《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第9-8話 バカとバカ!

ということで真っ赤なルネを上のシャワールームに放り込んでシャワーを浴びさせること十數分。まっさらになったルネがシャワールームから出て來た。

「うん。見違えたな」

「見違えたっていうか、こっちが普通っていうか……」

「どうでも良い。帰るぞ」

「え、どうでもよく無く無いですか?」

ルネには有無を言わせずにハヤトは強引な帰宅。ルネを小さくして肩に乗せると、自転車にのって自宅に戻った。

「んで、これがお前のやらかした現狀だ」

ハヤトは未だに玄関で固まったままの澪とシオリをルネに見せた。

「はぇー。なんで止まってるんですか?」

「俺が攻撃を止めたからだ。多分、思考が単純化しているからそっからけなくなってるんだろう」

「ほー。こうしてみればお嬢も怖い人もなんだか間抜けですね」

「聲は聞こえてるぞ」

「ぴッ!?」

すげえ勢いで2人から離れるルネ。

口は言うもんじゃない。しかも原因お前だろ、これ」

「ち、ちがっ! 違いますよっ! あのよくわかんない子が悪いんですよっ!!」

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「犬じゃねえんだから、他の人から貰ったものを食べるなよ」

「で、でもぉ……。それまで何にもなかったし……。それに! 私以外のテイムされたモンスターも食べてますけど何にもなってないじゃないですか!」

「……そうでもないみたいだぜ?」

BGM替わりにつけていたテレビから夕方のニュースが流れて來る。

『昨日から続いているテイムされていたモンスターの暴走ですが、専門家によると……』

「ほらな」

「うぐぐ…………」

「お前さ、一応知能はあるんだよな?」

ニュースでは自分の飼っているスライムが急に大きくなり始めて一軒家くらいの大きさになってしまったといっているがインタビューをけていた。

「なッ! ご主人から知能を疑われるんですかっ!? 流石に私でも出るとこ出ますよ!!」

「だって……スライムとやってること一緒じゃん……」

テレビにはまるまるとえ太ったスライムがでぷーん! と、効果音を付けたくなるような恰好で空き地に鎮座していた。スライムも飼い主の側にいれないからか、顔がどことなく悲しそうだった。

「あっ。スイラちゃんじゃないですかぁ!」

「だ、誰……?」

「『テイマーの會』のオフ會に來てたスライムのの子ですよ!」

の子?」

スライムって別あんの?

「すっごい良い子なんですよ!」

「何が良い子なんだよ」

「居酒屋で料理についてくるけど、そのまま食べずに放置しちゃうパセリがあるじゃないですか! それを不満の1つもらさず食べてくれるんですよ!! 良いなぁー! テレビデビュー羨ましい!!!」

駄目だ。これに知能があると考えるのは危険だ。

『解毒ポーションを飲ませると元に戻ったという報も寄せられており、テイマーの方々はより一層の注意を払ってください。次のニュースは……』

キャスターはすぐに次のニュースに移った。

「ま、流石にそこまでは報が出回るか。原因を捕まえないとこの騒ぎはもうすこし続くだろうな」

「とは言っても……。向こうも他に手の打ちようが無いですよ」

「うん?」

ハヤトが解毒のポーションをこの一切こうとしないたちにいかに飲ませるかというのを考えていた時に、ルネがそう言った。

「テイマーは、自分の力で戦いません。だからモンスターを暴走させれば、確かに混に陥るでしょう。けど、他の探索者たちは自分の力で潛ってますよね? その、こっちを混に陥れたい人はどうやって暴れるんですか? まさか死漁り(スカベンジャー)みたいに新人ばっかり殺して回るんですか」

「んー……」

ハヤトは赤ちゃんにポーションを飲ませる市販のジェル、「ポーションのめたね」を買って來ようか本気で考えながら同列思考。だが、そこまで高度なことが出來るわけでもなく、ハヤトの脳がオーバーヒートを起こしかける。

《……スキル》

(うん?)

