《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第9-15話 仲間と仲間と仲間と仲間

相手は最強の“天原”。俺は“天原”から見捨てられた最弱。

ヒュドッッッツツツツ!!!

まずは様子見と言わんばかりにハヤトと天日(あまひ)の拳が激突する。生まれた激しい衝撃波が雨粒を押しのけて、一瞬だけ2人にかかる水が無くなった。

「良き」

天日(あまひ)が笑う。

「男(おのこ)とは、そうあるべし」

「はッ!!」

ハヤトは地面を蹴り上げる。天日(あまひ)の手と接している今、この狀況でどちらも『彗星(ほうきぼし)』は使えない。だからこそ、

「『星穿ち』!!」

穿つのだ。

ズドンッッツ!!!

ハヤトのから、到底人間のものとは思えない異音と共に天日(あまひ)に向かって衝撃が伝わる。だが、天日(あまひ)は『星(まどいぼし)』で撃力を外側に逃がした。

生みだされる1瞬の隙。更にハヤトは足を一歩踏み込んだ。

「『星系(つらなりぼし)』ッ!」

それは、今までハヤトが幾度となく乗り越えた死線より生み出された“天原”の複合技。

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「む!?」

手始めに『星走り』が炸裂した。音を置き去りに、雨を円錐狀に斬り裂いてハヤトのが天日(あまひ)に激突する。ハヤトの服が破けて、破片が空を彩る。當然、天日(あまひ)はそれを撃ち返す。

無論、ハヤトがそれを知らないはずがない。

そう。この技は相手が“天原”でないと、使えぬ技。

「『彗星(ほうきぼし)』」

天日(あまひ)によってハヤトのに『星走り』100%の衝撃が跳ね返ってくる。天日(あまひ)の狙いは冷徹無慈悲。ハヤトの左、心臓を狙った一撃をハヤトは半けた。

そして、撃力はハヤトのの中で巡って。

「『星穿ち』ッ!!!」

『星走り』の衝撃に、『星穿ち』を重ねる。天日(あまひ)も、流石にこれには驚愕。とっさにバックステップで衝撃をけた。天日(あまひ)のが地面と水平に後方に吹き飛ぶ。そして、自らが投げた瓦礫に激突。々に砕いて、さらに後方に吹き飛んだッ!

ハヤトは『星穿ち』を放った前傾姿勢のまま、さらに足を踏み出す。

「『星走り』ッ!!!!」

星は連(つら)なる。

そのことに気が付いた瞬間、ハヤトの中にこの技が降りてきた。確かに自分に0から技を生み出す技は無かった。だが、1を重ねることは出來た。

ハヤトのが世界を駆ける。

より速く。より疾(はや)く。

それは疾人(ハヤト)の名を現していた。鍛え抜かれた探索者としてのが裂けて、が空に舞う。世界を彩る。

「うぉぉおおおおおおおおおおおおッ!!!!!」

ハヤトのび聲が周囲を揺らした。しかし、天日(あまひ)もやられっぱなしで居られない。まっすぐハヤトの拳に手を添えて。

「『天降星(あまだれぼし)』ッ!!」

ハヤトの撃力を地面に流して、アスファルトが々に砕け散った。生まれるのは衝撃(インパクト)が0になった瞬間の停滯。

天日(あまひ)の腕が恐るべき速度で振るわれる。

「『星、穿ち』」

躊躇(ためら)い気味に。だが、明確にハヤトたちの技を模倣(コピー)した一撃がハヤトのを叩きのめした。

「……ッ!!!」

水切りの石のようにハヤトのが地面をバウンドする。

だが、立ち上がる。立ち上がらないといけない。咲桜(さくら)にそう誓ったからだ。ツバキにそう誓ったからだ。

……立てッ! 立てぇッ!!!!

無理にを起こす。今の一撃で左の腕が折れた。肋骨もぼろぼろだ。ハヤトはとっさにアイテムボックスから林檎を取り出し、齧(かじ)った。が修復されていく、治っていく。まだ、戦える。

「……なんで、日本を変えようとする」

ハヤトに向かって歩いてやって來る天日(あまひ)に向かってハヤトはそう言った。

「罪滅ぼしよ」

「“魔”へのか」

「うむ」

ひどく、簡潔に。ひどく、簡単に。

天日(あまひ)はそう言い切った。

「人間は……! 人はどうなる! “魔”が溢れた世界で人はどうなる!!」

それはひどい弱強食の世界だ。弱い人間はただ狩られるだけだ。強者しか生き殘れない世界だ。俺も、シオリも、澪も。探索者にならなければ生きていけない世界だ。

この世界には1人では生きていけぬ人たちがいる。過去の自分のように、死を待つだけの人がいる。

「人は強(・)い(・)。放っておいても、生き殘る」

「……弱い、人たちはどうなる! 昔の俺のような!!」

「淘汰だ」

「ふ、ふざけるなッ!」

「ふざけているのは、ハヤト。お前だ。どの生きが弱い者を生かす? どこの世界で弱者が生き殘る!!」

「人だッ! 人は弱者に生きる権利を與えた!! それが人間なんだ!! 他のに、“魔”でもし遂げなかったことなんだ!!!」

「はッ。それがおかしいと言っておるのよ」

「……やっぱり、あんたは亡霊だ。1200年前で時間が止まってる」

「む。それは否定が出來ぬの」

そういって天日(あまひ)は笑った。

「俺は、俺達(弱者)のために戦う」

「吠えるのは良き。だが、力が伴わなければ稽なだけよ」

「うん? なんだ、まだ遊んでおったのか。天日(あまひ)」

その時、來訪者が戦場を裂いてやってきた。

……“九尾”だ!!

「抜けてきたのか……ッ!!!」

アマヤもアマネも無事なのだろうか? しばかりハヤトの思考が曇る。

「うむ。本(・)領(・)を取り戻せばこんなもんよ」

そういってをはって笑った。

「さて、天日(あまひ)。孫と遊ぶのもほどほどにしておけよ」

「分かっておる。若人(わこうど)はいつの時代も煌めいている。その煌めきが潰(つい)える時の悲しさ、虛しさは変わらぬものよの」

「…………おいおい。何で勝手に俺を倒したつもりでいるんだ?」

だが、まだこの後に及んで隠している刃がある。

この日、この瞬間のために殘しておいた刃が……ッ!!

「そういえばおったの。紫のが」

忌々しそうに“九尾”が言う。

「紫の?」

『核の』を知らない天日(あまひ)は首を傾げる。

「まァ、待ってろ。今に、見せてやるからッ!!!」

ハヤトが右手を掲げる。

「來い!」

「「「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおお」」」」」」」」」」」」

ずどどどどどどどどどどっ!!!!

から出るわ出るわの『核の』。

「はぇ……?」

「うん……?」

「…………?」

“九尾”と天日(あまひ)が共に首を傾げた。

「「「「「「「「「「「「ハヤトさんを援護しろー!!!!!」」」」」」」」」」」」

それが止まらない。止まらない。

どんどん出てくる。

「ふ、増えてないかの?」

「ハヤトよ。それはちと、ず(・)る(・)じゃないかの」

「いや、俺も……知らない……!!」

“九尾”と天日(あまひ)の言葉にハヤトも詰まる。

「「「「「「「「「「「行きますよぉ! ハヤトさん!!!!」」」」」」」」」」」」

うるさッ!!

「な、何人いるの……?」

「「「「「「「「108です」」」」」」」」

「なんで」

ハヤトが問うと『核の』たちは首を傾げた。

「「「「「「「「「「煩悩の數?」」」」」」」」」」

……締まらねえなァ。

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