《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第8-9話 形代と踏破者!

「むちゃくちゃだッ!!」

ハヤトはヒロがグルグル巻きにしたを抱えて出。ついでと言わんばかりに咲桜(さくら)が後ろから先ほどのをハヤトに投げつけてきたので、右手になわで巻かれた。左手に武裝解除した。そして背中にメイを抱えて発を回避。

ってか後ろのこの人はいつになったら起きるんだ……ッ!!

周囲の建が激しく揺れて、窓ガラスが全て砕け散り々になって巻き散る。それらを綺麗に避けながら2人は地上を疾駆する。

「1人持つぜ」

ハヤトと同時に逃げ出したヒロに片方を投げ渡した。

《……いま自しなかったか?》

(したよ)

ハヤトは地面に降りたって上を見上げる。未だに炎に包まれた屋上では、しかし激しい金屬音が響いていた。

(戦ってて、一番怖い相手って強い相手じゃないんだ)

ハヤトは倒壊する建を避ける様にして、ヘキサにそう言った。

(何をしてくるか分からない相手。つまり、手のうちが分からないような相手と、自分の命を顧みない相手。特に、自分の楽しみのために命を大事にしない相手は相當怖い。それは咲桜(さくら)さんも変わらないはずだ)

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そう言った瞬間、激しい金屬の激突音と共に炎を突き破って1人のが飛び出してきた。

「鍔迫り合いで人をここまで飛ばせるなんて流石だね☆」

見ると5階の屋上の建から剣戟で弾き飛ばされたらしい。ここまで人を飛ばせるのも流石だが、これに耐えるアカネもアカネである。

「やあ、ハヤトくん。最近君のこと聞かなくなって死んだのかと思ってたよ♪」

「死んでは無いですよ。死にかけてましたけど」

「そっかー。じゃあ強くなったってことかな? どう? さくらちゃんと2対1でも全然いいよ♡」

「何も良くないんでさっさと負けて貰っても良いですか?」

「辛辣だね。お姉ちゃんは悲しいよ」

そうアカネが言った瞬間に、直上からビルの破片が弾丸のように叩き込まれた。

「誰がお姉ちゃんですって?」

見るとビルの屋上を蹴りで砕いて蹴りを叩き込んでいる咲桜(さくら)の姿があった。

「私だよ☆」

剎那、瓦礫の間から白い粘質が大量にあふれ出すと、アカネの上を覆っていた瓦礫をそのどろりとしたが押しのけていく。そこから1人のが飛び出すと、キョンシーのように額に札を張り付けた。

「憑依」

一言紡げば、今までのような無駄の多いきが変わる。アカネのきは完全に咲桜(さくら)を殺すためのきへと矯正されるのだ。

壁面をいとも容易く駆け上がると、咲桜(さくら)めがけて日本刀を振りぬいた。咲桜(さくら)はそれを読み切って、いとも容易くアカネの腕を斬り落とした。

アカネのった刃は腕の皮を斷ち筋を斷ち骨を斷つ。だが、そこまで刃が進んだ瞬間に、最初に斬れた皮が癒著。咲桜(さくら)の刃が駆け抜けた瞬間に筋と骨再生されると、斬られたはずの腕は既に元通りになっていた。

「いったい幾つの形代を持っているんです?」

「なーいしょ♡」

「あれを作るのにも時間がかかるでしょうに。もしかしてこの日のためにため込んでたんですか?」

「そうだよー!」

《何の話をしてるんだ……?》

(呪いの吐き場の話だろうよ)

ハヤトとヒロはどこか援護のしやすい場所をさがしてうろつきまわる。

(“九鬼”は結構り立ちが特殊な“家”でな……。元々は“天原”だった人間が家を飛び出して作り上げたのが“九鬼”なんだ。だから、“九鬼”と“天原”は仲が悪い……。いや、“天原”が一方的に“九鬼”を嫌ってるだけとも言えるか。“魔祓い”という余(・)計(・)な(・)こ(・)と(・)をしなくて良くなった“九鬼”は道の研究に勤しんだ。使えるものなら何でも使える“天原”と、ひたすら道に傾倒した“九鬼”じゃ道への理解が違う)

再び咲桜(さくら)の目の前でアカネが発。発の中から煙で服を汚した咲桜(さくら)と無傷のアカネが飛び出した。

(だから、あっちの家でやってることのほとんどが俺には理解出來ない。っていうか、理解できるなら家を追い出されなかった。だから、出來ることと言えばほとんど推測なんだけどな)

《へえ。長い歴史だと々あるな。っていうか“天原”が一方的に“九鬼”を嫌ってるならお前は家を追い出された時に“九鬼”にわれなかったのか? 曲がりなりにも“天原”の人間だろ?》

(あのさ、“天原”の技って門外不出なんだよ。そんなのを叩き込んできた子供を家から追い出すってよっぽど無能なわけ。分かる? 殺す価値もないってことなんだよ。それを誰よりも理解している元“天原”関係者がこんな俺をしがると思うか?)

《……悪かった》

やべ言ってて涙目になってきた。

「つーかお前らは何なんだ? アカネちゃんの弟子ってことは“九鬼”の縁者か?」

「アカネちゃんの従姉妹(いとこ)です!!」

「姉妹か?」

「そうだよ!!」

「お前ら何歳なの?」

「私は11歳! 妹の方は10歳!」

縄でぐるぐる巻きにされた方のの子がそう教えてくれた。

ってかこの子たちは10歳なのにあれだけ式神だせるの?

これじゃ14歳で式神どころか形代に霊も呼び寄せられなかった俺が馬鹿みたいじゃん。

「はぁ……」

「どしたそんなに深いため息ついて」

「いや、世の中才能だと思ってさ」

「あん? まあ、それはそうだけど急にどうした」

「なんでもない。気落ちしてるだけだ……」

下を見ると咲桜(さくら)とアカネは相當に良い勝負をしているようで。

「おい。なんで首切ったのにあんなにいてるんだ?」

ヒロが若干引きつった様子でそう言ってくる。

「あれ多分死んでも死なないんだろうさ。形代が代わりになるんじゃないかな」

「形代? あの紙で出來た人型のやつか?」

「それだよ。よく知ってるね」

下では咲桜(さくら)が建を纏めて5棟分両斷していた。それを綺麗に回避したアカネが手に持っていた札から式神を呼び出すと、5mの巨が30現れて咲桜(さくら)に襲い掛かっていた。

「不老不死ってのは昔っから研究されていたんだ。だから、アレは多分その1つの果なんだろう。人間では絶対に逃れられない究極の呪いである死を式神に押し付ける。どこまで出來るのか知らないけど、見たじ負った怪我とかは全部式神に押し付けられてるね」

「便利だな。俺も1つしいぜ」

「ああいうのって結構作るの難しいと思うよ? そんなに何個も持ってないんじゃないかな?」

ハヤトがそう言うと、後ろからの聲が。

「師匠を馬鹿にすんなよ! 死寄せの形代を15個も持ってんだよっ!」

「作るの大変なのか?」

「當り前! 1つ作るのに3年はかかるって言われてるんだから!!」

「ふうん」

ハヤトはそう言ってとの會話を打ち切ると。

「咲桜(さくら)さーん! 形代は15個ほどだそうですよぉ!!!」

大聲でそう言った。

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