《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第8-14話 妖怪と魔祓い!

何やら外が騒がしくなってきたが、まだ1として“魔”の連中は家の中にってきていない。勿論、家の中にもそれぞれ護衛がっており別にハヤトだけが“八咫”の警護についているわけじゃないので急に襲われるなんてことにはならないとは思っているが、それでもやはり気が気じゃない。

先ほどまでうるさかったスミレはハヤトが何をやっても外を見せないので諦めて部屋の真ん中で寢そべっている。

「……暇ね」

「外は結構ドンパチやってるっぽいけどね」

「ね。しりとりしない?」

「しないよ……」

何なんだこのの無さは。

“八咫”の伝特か何かなの……?

そんなことを考えて、部屋の中を見るとそこに見慣れないの顔。

“【幽霊特攻】【魔祓い】【鬼狩り】をインストールします”

“インストール完了”

考えるよりも先にいた。ハヤトは天井からぶら下がっているの顔にまっすぐのストレートを叩き込むッ!!

「ギェェエエエエエエエエエッツツ!!!」

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うるせぇッ!!

本來なら過してしまうそれは、しかしスキルの効果で実を捉えることが出來た。天井からぶら下がってきたの幽霊はハヤトの拳によって祓われた。

《バレたか!?》

(……わかんね。けど危ないからこの場所は移した方が良い)

何故ここに、よりも先にハヤトはやるべきことがある。

「……な、何今の…………」

「ずっと見たがってた幽霊だよ。さっきの聲でこの場所がバレたかもしれないから部屋を移そう。“當主”様どこかに代わりの部屋はありますか?」

「あ、ああ……。案しよう」

流石に々と引きずってる場合じゃないと思ったのか、當主はゆっくりと起き上がると襖(ふすま)を開いて廊下に出た。そこに居たのは1つ目の年。一瞬、視線が差する。ハヤトは弾かれたように駆け出すと、年に飛び膝蹴り。そのまま短刀を生み出して、を裂いた。

「家の中にって來てる!? 周りの護衛はどうしたんだ……」

心配事が現実化するのが速すぎる。

「こ、これって……大丈夫なの……?」

「大丈夫じゃないかも……。家の外に出た方が安心かも知れない」

「そんなことって……」

スミレは絶句。それは“草薙”に寄せていた信頼を裏切られたからだろうか。というかこの2人は勘違いしているようだが、“草薙”は別に“魔祓い”が出來るわけじゃない。出來ないからこそ“天原”という専門の機関が存在して、その役目を全うしているのだ。

咲桜(さくら)さん?

あの人は別だから……。

「地下室にった方が安全か?」

「いや、逃げ場が無いんでそっちの方が危ないです」

「い、一応隠し通路とかもあるが……」

「狀況が狀況ですからね。それがまだ使えるとは思わない方が良いです」

そもそもどうして、家の中に“魔”がってきているのか。家の中にいた護衛が今どうなっているのかを確かめないと、家のどこに隠れても安心できない。

當主の口案で部屋を変えるために歩いていると、廊下の端に護衛が倒れていた。ハヤトは走って駆け寄ると、護衛のれる。ぞっとするような冷たさ、見るとに霜(しも)が降りている。

それだけじゃない。廊下に使われている木材が、その護衛の周りだけ異様な姿で凍ってしまっていた。

「……ヤバいな」

「ど、どうしたんだ?」

「家の外に出ましょう。ここに居ては危険です」

「な、なんで! ハヤトは探索者なんでしょ!? それに“天原”なのに!?」

「俺1人なら何とかなるけど……。こいつは」

しん、と音が消えた。

靜寂。だが、ハヤトは狀況を説明するために言葉を口から出しているのに、それが音に鳴らない。吐き出した息が真白に染まる。みるみるうちに溫度が下がっていく。ハヤトの後ろにいた當主とスミレがあまりの寒さにをぶるぶると震わせ始めた。

ハヤトはとっさにアイテムボックスから極地対応型(ぽかぽか)ポーションを取り出すと、2人に手渡して飲むようにジェスチャー。ここでも喋ろうとしたのだが、やはり音が出ない。

《どうなってる!》

(こっちが知りたいくらいだけど……)

音が無いと索敵のしようもない。だが、ハヤトの鍛えられた第六がソレの居場所を教えてくれた。

バッ、とを無理やりかして廊下の奧からこちらにやって來るの姿を捉えた。

白い著に銀の髪。長は150cmほどだろうか。小さな軀。しかし、それに見合わぬ強力な殺気。

「しーっ」

そっと、綺麗な薄桜に人差し指を添えては笑った。

「……しッ!」

ハヤトの足が地面を蹴る。前に飛び出したハヤトに向かって、はにこにこ笑いながら息を吐いた。先ほどとは比べにならないような寒波。防の外に出ている皮の全てが凍結。大気中の水分全てが一瞬にして凍り付くと、廊下の中が白く染まった。

空中に留まったままハヤトのは言うことを聞かなくなっていく。

“【鬼狩り】を排出(イジェクト)”

“【極地適応】をインストールします”

“インストール完了”

――けるッ!!

の凍傷が再生開始。吐き出したハヤトの息が白く染まると同時にに手がれた。

「……ッ!!」

【極地適応】をインストールしているというのに、あまりの冷たさに皮に張り付いてしまった。だが、やるしかない。

……『星穿ちッ!!』。

廊下が大きく軋み、らかな軀が宙に舞う。『星穿ち』を撃つ時にれていた右の手のひらの皮が全部禿げてしまった。は壁に激突するよりも先に両の腕を差することで、風を巻き起こすと空中で急制

ハヤトをキッ、と冷たい目で睨んできた。

《『星穿ち』を耐えるのか……》

(やっぱ初代の技じゃないと魔への効果は薄いか……)

《そもそもこいつは何なんだ……?》

(大予想ついてるだろ。コイツは雪だろうよ)

《雪? それにしては歳が若くないか?》

(“魔”に年齢もなにもあったじゃ無い。見た目に騙されるなよ……)

は空中にとどめたを捻ると、周囲に5つの氷柱(ツララ)が生される。ハヤトはバックステップで後ろに飛ぶと後ろに立っていた“八咫”の當主とスミレを両脇に抱きかかえてその場から逃走。

次の瞬間、氷柱(ツララ)が放たれて氷が舞った。

「に、逃げるの!?」

「廊下が狹い! 戦う場所を変える!!」

「なら中庭があるわ!」

「な、中庭……?」

家の中に中庭があるの!?

すげえ家だな……。

「そこ右に行って!!」

スミレの指示を聞いてコーナーを曲がると、中庭に出た。出たはいいの、そこには糸でぐるぐる巻きにされた護衛たちが吊るされているではないか。

そして、中庭の松の木に座っているが1人。

ド派手な和服を著て、にこりと笑った。

「うーわ……」

糸、。もうこれだけでアイツが何の“魔”なのか分かる。

《一反木綿か!?》

(ぜってぇ違うだろ……。あれは絡新婦(ジョロウグモ)だよ……)

気の抜けるようなやり取りをした瞬間、後ろから雪が現れた。

(割と詰んでね)

《咲桜(さくら)とツバキとシオリが一同に介した時よりマシだろう》

(……確かに)

そう言われると何とかなりそうな気がしてくる。

……気がするだけなんだけどね。

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