《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第8-12話 ”八咫”と踏破者!

「急ぎましょう」

「はい!」

ハヤトたちは走って乗ってきた車に向かう。道路のど真ん中で急に誰も居なくなっているので、車は道のど真ん中で止まったまま……。後ろからめちゃくちゃクラクションを鳴らされていたので、恥ずかしい思いをしながら車に乗り込むとすぐに発進した。

「どれくらい時間かかってます?」

「30分くらいですね」

ハヤトが時計を見ながらそう言うと、咲桜(さくら)は元からスマホを取り出した。

「全車、“八咫”に向かってください」

それだけ言って通話を切る。やっぱりこういう有事の際には素早いトップの決斷で決著が決まってしまうのだろう。

ハヤトたちが乗っている自車はなるべく素早く目的地にたどり著けるように車と車の間をっていたが、流石に時間が時間なのでそれなりの自車に阻まれてしまった。

「あーもう、じれったいですね」

「どうします? 一応、サイレン有りますけど」

「出しちゃいましょ」

「了解です」

前の2人が何かのやり取り。

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何だなんだ何が起きるんだ?

と、ヒロと一緒に首を傾げていると、急にサイレンが鳴り始めた。

急車両通りまーす」

隨分気の抜けた聲で咲桜(さくら)がそう言うと、目の前の車たちが急にいて道を作り始めた。

「これ覆面かよ……」

ぽつり、とヒロがそう言った。

急事態ですから、こういうのもセーフです」

咲桜(さくら)は無線を置いて笑った。最初の一言以降、サイレンを聞くだけで車が避ける避ける。當たり前のことなのだが、初めて乗っている側になるとテンションあがるものだ。

「……なんで最初っからやらないんですか」

「目立つじゃないですか」

確かに。

「飛ばしてください」

「はい」

短いやり取りでハヤトが乗っている車が加速するのなんの。そのまま10分足らずで“八咫”の本家に到著した。

「相変わらずデカい家ですね」

「“草薙(ウチ)”の方が大きいですよ」

「マウントとらなくていいですから。中にはいりましょ」

ハヤトがそういって車から降りると後ろから聲が飛んできた。

「んあ……。ついたぁ……?」

「つきましたよ。メイさんもはやく起きてください」

「えぇー。おぶってよぉ」

「嫌ですよ……。何歳なんですか……」

ということで酔いが覚めないままにメイを車から降ろして肩を貸したまま、インターフォンを咲桜(さくら)が押した。

「“草薙”です」

咲桜(さくら)がそう言うと、門がひとりでに開いた。

おおー、自のドアだ。便利そう。

《そこに驚くの……?》

(……駄目なの?)

と、短いやり取りをこなして中にはいる。既に“草薙”関係者の車は到著していたのか、まばらに見たことある人たちが家の警護に當たっていた。

「當主に挨拶しておきましょう」

「咲桜(さくら)さんは大変ですね。頑張ってきてください」

「何言ってるんですか。ハヤトさんも來るんですよ」

「噓でしょ? 何で俺がいるんですか」

「“魔祓い”の人がいるだけで安心が違うでしょう。向こうは政治にはまあ、確かにちょびっとばかりは才能ありますけど戦いに関しては素人同然ですよ。心のケアは必須です」

……この人、こういうところはしっかりしてるんだよなぁ。

「特に“八咫”には10歳になる當主のお孫さんがいます。子供の心にはトラウマが殘りやすいですから、しっかりケアしてくださいね」

「確かに子供の心のケアはしっかりしないと駄目ですね」

「ええ。大和子っぽい見た目の私にはできませんから。ハヤトさんの出番ですよ」

まだに持ってるゥ…………。

「って、何で俺なんですか。俺心のケアなんて出來ませんよ」

「何言っているんですか。相手はの子ですよ。適當に口説いておけば良いじゃないですか。そういうの得意でしょ」

「偏見が過ぎる……」

とか何とか言いつつ、ハヤトはメイを“草薙”関係者に預けると2人は“八咫”の家にあがった。そのままお手伝いさんに案されて、和室にはいると中に白髪白髭、質素な和服にを包んだまま険しい顔をしている老爺がどっしりと座布団の上に座っていた。

「久しぶりだな。“草薙”の姫」

「ええ。お久しぶりです。2年ぶりですね」

……どこで出會ってるんだろう…………。

っと思ったらアレだ。ダンジョンが出來た時に、アメリカから突きつけられた條件を“草薙”に通告するときにこの2人は出會ってるんだ。

「そっちが、“噂”の年だな」

……噂の?

