《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第8-24話 乗り込む踏破者!

3日後、朝早くにインターフォンが鳴らされた。誰かと思ってカメラの映像を覗くと、3人くらいの男がカメラの前に立っているではないか。

見覚えのある顔……。

そう思い、よく顔を見るとイギリスでコーディネーターをしてくれていた男だ。つまりは“草薙”関係者だ。

ハヤトは鍵を開けると、彼らのの1人だけがマンションの中にってきた。數分後、ハヤトが扉を開くと挨拶も早々に作戦説明が始まった。

「今日の六時に迎えに上がる」

「お願いします」

彼はそう言って帰っていった。

「何かあったんですか?」

エリナが心配そうに顔を見せた。

「今日の夜から作戦だ」

ついに咲桜(さくら)がいた。いま『百鬼夜行』の主戦力が本部に集まっているらしい。それを真正面からぶっ叩く。いかにも“草薙”らしい脳の髄まで筋で出來たような作戦だ。眩暈がするね。

「夜から?」

「どうやらアマヤが場所を摑んだらしい。それでだ」

「で、でも相手は“魔”なんですよね!? 夜から作戦初めても大丈夫なんですか?」

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「……それがな、相手の本拠地はこの世界じゃないらしい」

「この世界じゃない?」

「そう。大江山を起點とした巨大な“異界”、そこに『百鬼夜行』の本拠地があるらしいんだ」

「はぇ、“異界”……」

エリナは分かったような分からないような顔を浮かべて、リビングに戻っていった。

「おーい! セツカぁ!!」

「なに……。眠いんだけど……。大きな聲出さないでよ……」

聲をかけると朝には弱いセツカが半分寢た狀態でリビングの椅子に座っていた。どうやら今日はちゃんと起きれたらしい。

「『百鬼夜行』の本拠地が分かった。今日の夜、乗り込む」

ハヤトがそう言うと、セツカはいっきに覚醒した。

「……それを私にいってどうするのよ」

「來るか?」

「私が? 何で」

「元関係者じゃん?」

「……行かないわよ。誰も助けに來てくれなかったし……」

「そっか。じゃあここに待機ね」

「…………そうね。って、いつ私の魔法は使える様になるのよっ!!」

「解放したらな。まあ、運が良ければ明日にでも解放してやるよ」

「絶対氷漬けにしてやるから」

「ははっ」

「何その笑い! むかつく!!」

珍しく朝から騒がしいセツカとじゃれ合いながら朝食を食べる。

それからしばらくすることが無かったので、家の中で『スキルを與えた武』の生を練習していた。というのも、今までの【武創造】スキルというのは武の形がハヤトの頭の中にっているのですぐに手元に召喚出來ていたのだ。

だがスキルというあやふやなものを化して武に押し込むというのはそれなりに想像力を使うですぐには形として生み出せない。的な時間でいうと1秒以上かかっては実戦で使いものにならないので、生み出すまでの時間を削っていくのだ。

「ごめん、エリナ。換気扇つけてくれない?」

「はい!」

見ると武を解除した時の黒い霧が天井部分にうっすらと殘っているではないか。

(なあ、すげー今更なんだけどさ)

《ん?》

(何でこの【武創造】で生み出した武ってモンスターと同じじで消えてくの?)

《……すごい今更だな。仕方ない、し解説してやろう》

(おなしゃす)

ハヤトはもちろん武を生み出す練習を(まじ)えながらヘキサの教えを聞く。

《あのな、ダンジョンのモンスターに対して通常兵は一切使えない。そうだろ?》

(そうだな)

《だが、探索者の拳やダンジョンから産出した素材で作られた武は使える》

(ああ)

理由は未だに分かっていない。だが、それは『ダンジョンだから』という言葉で多くの探索者が納得している。ダンジョンであるなら、何が起きてもあり得るということである。

《何故だと思う?》

(何故か……? いや、そんなの分かるわけが……)

《それはな、『生を帯びていないからだ』。モンスターを狩れるのは、『生きた武』だけなんだ》

(生きた武?)

