《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第8-19話 焼きと踏破者!

《なあハヤト、天日(あまひ)との戦いからずっと考えていたことがあるんだが》

(おう?)

焼きの始まりはタンだと言って聞かないセツカのためにタンをハヤトが焼いている途中でヘキサが話しかけてきた。

《天日(あまひ)に対抗するために、今のお前じゃまだ勝てないだろ?》

(うん……。まあ、そりゃそうだな。否定はしないよ……)

《……だが、お前はまだもう一段階強くなれる。と、言ったらどうする?》

(そりゃ……。嬉しいけどさ? 嬉しいけど、それってまさにこれから焼きが始まるこのタイミングで言わなきゃいけないことか?)

《そうだ。お前にはこの半個室タイプの焼き屋でやるべき練習があるのだ。……いや、焼き屋だけじゃない。お前は日常的にこの訓練を行う必要がある》

(……訓練? また騒だな)

《當たり前だ。お前が天日(あまひ)に勝つためにわざわざ私が考え付いた策だぞ》

(策ぅ? ヘキサがぁ? 今までロクな案を出してないのに急にどうしたんだよ)

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《安心しろ。お前が用意した裝案よりマトモな案だぞ》

(………………。まあ、そこまで言うなら聞くけど)

《名付けて! 【武創造】“覚醒”計畫だッ!!》

ヘキサがドヤ顔でぶ。ハヤトはそれを橫目に、焼きが出來上がるのを今か今かと楽しみにしている2人の(片方の実年齢は不明)に取り分けていく。そして、心の中でため息を返した。

(無理)

《諦めるのがはやぁい!!!》

(いや、本的に無理だって!)

《ほぅ。お前がそこまであきらめが速いのは珍しいな。何か理由があるのか?》

(人が持てる“覚醒”スキルには限界があんの!! 1人につき“覚醒”スキルは1つだけ!! それは『WER』1位のハオランもそうなの! 無理なの!!)

《いや、お前は他の“覚醒”スキルも使ってるじゃないか》

(あれは……。あれは“スキル・インテリジェンス”のスキルの効果だろ……。俺はもうすでに『スキルインストール』を“覚醒”させた。もう1つの覚醒はできなぁい!!)

《出來るッ!!!》

(うるさッ! 聲がデカいんじゃい!!)

ハヤトは次の注文をタブレットでれると、を焼き切って空になったお皿を通路側に置いていく。そして時折自分のを取っていくのだ。

忙しいったらありゃしない。

《出來る! 人は2つ以上の“覚醒”スキルを持てるんだッ!!》

(何でそんなに自信満々なんだよ……)

《私は人の可能を信じているからだッ!!》

(…………。俺は【武創造】が“覚醒”した先を思い描けないから“覚醒”しないと思うんだけど)

《……そうだな。まだお前にはスキルの“覚醒”は速いかも知れない》

(じゃあ駄目じゃん)

タンと共に米を胃の中に押し込んでいく。

ああ~。味しい~。

生きててよかったぁ~。

《だが、別に【武創造】スキルを“覚醒”させる必要はない。というか、お前は【武創造】スキルの使い方が下手くそなんだ!!》

(下手くそって……。お前、最初のころ俺の使い方を褒(ほ)めてたじゃねえか)

《……よく覚えてるな。私は若干忘れてたぞ》

(くっそ久しぶりに誰かに褒められたからな。そりゃ覚えてるよ……)

《お前が上手く使ったのあれが最初で最後だぞ……》

(ひでえ言われようだよ……)

セツカがワカメスープを頼んだのでちょっともらう。塩分濃っ……。

《とにかく、これからのお前に必要なのはステータスに補助がかかるような武。もしくは……『魔剣』。あるいは『妖刀』と呼ばれるような、化けじみた武だ》

(そうだなぁ……。うん、まあ、それは否定しないけど……)

問題はそんな武が作れたら苦労しないということであって。

《というわけで、お前はこれからを食べる時の箸はステータス上昇効果を付與した箸で食べることッ!!》

(馬鹿馬鹿! 日本でのスキル屋外使用は犯罪なんだよっ!!!)

それで一回逮捕されかけているとしては同じことをやらかすのは勘弁してほしいところである。

《あれは公安のいざこざだっただろう? それに今は有(・)事(・)だ。しくらいは大目に見てくれるだろうさ》

(ん……。まあ、そうね……)

そもそもアレの問題點は衆人環視の中で治(・)癒(・)スキルを使ったことにある。治癒スキルは、確かにその名の通り自分のや他人のを治療するスキルだが、それの正しい行使にはやはり人構造を知っておく必要がある。

そして、何よりも恐ろしいのは治(・)癒(・)スキルは攻(・)撃(・)スキルとしても使えるのだ。當たり前だ。直接をいじくっているのである。それがプラス方向にしか向かないということがどうしてあり得ようか。

ハヤトは“天原”にいたころ、怪我を負った時の簡易的な自己治療を教わったし2年間という探索者期間を通じて人間のというものについての理解はそれなりにしている……と自負している。

自負しているが中卒の治療なんて誰もけたがらないわけで。

(つーかさ、【武創造】って名前のスキルなのに箸つくれんの?)

《金屬製の箸なんて武にしかならんだろ》

(箸だっつってんだろ)

とはいうもののヘキサの言うことにも一理ある。ハヤトは手元に意識を集中。久しぶりに【武創造】というスキルを強くイメージした。焼きであげたいステータスなんてあるわけがない。だが、ヘキサの言う通りここで武に何かを付與しなければ意味がない。

ということでハヤトは『熱耐』を付與することにした。箸を持てば熱さに強くなる。箸の形は手に持っている銀のこれと同じで良いだろう。

イメージを化させ、顕現。手の周りの世界が歪んで、ハヤトの手元に新品同然の箸が現れる。それを手にもった瞬間、先ほどまで顔に當たっていた熱波が一瞬で気にならなくなった。

おー。すげー。全然熱くない。

「ハヤト、ちゃんと食べてる?」

「ん? 食ってるけど」

「アンタが払うのにアンタが一番食ってないと心配になるんだけど」

「食べる食べる」

隣にいるエリナはもくもくとを食べているし、正面に座っているセツカもハヤトがスキルを使っていると気が付いた様子はない。

(なあ、1つ聞きたいんだけどさ)

《ん? どうした?》

(【武創造】で武に付與(エンチャント)できるのって限度っつーか、限界ってあんのか?)

《それはどっちの意味でだ? 付與できる限界數ということか? それとも付與できる能の限界か?》

(……両方だ)

ハヤトの言葉にヘキサはにやりと笑った。

《両方とも限(・)界(・)は(・)無(・)い(・)》

(限界はない!?)

《當たり前だ。誰が持ってきたスキルだと思ってる。他でもない私が用意したスキルだぞ》

(じゃ、じゃあこれまで俺がほとんど手を付けなかったのって……。もしかして、大損だった?)

《ああ》

そっかー……(´·ω·`)

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