《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第9-3話 こんにちは、赤ちゃん

「なぁ、誕生日プレゼントっているかな?」

《誕生日プレゼント? 誰の?》

「ツバキの」

ハヤトは自室で漢字の書き取り問題に取り組みながらヘキサに尋ねた。単純な暗記科目をやるのに、暇だったのでちょっと聞いてみたのだ。いつぞやのスキルのように、暗記しやすいスキルをインストールしてしいところだが、あいにくと“スキル・インテリジェンス”はパッシブスキル。

自由にスキルを出しれ出來ないので、結局自分の力頼みになのだ。

《買ってやりたければ買えば良いんじゃないのか?》

「あいつ金はあるからさ。プレゼントって言っても何でも持ってそうだから、プレゼント送れないんだよね」

《こういうのはハートだぜ。ハヤト》

「みーんなそう言う。けどさ、持ってるもの貰っても困るだろ? かといってプレゼントとかを聞くのはなぁ……」

《だから、何を貰ったかじゃなくて。誰からもらったのか、だって。お前の言いたいことも分かるけどな》

なんて話をしていたら、リビングの方から発音じみた異音が飛び込んできた。

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「だーかーらっ! 何度言えばわかるのッ!! これ、私のアイスだっつってんでしょ!! ここにセツカって名前が書いてあるのが分かんないの!!?」

「あ、それセツカさんが書いたんですね。字が綺麗だから企業のロゴだと思ってました」

「んなわけあるかァ! からかうのもいい加減にしなさいよっ!!」

……うるさいなぁ。

あの2人は起きている間はずっとあの調子である。というか、良い加減両方とも學習すればいいのに。

「ハヤトー! 私専用の冷凍庫も買ってよぉ……!」

そして、セツカが半べそをかきながらハヤトの部屋にってくる。

「もう高校生にもなって俺に泣きついてくるな。お前もいちおう妖怪なんだから、自分の力で解決してみせろ」

「じゃあ魔法を返してよっ!」

「うーん、それとこれとは話が別……」

いまは騒がしいだけで、ほとんど実害はないが魔法を返すと反抗された時の制圧が大変になる。魔法がない今はまだ我慢が出來るような狀況だが、これに魔法が加わると家の中のものが全部凍らされる恐れがある。

「お金あげるから新しいの買ってこい」

「……ありがと」

ハヤトはこういうときのために用意しておいた150円をセツカに握らせた。彼しだけ照れた顔で謝を伝えると、外へとアイスを買いに出た。

《……もう自作してしまえばいいのに》

「『核の』がの狀態で飲むんだとよ」

《は?》

流石に理解が出來なかったヘキサは意味が分からず聞き返した。といってもハヤトも別に理解が出來ているわけじゃないのだが。

「ねー! ハヤトさん! 私もお菓子が食べたいですぅ!」

「お前も速く指の中に戻れ」

「えぇー!」

「えーじゃない。お前、そもそも飯食わなくても生きていけるんだから食わなくても良いだろ」

「嗜好品ですよ! なくても生きるのには困らないかもしれませんが、生活するのに困るんですっ! というか、この間はハヤトさんがあんなところに指を放置したせいで大変な目にあったんですからね」

この間とはあれだろう。ハヤトが『核の』を面倒くさがってベランダの柱に紐を括りつけて、それにつけていた指を外に投げていた件だろう。あのあとツバキが來て、すっかりそのことを忘れていたのだが、運悪くそのタイミングで外にでた『核の』が真下に落ちたのである。

今も駐車場のところにはちょっとしたくぼみが出來ているはずだ。

「5階から落ちただけだろ」

「言い方ぁ! おかしいでしょ! もっと心配してくださいよっ!!」

「だって、【神降ろし】した時の俺と毆り合って中々死ななかったんだから、5階くらいから落ちたところでどうってことないだろ」

「……ぐぬぬ」

「はい。この話は終わり。お前は二度とセツカのアイスを食べるな」

「で、でもセツカさんも私のポテチめっちゃ食べるんですよ!?」

「マジ?」

「はい。いつもハヤトさんが食べたって言ってるからしょうがないと思ってたんですけど、この間、セツカさんがポテチ食べてる姿をばっちり目撃しちゃいました」

「何やっとるか……」

同じ屋の下で暮らしているんだから、仲良くしろと言いたい。

「じゃあ、ポテチの金もやるから買いに行ってこい!」

「やったぁ! ハヤトさん大好き!」

「はよ行け」

あの歳になっても菓子を食べてる時間が一番靜かに出來るというのはいかがなものか。

……アレ? あいつ何歳なんだ?

《地球だと2歳半か。そろそろ3歳ってところか?》

「ダンジョンが出來てまだ3年も経ってないのかよ」

《だが、この宇宙に來てからはどうだろうな。ダンジョンのような奇(・)怪(・)な生きがこの世界の生きだとは思えん。ヒロは面識あるみたいだったが、案外異世界の生きなんじゃないか》

「なんでもいいよ……。そこら辺は……」

宇宙から來ようが、異世界から來ようがめんどくさい相手であることに変わりはないのだから。

《ところでお前、漢字ほとんど間違えてるぞ》

「マジ? うわっ。マジじゃん……」

ハヤトは答え合わせをしながら閉口。ほんとにこんなんで高認試験かるんかいな。心配になってきたよ……。

なんて気分を落としていたら、家のインターホンが鳴った。

「最近は來客が多いな」

エリナが出るから良いだろうと思って放置していると、エリナが慌ててハヤトの部屋に飛び込んできた。

「ご、ご主人様! お勉強中すいませんっ!」

「良いよ。俺、馬鹿だし」

「ど、どうしたんですか。そんな卑屈に……って。いまはそれどころじゃないんです! シオリさまがいらっしゃいました!」

「シオリが? 何で?」

「それは分かんないんです! とにかくご主人様に會わせろの一點張りで!!」

「……分かった。俺が出る」

兎にも角にもエリナに彼の相手は重いだろう。

「外に行ったセツカと『核の』があいつに會わないように抑えておいてくれ」

「りょ、了解ですっ!」

今日もアメリアがいなくて助かった。いたら余計に話がこじれるところだった。ハヤトは恐る恐るインターホンに近づいて聲をかけた。

「何の用だ」

「……赤ちゃんが出來た」

……なんつった?

「ハヤトの赤ちゃんが、出來た」

「は?」

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