《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第8-26話 妖刀と踏破者!
「それで、イグレス……さんはともかくとしてアイゼルはどっかに來てるのか?」
ハヤトはイグレスに目もくれず、ヒロにそう聞いた。
「さぁ? 四六時中一緒にいるわけじゃないし。アイツはアイツで好きにやってんじゃないのか」
それもそうか。
ハヤトが納得すると同時に、“魔祓い”たちがいる方向から真っ白なの柱が立ち上がった。
「どうやら開いたみたいだ」
「へー、あれが」
ヒロは口角を持ち上げて笑うと、芋蟲のように地面に這いつくばっていたイグレスを持ち上げた。
「よっしゃ、お前が1番槍だぜ。イグレス」
「悪かったって! ごめんって!!」
「ごめんで済むわけねえだろ。テメエのせいで危うく捕まるところだったんだぞ」
「捕まってないから良いじゃないか!!」
「結果論で語るんじゃねえよ」
といったまま冷酷なヒロは、の柱に向かって足を進める。柱の周りでは多くの“魔祓い”が周囲を警戒するように式神を出しながら、柱を維持していた。
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「これにれば“異界”に行けるはずだよー♪」
いつの間にか近くに來ていたアカネが笑顔でそう言う。
「開いたなら咲桜(さくら)さんに指示を仰(あお)ごう」
「そだね」
現場責任者だからそこら辺にいるだろうと思ってあたりをきょろきょろしていたが、あいにくと咲桜は見つからず。
「あれ? どこにいった?」
「おかしいね。咲桜(さくら)ちゃんいないね」
代わりに凜が様々な場所に指示を出しているのが見える。ってことはトイレか何かの休憩だろうか。
そんなことをポツリと思ったその瞬間、バキッ! と、甲高い音が鳴った。明らかに異様な音、まるで金屬が無理やり力で捻じ曲げられたかのような音。ハヤトは弾かれたようにその音の方向に顔を持っていくと、車が捻(・)じ(・)れ(・)て(・)浮(・)い(・)て(・)い(・)た(・)!
「何がっ……!?」
「気が付かれたみたいだね……」
アカネが冷や汗を垂らす。自車は雑巾でもしぼるかのように捻じられると、そのまま浮かんで、消えた。
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「総員警戒態勢ッ!!」
次の瞬間、凜の聲が周囲に響き渡る。ハヤトはとっさに両手に槍を握った。スキルを付與していないタダの槍だが、何も無いよりはマシだろうと思っての召喚。
さっきの車は何故か上に浮かんでいってある點で消えた。ということはそこに何か、例えば“貉環(らっかん)”があると考えられる。
「ハヤトくん、背中。お願いね♪」
「はいっ!」
とっさにアカネと背中合わせに構えると死角を無くす。周囲にいた“魔祓い”たちも同じようにして警戒態勢を取っている。
「ハヤトぉ! 車はどこで消えたぁ!!」
「あそこだ! ヒロ!!」
後ろから走ってやってきたヒロに、ハヤトは車の消えた場所を指さした。それを見たヒロはあろうことか手にもっていたイグレスを全力投擲。車が消えた中空に向かって投げ飛ばした!
「待て待て待て!! ほんとに投げるやつがっ!!!」
イグレスはまさか本當に投げ飛ばされるとは思ってなかったのだろう。俺も思っていなかった。だが、ヒロは投げた。そして、イグレスは車が消失した場所で消えた。
「あちゃあ……。……これはなんかあるな」
「まあ、そりゃあるだろうけどさ……」
マジで投げる必要ある?
「なんだ? イグレスの心配か? 要らんぞ。あいつ狀況によっちゃ俺より強いし」
「マジ?」
「まじ」
その狀況ってのは両手両足を縛られた狀態でもちゃんと同じ狀況になるんだろうか。気になる。
「先制攻撃をしかけるはずだったのに、まさか向こうから仕掛けてくるとはな」
「……次はなにやってくるかな」
と、言った瞬間。地面のアスファルトがベキベキベキッ!! と怪音をあげて持ちあがっていくではないか。無論、それに乗っているハヤトたちも持ちあがっていく。いや、違う。アスファルトだ(・)け(・)が持ちあがっているのではない。
周囲にってあった札が、式神が、“魔祓い”が、設置したテントが、自車が。そして山にあった土や葉、それだけではない。森を構している木々、それら全てが上(・)に(・)落(・)ち(・)て(・)い(・)る(・)!