《そう》

(じゃあ、ダンジョンから出てくる武は生きてるってことか!?)

《生きている、の定義をどこに持ってくるかの話になってくるが私が言うとしたら『Yes』だ》

(はぇ…………)

《だからモンスターを狩る【武創造】スキルから生みだされる武は生きている必要がある。もう後は言わなくても分かるだろ》

(……ああ)

今まで想像もしていなかった事実にハヤトはしばらく黙り込んだ。【武創造】は武を生み出すスキル、だけではない。本來はモンスターを武の形として生み出すスキルなのだ。

……あれ? これ何かに使えそう。

《ま、々試す前に今は1つのことを極める方が先だな》

(確かに)

何でもかんでも手を出して中途半端に収まるのが一番たち悪い。ハヤトはヘキサの言葉に深くうなずいて武にスキルを付與する行為を続けた。そして、午後6時ちょうどにインターフォンが鳴らされた。

ハヤトはダンジョンに潛るときの防にしっかり著替えると、エリナとセツカに振り返った。

「んじゃ、ちょっと行ってくるわ」

「軽いわね……。これから天日(あまひ)様と戦うんでしょ? 余裕なの?」

「余裕ってわけじゃないけど、俺だって々考えてるし。それに、勝てないからって腐っても仕方ないし」

「そんなもんなの……?」

ハヤトの言葉にセツカは首を傾げる。

今まで何とかなってきた分、どうせ今回も何とかなるだろうという気持ちがある。まあ、何とかするのは未來の俺なんだけどね。

「留守を頼んだぞ、エリナ」

「はい! お任せください!!」

ハヤトは2人に見送られながら、階下に降りて“草薙”が用意した車に乗り込む。

「お久しぶりですね。兄様」

中にはいると先客がいた。

「ん、天音(アマネ)か」

久しぶりにみるアマネだったが元気そうだ。怪我も後に引いているようには見えない。治癒ポーションか何かを使ったのだろう。

ってかこいつセーラー服著て來てんのかよ。

もしかして余裕なの……?

「はい! お元気でしたか!?」

「ん。まあ、それなりにね」

ハヤトとアマネを後部座席に乗せたのを確認して、“草薙”の男は車を出した。

「アマヤは元気にしてるか?」

「ええ。凄く喜んでいましたよ」

「喜ぶ? 何で」

「兄様と一緒に戦えるからですよ! 勿論私も楽しみです」

「そう……」

別に誰かと一緒に戦うとかでテンション上がったりはしないだろ、と思うのだが彼たちにはそうでも無いらしい。相も変わらずよく分からない価値観だ。

「咲桜(さくら)さんは?」

「さぁ? でも作戦時間までには間に合うって言ってましたよ」

「そっか。ってことは2人きり?」

「いえ、あと1人乗られますよ」

「あと1人?」

結構ぎちぎちで行くんだな、なんてことを思っているとハヤトの家を出てからから車で5分も走らないにとある一軒家に車が止まった。

「あれ? “天原”が2人も? 私聞いて無いんだけど」

「ちゃんと言いましたよ。クロエさん」

誰だ……? どこかで見覚えのある顔だ。

クロエ、クロエ……?

《公安零課》

「あーーーーっ!!!」

コイツあの時の“常闇”かっ!!

家めっちゃ近いじゃねーかっ!!

「ちょっと、でっかい聲出さないで! 運転手さん今日はお願いしますね」

「ちょっ、何で俺の隣來るんだよ! 助手席空いてんじゃん!!」

「えー。なんか助手席って事故ったときすぐ死にそうじゃない?」

「“常闇”が事故で死ぬわけねーだろっ!!」

何で俺の隣にこいつが座るんだよ……。

《良かったじゃないか。両手に華だぞ》

(……お前、いっつもそれ言ってるよな)

何も嬉しくないのだ。

隣に來るならエリナとか澪とか、気の許せる人が良い。

《ああ、そいやお前ロリコンだったな》

(ぶっ殺すぞ!!)

《だから何でロリコンは分かるんだよ》

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