《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第8-16話 かつての仲間と踏破者!

「ずどーん!!!」

素っ頓狂な聲。間違いなく戦いの場に相応しくないような聲だが、その聲の主が指を振るうとあふれ出した魔法のが戦場を焼いていく。穢(けが)れのない白いは、寄せ集められた熱の塊。

それにれた“魔祓い”は姿も形も殘さずに蒸(・)発(・)していく。

「……なあ」

「何だよ」

アイゼルが“魔”を斬ったまま、剣を流してヒロにそう問いかけた。

「あ(・)れ(・)、ハヤトに言ったほうが良いんじゃないか?」

「…………。……そっくりさんじゃねえの」

魔法の奏者は仲間ごと焼き熔かしながら進行。その後ろに引き連れるのは無數の“魔”。

「ここから、第二陣か」

「なあ、アイゼル。お前、人を殺したことあるか?」

「……ああ」

「そうか。俺もだ」

2人は先陣を切ってやってくる夜の支配種を見ながら、そう言った。

「ここにいるのが僕達で良かった」

「そうだな。ハヤトには見せられねえよ」

まるでオーケストラの指揮者のように最強の魔法をる“魔”。そこにいるのは、

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「まさか、彼がやってくるとはね」

「ずっと正を黙ってたことか。それにしても“魔”の癖にダンジョン攻略してるとは……よく分かんねえやつだな」

「スパイだったのかな。僕達のきをずっと『百鬼夜行』に教えてたのかも」

「どうだろうな。まあ、あの歳であれだけ強いってのもおかしな話だ。年齢を隠すような“魔”とかだったのかもな。それこそ吸鬼(ヴァンパイア)とかなら、歳を取らねぇ。日本に來たがってたのもこいつらと合流するためか」

「ああ、そう言えばハヤトが言ってたよ。彼の友達に吸鬼(ヴァンパイア)がいたってさ」

「ふうん? なら、あながちその説は間違いじゃないかもな」

その時、アメリアが2人を視界に捉えた。

「おい、あいつ手ェ振ってんぞ」

「正を隠そうともしないのは彼らしいと言えば彼らしいけど……」

「しゃーねえ。俺達が止めんぞ」

「分かってるよ。どちらにしろ、『魔法』に対処できるのは僕たちだけだろう」

アイゼルが剣を構えた。ヒロがその後ろで援護の用意。

相手は強者。純粋なランキングで言えばユウマすら凌ぐ狂者だ。止めるなら、全力で行かねば彼らの命も怪しいだろう。

「殺すか?」

「流石に最終手段だ。報を吐かせよう」

「ああ。そうだな」

ヒロの真後ろに魔法で出來た砲弾がいくつも作られる。それが唸りを上げて回転開始。が指を組んだ。それはまるで忍者の印のように。空中に描かれた魔法陣が2人を捉える。

が迸ると同時にヒロの魔法が撃たれると、強者の戦いが始まった。

「何が來てんだ?」

別の和室にったハヤトたちは安全を確認。無事、他の“魔”が近くにいないことを察知すると、ハヤトが雪に聞いた。

「……吸鬼(ヴァンパイア)の『真祖』よ。天日(あまひ)様の舊友ですって」

よりにもよってそこが來るのか……。

「舊友って……。うちの婆さん友関係広くない?」

「伝説の“魔祓い”だし……。恨んでる相手も多いけど、その分頼りにしてる“魔”も多いわ」

「自分の仲間を殺した相手を頼りに出來るのか?」

「だって自分が弱いのが悪いんだし」

うーん、この自己責任論者……。

「ていうか、あんた“天原”なのに何で探索者なんてやってんの?」

「はっ。家から追い出されたんだよ。悪かったな」

「へー。“天原”も大変なのね。どう? 『百鬼夜行』に來ない?」

「俺は“天原”だって。行くわけないだろ」

「追い出されてるんでしょ?」

…………。

「つーか、お前らはなんでそんなに勧したがるんだ。あの婆さんにも勧されたぞ」

「え!? 天日(あまひ)様に!? 凄いじゃない!!」

「何にも凄くねえよ。普通に殺されかけたし」

「え、ちょっと待って。天日(あまひ)様と戦ったの?」

「うん……」

「ヤバすぎでしょ……」

ドン引きする雪

《ヤバスギ、な》

(急にどうした?)

《いや、引っかかったから……》

(……?)

マジでこいつ何に引っかかったんだ……?

「天日(あまひ)って誰?」

真っ暗な部屋の中心でちょこんと座ってたスミレがそう聞いてくる。

「ん……。“天原(うち)”の初代當主だよ……」

「え!? 生きてんの!? 何で??」

「俺も教えてしいくらいだ……」

ハヤトが何もかも吐き出すような重たいため息をついた瞬間、激しい閃が部屋の真橫を駆け抜けた。ジッ、と重く焦げ付く様な音を立てて家が縦に両斷された。

こっわ!!

1mズレてたら俺たち死んでんじゃん!!

そして、熔けた部屋からは外が丸見えに……。

「やっべ! 場所移しましょう!!」

「そうだな……」

ハヤトが“八咫”の當主にそう言うと、彼もドン引きした顔でそう言った。ハヤトはその時初めて外を見た。拡(・)張(・)された庭はまさに戦場。

がしゃどくろの上で“魔”をばったばったと倒している咲桜(さくら)とメイ。その下では多くの“魔祓い”が有象無象の雑魚どもを一掃している。

そして、そこからしばらく離れた場所ではヒロとアイゼルが必死に1人を相手にしているのが見えた。戦っている相手は、だろうか? 後ろ側を向いているから顔は見えないが、相當強そうだ。

なら、あれが吸鬼(ヴァンパイア)の『真祖』か。

「こっちだ。“天原”」

「あ、はい……」

前を向く。外は気になるが、いまはこの人たちを護衛するのが先だ。今の時間は朝の3時。夜明けになれば彼らは引いていくだろう。それまで殘りの時間耐えきることが出來れば、今日は俺達の勝利なのだから。

だが、脳の後ろ側が熱くなった。

……何だ?

嫌なじだ。

ハヤトはこれで最後と思い、後ろを振り向いた。

「…………は?」

そして、ヒロたちと戦っていたアメリアと目があった。

「おい、“天原”。どうした?」

「し、知り合いが……。あそこに……」

ハヤトはアメリアを指さす。頭の中が一瞬でごちゃごちゃになった。あそこにいたは吸鬼(ヴァンパイア)の『真祖』だったはずだ。

なら、なんでそこにアメリアがいるんだ?

「知り合い? え、あなたも『真祖』と知り合いなの?」

が興味深そうにそう言った。

ああ――――。彼が言うなら間違いない。

……『真祖』は彼だったのだ。

《おい! しっかりしろ!!》

(わ、分かってる……)

ヘキサの怒聲によって、何とか混を落ち著けた。

「い、行きましょう」

例え仲間が敵であろうとも、今の自分に出來ることは彼と戦うことじゃない。そう思って踵(きびす)を返したのに。

「やっほー!」

気が付けばアメリアは、ハヤトの真後ろにいた。

一瞬で頭の中に々な差する。倒すべきか、それとも何かを問うべきか。脳の中がぐちゃぐちゃになって、いろんな思いが頭の中で溢れて。

「シッ!!」

だが、ハヤトは――自分が思っていたよりも速く自分の拳をかした。

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