「何が起きてるっ!?」
ヒロは魔法で生み出した杭をとっさに地面に打ち込んだようだったが、しかし撃ち込まれた地面ごと持ち上げられたのではたまったじゃ無い。結局他の誰しもと同じように空に吸い込まれるではないか。
剎那、空(・)が(・)割(・)れ(・)た(・)。
月のを遮って飲み込まれる先は果たして何処(いずこ)か。ハヤトは『天降星(あまだれほし)』の構えを取ったまま、空の裂け目に飲み込まれた。巨大な渦、抗えない膨大な力が洗濯機のようにぐるぐると“魔祓い”たちを振り回すと、ある地點で一気に彼らを手放した。
急に解放されたが、にはまだどこか回ったが殘っている。
だが、ハヤトは解放されたと悟った瞬間にく閉じた目を開いた。
地面は……ある。両足は地面の上に立っている。だが、ここはどこだ? 空を見上げる。巨大な月、空の半分を覆うような巨大な月と風に乗って漂ってくる桜の花びら。遠くに見えるのは山。だが、その山は明らかに日本のものだと思える山だ。
しかもどこからか全的に甘い匂いが漂ってくる。
ここは人智の及ぶ世界ではない。
「“異界”……。ここが……?」
名前だけでは知っている。だが、初めて訪れるこの場所に、ハヤトはどうリアクションを取ればいいのか分からなかった。とりあえず何度か深呼吸して、甘い匂いに鼻を慣らすと周囲を見た。
あたりにいた“魔祓い”たちはいっせいに吸い上げられたはずだ。そう思って周囲を見ると、ハヤトの足首ほどの高さまで青々と茂った草原の上、そこに今回のために集まった全ての人間が集められていた。
彼らは橫たわったり、ハヤトと同じように立っていたりと勢は様々だったが皆、何が起きたのか分かっていないということでは同じだった。
「……どこだここ」
「“異界”か? ここが??」
「おい、出口はどこだ」
「繋がりを探せっ!!」
師たちは元の世界に戻るための準備をとりあえず始めた。この瞬間に何者かに襲われれば逃げる場所も無く一方的に戦わなければならないことになる。逃げ場を見つけておくというのは大事だろう。
「ハヤトくん、無事だった?」
「……はい。ここは」
「多分、『百鬼夜行』の本部☆」
「ここが……」
だが、周囲をどれだけ見ても『百鬼夜行』の本部らしき場所がない。まさか“魔”も集まりもしないのに作戦會議が出來るわけじゃないだろう。ということは“異界”の辺境に呼びこまれた可能はある。
「おい、あれ!」
突然、誰かが空を指さした。全員の視線が空に向く。そこにいたのは空を飛ぶ何かの“魔”。ぱっと見では蝙蝠(コウモリ)に見える。それは空一面を埋めていると、ハヤトたちに狙いを付けた。
キラリ、と羽が煌めくと共に無數の蝙蝠が空から落ちて來たッ!!
ズドドドドドドッッツツツ!!!
蝙蝠は槍のようにを絞ると一か所に集められた“魔祓い”たちを殺さんと空襲を仕掛けてきたのだッ!
《ハヤト! 引けッ!!》
(いや、引かねえッ!!)
ハヤトは右手を下に突き出すと、武をイメージ。
ずっと考えていたことがあった。武にスキルが付與出來るのであれば、武に技(・)を付與させることも出來るはずだ、と。
例えそれがどれだけ荒唐無稽で、無茶苦茶な技であろうともハヤトが想像できるのであれば武は創造できるはずなのだと。
(まさか実戦で突っ込むことになるとは思わなかったけどなッ!)
ハヤトの手元に生み出されるのは一本の日本刀。
これは元々ダンジョンでの戦闘を主軸に捉えた武である。ダンジョンは1つの異世界。つまり、地球自転の影響下に無くハヤトの切り札は使えない。
なら、それを使えるようにしてしまえばいい。
そしてそれは幸運にも“異界”で大きく活躍することになる。地球自転下になく、しかし巨大な“魔”が出てくるこの場であっても。いや、だからこそこの刀は切り札になる。
ハヤトは生み出したばかりの刀を空に向けて、
「『天羽々斬(アメノハバキリ)』」
振った。
次の瞬間、刀の軌道上にあった全てのを斷ち切って生み出された真空空間に蝙蝠は吸い込まれるとぐちゃぐちゃに潰れて全てが消え去った。
『天羽々斬(アメノハバキリ)』は地球の自転のエネルギーを刀の振りという指向を與えて放つ神業であるが、ハヤトのこ(・)れ(・)は違う。
一振り、千殺。
特別な技巧も、特殊な筋も必要ではない。刀を振れば、それが『天羽々斬(アメノハバキリ)』だからだ。
《……もう、にしたのか》
故に、必殺。
(どんなもんよ)
人はそれを――『妖刀』と呼ぶ。
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