《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第9-6話 解決の踏破者!
《なんて、子供の話はどうでも良い。とにかく、今のお前はコウノトリやで子供が出來ないことを知っていれば十分だ》
(わ、分かった)
ヘキサはその話を若干強引に打ち切ると、ハヤトをギルドに急がせた。彼は自転車を飛ばしてギルドに到著すると、そのまま咲の付に飛び込む。
「あれ? どうかしました?」
こんな時間にやってくるなんて珍しい、と咲が目を丸くしてハヤトを迎えれてくれた。
「し、シオリと澪が今日潛ったダンジョンの階層を教えてもらうことってできますか?」
「シオリさんのやつは無理ですけど、澪さんが潛った階層なら大丈夫ですよ」
「す、すいません。お願いします」
「はい。ちょっと待ってくださいね」
個人報保護の観點からシオリの分は無理みたいだ。しかし、弟子の分は教えてもらうことが出來るらしい。そっちは結構緩いんだな。
咲は付の端末をしばらくってから、
「出ました。65階層です」
「じゃあ潛りますっ!」
「え、防も……武も持たずにですか……?」
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「ちょっと確認してくるだけなんで!」
「うーん……。ハヤトさんなら大丈夫……だとは思いますけど……。それでも……流石に防無しってのは……」
「大丈夫です! 見るだけなんで!!」
「…………」
「見るだけなんで!!!」
「ま、まあ。そこまでおっしゃるなら」
ハヤトの有無を言わせない強引な説得で咲に場手続きをやってもらうと、ハヤトはそのまま『転移の間』に飛び込んだ。
「65階層!」
別に聲に出さなくても飛ばしてくれるが狀況が狀況だ。ハヤトは寶珠を叩くようにしてれた瞬間に転移。その場からかき消されて、65階層に出現した。
「どこだ。元兇は」
《スキルに聞け》
ヘキサが言った瞬間、
“【索敵】【地図化】【高速移】スキルをインストールします”
“インストール完了”
と、目の前に表示。ハヤトの右上あたりに地図が表示され、そこの場にいる敵の場所をざっと表示してくれる。だが、どれが目的の敵かまでは分からない。
「……これ、片っ端から全部探していかないといけないのか?」
《いや、絞れるはずだ》
ヘキサはハヤトの視界を共有していないが、大まかな表示の合は分かっている。
《よく考えろ。シオリにすらも影響を及ぼすようなモンスターだ。そんなモンスターがほいほいいてたまるか。それこそ階層主(ボス)クラス。だが、65階層の階層主(ボス)モンスターにそんな能力は無い》
(じゃ、じゃあ……)
一どれがそうなんだ。と、言おうとしてマップを見ているとハヤトはその中に1つ明らかに異の反応を示している點を見つけた。明らかに挙がおかしい。モンスターの徘徊なのに、異常なまでに蛇行している。
「何だこれ……」
《攻略する際には全く関係ないから、お前が見てこなかったモンスター》
「……?」
首を傾げるハヤト。
《ユニークモンスター。つまり、世界中でそいつだけしかいないモンスターだ》
「あ、ああ。なるほど」
ハヤトとてその話を知らない訳じゃない。何しろ今の防を作るときにエイダンと一緒になって狩ったこともあるのだから。
《ユニーク、というだけあって質はとても振り切ったをしている。恐らくだがシオリと澪はそのモンスターにやられたんだろう》
(……倒せば解決するのか?)
《さぁ? 原因がモンスター由來の魔法なら倒せば効くかもしれないが、例えばモンスターの持っている毒とかなら解毒薬を飲ませないと倒したところで解決はしない》
(……とりあえず、倒すぞ)
ということで私服のままダンジョンを走るハヤト。周りの探索者たちからすると武も防も持っていないのにダンジョンに潛ってきているやべー奴だが、幸いにしてダンジョンには探索者同士で関わらないという暗黙の了解じみたものがある。
それのおかげでハヤトは誰に聲をかけられることもなく、65階層の最奧付近まですぐにやって來ることが出來た。
「どこだ……?」
【地図化】によって表示されたマップを拡大し、【索敵】スキルで地図上に表示されたモンスターを探しながら、あれでもないこれでもないと探していると……いた。先ほど見かけた明らかに挙のおかしなモンスターである。
ハヤトは障害をものともせず直行。
そこにいたのは頭に真っ赤な花弁で顔を覆われたアルラウネ……というかルネだった。
「……何やってんのお前」
「その聲は……ご主人!?」
顔を花弁が覆っているからか、前が見えていないようであっちにふらり。こっちにふらりと飲酒運転の自車みたいなきで65階層を彷徨(さまよ)い歩いていた。……通りで澪がこっちに來たのにルネの姿が見えないわけである。
「いや、だからなにやってんのって」
「ちょ、ちょっと! 近づかないでください! よくわかんないけど私、ヤバいことになってるっぽいんで!!」
「やばいこと?」
「花めっちゃ出てるんですよ。んで、それを嗅いだら思(・)考(・)が(・)単(・)純(・)化(・)するみたいでお嬢がやられちゃったんです。あと、あの怖い人も一緒に……」
なるほど。ルネの中でシオリは怖い人という認識なのか。正解はやべー人なんだけどな。
「んで、それどうやったら治んの」
「分かったら前もわかんないままふらふら歩いてないですよ!」
確かに。
「無理やり千切れば治るのか?」
「……ふへへ。怖い事言わないでくださいよ。この花、私のですよ……? ご主人はニキビが出來たら無理やり引きちぎるんですか? 千切らないでしょ?」
「癌が出來たら切ると思うんだが」
「が、癌!? この綺麗な花弁が癌って言いたいんですか!?」
「なんでもいいからどうにかしてくれ。お前のせいで澪とシオリが俺の家に來て大変なんだよ」
そう言った瞬間、ルネの花弁が急速に閉じ始めた。
「は!? 何々!?」
「ちょ、ご主人逃げて!!」
訳も分からないままハヤトはバックステップ。次の瞬間、ルネの花弁が真っ赤な果実へと変貌すると大きくれ始めた。
「や、ヤバいです。この果実、このまま放っておくと発してをまき散らすんです! それにれると自分に都合の良い事しか考えられなくなるんですよ!!」
……ああ、澪とシオリのについてたのはじゃなくて果だったのか……。
「…………斬って良い?」
「あの、ここ頭なんで。ここ以外だったら……」
ルネはもうどうしようもなくなったことを悟ったのか、頭のあたりをぐるぐると指で教えてきた。
「大丈夫。痛くないから」
「それ殺すときのセリフですよ!!」
しかし、ハヤトは既にいている。“神に至るは我が剣なり《イグジティウム・デウス》”。斬ったという過程を消し飛ばすその剣によってルネの果実はすっぱり斷ち切られ、そのまま地面に落ちた。
パシャ、とのように真っ赤な果が地面一杯に広がる。……ひどい臭いだ。
「……大丈夫か?」
「だずがりまじだ」
見ると半泣きのルネが立ち盡くしていた。見ると、ちょっと髪のを斬ってしまっている。かなりギリギリのところを刃が抜けたらしい。見ると、果実は彼の首回りから生えていたらしい。
だが、流石は“覚醒”スキル。素早く斷ち切れている。
「あ゛りがどうございまず……!」
ルネはまだ赤い果を滴(したた)らせながらそのままハヤトに飛び込んできて、
「おわっ!! 來るな來るな!!」
ハヤトは全力で回避した。
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