「ども……。天原ハヤトです……」

「うむ。よぉく知っているとも」

嫌だなぁ……。

何が嫌かって“三家”全に俺の名前が伝わっているのが心底嫌……。

なんてことを思っていると、突然障子が思いっきり開かれた。

「じぃじ! 何で私がいちゃダメなの!!」

「スミレ! 部屋にいなさい!!」

突然ってきたに“八咫”の當主が叱るが、ちょっとニコニコしてるのバレてますよ……。スミレはずんずんと和室の中にってくると、

「ここ座って良い?」

「こらこら……」

當主の膝を指した。老爺は困ったようにそんな聲を出すの、困っているのは聲だけ。

爺さんにっこにこじゃん……。

若干引きながらハヤトはそう思った。

「……お孫さんですか」

「ああ。わがままな子だ」

そう言う割には大喜びしてるじゃん……。

威厳もクソもあったもんじゃねえな。

「貴方たちが脳筋? 頭まで筋で出來てるって本當なの??」

「こらっ! スミレ!! 人前でそう言うことを言うのは辭めなさい」

そんなにやけ顔で怒っても意味ないって……。

「こっちが噂の天原?」

「噂の……。まあ、俺が“天原”ですけど」

「家から追い出されたんですって。可そうに。どう、“八咫”に來ない?」

「嫌です……」

「なんで?」

何でって……。

「その話は置いておきましょう。ハヤトさんに“政(まつりごと)”が出來るとは思いませんし」

「分かってないわ。“政治”ってのは出來ない人間をどう活かすかってのが真髄なのよ」

へー、そうなんだ……。

ちょっとハヤトが驚いていると、咲桜(さくら)が口を開いた。

「私たちが手した報では『百鬼夜行』は今日中に“八咫”に來ます。“八璃(やさかに)”が消された今、日本経済を維持するには“八咫”の力が必須です。“草薙”がその名にかけて、“八咫”を守るのでご安心を」

「うむ。分かっておる。我々はこの家にいれば良いのだな」

「はい。全て外で決著をつけますので」

「分かった。今は君たちに任せるよ」

「ありがとうございます。護衛としてハヤトさんをここに置いておきますので」

「え? 聞いて無いんですけど」

「はい。いま決めました」

雑ゥ!

「噓ですよ。しっかりと計畫に組んであります」

「なんで事前に教えてくれないんですか」

「家の中にれずに勝つからです」

ハヤトの疑問に、咲桜(さくら)はそう言い切った。

「隨分と、自信があるようだな」

老爺はわずかにをゆらして笑った。

「では、私はここで」

そう言って咲桜(さくら)が立ち上がる瞬間、ハヤトの耳に口を寄せた。

(ついでに孫を口説いて“草薙”ラブにしておいてください)

(無理です)

そして、そのまま咲桜(さくら)は出ていった。部屋に殘された俺が仕方なく前に振り向くと、スミレが飛んできて。

「はっ!?」

どっすーん! とハヤトの上に著地。思わず押し倒されて仰向けになる。

「ね! ね!! 探索者なんでしょ!! ダンジョンのこと詳しいんでしょ!!!」

「……まあ」

「教えて! 私にも!!!」

「……興味あるの?」

「私ね! 探索者になりたいの!!!!」

うわぁ…………。

《將來有だな》

(人でなしのか……?)

ハヤトはちらりと老爺を見て、その顔があまりにあれだったので見ないことにしておいた。

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