

(だよなぁ……)

「というわけで、今から“八咫”の護衛につきます」

「へ? 今からですか?」

「時間がないので」

「それ、俺も行かなきゃ駄目ですかね」

「別に來なくても良いですけど、次は1人で天日(あまひ)さんの相手するんですか?」

「……行きまぁす」

次あったら普通に殺されそうだからなぁ……。

「メイさんはどうします?」

「へ? 行きますよぅ!」

酔っぱらったメイさんは立ち上がって、俺にもたれかかってきた。

「じゃ、ハヤトさん。つれてってあげてください」

「マジですか」

「それともあれですか? 見た目だけは大和子の私に運べと?」

「うぅ……。ごめんなさい……」

というわけで、肩をかして建の中を移。2回くらい吐きそうになったのは流石にビビったが、運良く悲慘なことにはならず“草薙”が用意した車に乗り込んだ。

「……って、何でヒロがここにいんの」

「向こうの車にアイゼルも乗ってんぞ」

3列シートの最後尾にメイを寢かそうとすると、何故か2列目にヒロが座っていた。

「別にヒロたちが手伝う必要ないぞ?」

「と、思うだろ。“來訪者”はいま世界の移が出來ない」

「つまり?」

「俺たちは帰れない」

「は?」

どゆこと?

「正確に言えば、大きな“呪い”の余波みたいなもんなんだが……。とにかくそれで、俺達は帰れないんだ。帰るためには、呪いの元兇をぶっ壊さないといけないらしい」

「はー。なるほど。そういえばイグレスさんは?」

「あいつは知らん。好き勝手にやってるだろ」

「えぇ……」

隨分適當だなぁ。

「じゃあ、出発してください」

助手席に座った咲桜(さくら)さんが運転手にそう指示すると、他の車の後ろについてハヤトたちの車も移を始めた。

「あの化けみたいに強いは結局ハヤトの先祖なのか?」

「……たぶん」

「どういう理屈で1000年も生きているんだ」

どうやら會議でそこらへんの知識は共有したらしい。

そのため、ヒロがそう尋ねてきたが。

「それが分かれば苦労しないんだよなぁ」

「まぁ、そっか。けど、一つ気になることがある」

「なに?」

「あの歳で……子供を産んだと思うか?」

「どういうこと?」

「見た目は完全に10歳くらいだったろ。エロ漫畫でもあるまいし、あの歳で妊娠・出産が出來るわけがない」

「うーん?」

あいにくと保健の授業は苦手だったのよ……。

「つまり、何が言いたいんだ?」

「つまり、俺が言いたいのは若返ってないかってことだ」

「若返り……」

「おう。お前、そういうの詳しいだろ。人間が若返る方法って知っているか?」

「逆なら知ってるけどなァ」

「逆?」

「浦島太郎」

「ああ」

日本でも有名な小話だ。今更説明する必要もないだろう。

「でも、あれ本當にあった話なんだよ。あれは人が“異界”に迷い込んだ話なんだ。つっても別に珍しいことじゃない。強大な“魔”は我(・)が強すぎて外の世界に影響を及ぼすことがある。だから、世界中に似たような話があるだろ? 別の世界に迷い込む話が」

「……なるほどな」

「だけど、若返るか……。あっ」

何かないかと記憶の片隅を探っていた所、ハヤトは一つ閃くものがあった。

「どした?」

「……桃だ」

「は?」

「桃太郎だッ!!」

「はぁ?」

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