《スキルの認識を歪める……。そうすれば、スキルは本來の能を出せなくなる。違うか?》

(……その通りだ。ああ、なるほど。『認識阻害の札』か)

“伏見”の家に行った時にところかまわずってあった札だ。あれの近くに居れば自分の立っている場所や、どういう風にいたというのが分からなくなる。日本家屋のような小さな建の中でもそれが起きるのだ。

ダンジョンの中の一部、例えば階層主(ボス)部屋でスキルの認知を歪める『認識阻害の札』をられればそこでスキルを使えなくなる。そうすれば、魔法に頼っている後衛職は當然として、後衛からの支援をけている前衛職にも大きな影響が出る。

今でさえ、階層主(ボス)部屋での死亡事故は耳にすることがある。

スキルを封じられたら、その數は絶対に跳ね上がるだろう。

「どうしたんです? ご主人、顔がえらいことになってますよ」

「ちょっと待ってろ。おい、セツカぁ! いるか!?」

「……なに」

大聲でセツカを呼ぶとホットパンツにTシャツだけの、ラフな恰好で部屋から出て來た。

「ちょっとそこのドラッグストアで『ポーションのめたね』を買ってきてくれねえか」

「別に良いけど……はい」

「何その手」

「お駄賃」

「小學生かよ」

ということで100円を握らせてドラッグストアに向かわせた。どうせアイスでも買ってくるんだろう。

「エリナぁ! ここに解毒ポーション置いとくから、この2人に飲ませておいてくれ」

「それは構いませんけど……。これからどこかに行かれるんですか?」

エリナがキッチンで聲を返してくる。顔を見せないなんて珍しい……と思ったら今日の夜ご飯はてんぷらだ。揚げしてるんだからこっちに來れないわ。

「ちょっとギルドに行ってくる」

「そういうの早く言ってくださいよ! もう揚げちゃってますよ!」

「大丈夫だ。すぐに戻ってくる。おい、ルネ。お前も行くぞ」

「え。私も?」

「ああ。咲さんに協力してもらわないと行かないからな」

「……?」

ルネは首を傾げるがハヤトに言われるんだったら仕方ないと言った合で、ついて來た。2人は2度目となるギルドに足を踏みれると、咲と目が合った。

「あれ? 忘れものですか?」

「いえ。テイムされたモンスターに起きている異変、それを突き止めるのに咲さんの協力を仰ごうと思って」

「異変……って、あのニュースになっている奴ですか? それに協力って……何をすれば」

「ルネ、背格好を」

「ああ。そのために私を連れて來たんですか」

ルネはハヤトの肩から降りると人並みの大きさに戻って咲に事の顛末を全て説明した。

「だから、次はダンジョン自にちょっかいをかけてくると思います」

「……なるほど。“伏見”の方が」

咲は“三枝”家だ。“伏見”のことは名前だけだが知っていたので話が早く進んだ。

「で、でも。その人、たぶんついさっきダンジョンに潛っていきましたよ」

「なッ!?」

「監視カメラの映像があります。見ますか?」

「お願いします!!」

勝手に見てもいいのか? と思ったが、咲さんが見せてくれると言ったらそれはOKなのだろう。

「畫質が悪いですけど」

そこに映っていたのは確かにルネの言っていた恰好と全く同じ格好をした

「ど、どこの階層に行きましたか?」

「25階層って言ってました」

「25か……」

中級者が上級者になるための狹間の階層とも言える。そんなところに『認識阻害』のをかけられると、死亡事故は絶対に避けられない。

「どうします、ご主人。追いかけますか?」

「いや、行き違いになるかもしれない。幸いにしてダンジョンの出口は1つだけだ。出てくるのをまとう」

「で、でも。今日のご飯はてんぷらじゃないんですか?」

「お前、俺が人の命とてんぷらを天秤にかけててんぷらを取る男だと思ってんの……?」

「人の命なら人の命を取るでしょうけど、いまかかってるのは探索者の命ですよ?」

「どっちも一緒だよ……」

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