《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》最終話 そして彼らは次の世界へ!
エリナがキッチンで調理をしている。それを澪が手伝っている。ハヤトは椅子を出したり、機を出したりとホストとしての役割を果たし、何故かユイとシオリとルネとセツカは仲良くソファに座ってテレビを眺めていた。
しは手伝わんかい、とは思うが彼たちは客人である。そう邪険にも扱えないだろう。不法侵してきたけど。
というわけでテレビの音を遠くに聞きながら食をだしたり、なんやらかんやらしているとふと電気が一斉に消えた。
「は!?」
何々? 何が起きたの??
「ぶ、ブレーカーが落ちたんですかね!?」
「んなバカな」
日常的にこれくらいの電力は消費しているが、今までブレーカーが落ちたことなんて無いぞ……?
「は、ハヤト! 見て!!」
ユイが窓の外を指さす。
俺達はずどどどどっ、と音を立てて窓の外に向かうとそこに広がっていたのは1面、黒の海だった。
「……すげえ」
それは、初めて見る漆黒の街だった。どこかで停電したのだろう。街そのものの電気が落ち、それがハヤトたちの家からは良く見ることが出來た。
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しばらくして、目が慣れてくると空に無數の星が浮かんでいるのが見えてきた。
「……わっ。綺麗」
「天の川だ」
日本でこれだけの星空を見たのは初めてだったかも知れない。彼らはその幻想的な景を眺めて、しばらくの間沈黙が降り立った。
ハヤトはユイたちに囲まれながら空を見上げた。
この空にはこれだけの星があって、自分はどうして地球に生まれたんだろう、なんて似合わないような哲學的なことをふと考える。あんまりにも似合わないから、すこし笑う。
彼らが世界を覆う無數の星々を沈黙に溺れながら眺めていると、ルネが唐突にそれを破った。
「あっ。見てください! 流れ星ですよ!!」
「ん? どこだ?」
「もう消えちゃいましたよ!」
「まー、そりゃそうだよなあ」
流れ星が殘り続けるわけがない、か。
そろそろ蝋燭でも出さないとな。
なんてことを考えて、それでも最後にこの景を目に焼き付けておこうと思った瞬間、ハヤトは空に一筋の流れ星を見た。
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「あっ! 流れ星だ!!」
「え!? どこですか!」
「ほら、あそこ!」
隨分大きな流れ星だ。ハヤトがそれを指さすと、ルネを筆頭に全員の視線がそちらを向いた。
「隨分大きな流れ星ですね」
エリナがポツリというと、ユイがそれに參加した。
「それに長いわね」
「多分、隕石」
「形が殘ってるってことですか?」
「うん」
シオリが深くうなずく。
《い、いや。あれは……。違うぞ……っ!》
だが、ヘキサが唸るように言った。
その流星は七の尾を殘しながら、こちらに向かって降ってくる。
「……あん?」
ヘキサの言う通りだ。何かが、おかしい。流れ星なのに消えない。燃え盡きない。
そして隕石は空中で――――ぜた。
カッッッツツツツ!!!
そして、真っ白に世界を染め上げて散っていくなかで、ハヤトは隕石の破片が7つに分かれるのを確かに見た。
「……ッ!?」
そして、7分割されたウチの1つがこちらに向かって降ってくるではないか!!
「……お、落ちてくるッ!」
だが幸いにして隕石はハヤトたちのマンションの上を通過し、ぐんぐん高度を下げて落ちていく。
「……!!」
ハヤトは弾かれたように家を飛び出して隕石の行方を探す。ギルドの上を通り過ぎて、さらに奧に。そして、ハヤトが咲桜(さくら)と訓練をしていた廃校。そこに、激突した。
「……ッ!!!!」
ズドンンンンンンンンンンン!!!
発。凄まじい勢いで空気が押しのけられる。そして、衝撃波と共にハヤトがの中で見たのは虹の螺旋、それが無數に広がっていく景。遅れて山が吹き飛んだ。
「あ、あれは……」
見覚えがある。
2年半前、ダンジョンが生まれた時に嫌というほどテレビで流れた映像と全く同じ狀況が起きている。あれは――ダンジョンが生(・)ま(・)れ(・)た(・)時のだ。
「……い、行ってみよう!」
ハヤトが後ろを振り向いてそう言うと、彼たちは深くうなずいた。何が出るか分からないので、素早く防に著替えるとハヤトたちは走って廃校まで向かう。車で10數分かかる道だが、“探索者”たちのにとってはないも同然の道である。
全速力で駆け抜けると、すでに同じようなことを考えていた探索者たちが集まって來ていた。
「おう、ハヤト。お前も野次馬か?」
「お久しぶりです、ダイスケさん。まあ、そんなとこです」
「見たか、あの」
「見ました」
「何が出るのかねえ」
グズグズと、土から煙が上がっていく中をハヤトたちは進んで行く。すると、先遣隊らしき探索者たちが戻ってきた。
「駄目だ。進めねえ!」
「進めない? 何で?」
「こっから先は熱すぎる。行くとしても明日だな」
「明日……」
彼らが言うならそれは本當なのだろう。
その日に見ることをハヤトたちは諦めることにした。家に帰ると、ちょうど電気がついた。仕方がないのでテレビを付けると、ちょうど隕石についてニュースをやっていた。
日本にいくつか隕石が落ちて來たらしい……。なんてことを、キャスターが話しているとテレビの映像がれ始める。
「うん? また停電か?」
そう呟くと、完全に映像が切り替わった。
「……あん?」
そこにいるのは7人の。髪のと、目のが虹の7に染まっている。だが紫の髪と紫の目をもったはいない。代わりに黒い髪と黒い目をしたがいる。
《なあ、あれは……》
(ああ……)
その7人のたちは、驚くほど『核(・)の(・)(・)(・)』に酷似していた。
『あー。あー。聞こえてますか?』赤のがそう言って、
『大丈夫だって。ちゃんとテストしたもん』緑のが諭(さと)す。
そして、ゆっくりと黒いが口を開いた
『現在、私たちはこの星の映像電波、および音聲電波を乗っ取っりました』
『我々はこのまま、この星の『核』を捕食します』続けて橙のが良い、
『核を捕食された星は々になります』黃のがそう言う。
『我々がこの星から立ちさる條件は1つ』青のがそう言って、
藍のが「せーのっ」、と息を吸い込むと7人揃って、
『お姉ちゃんを、返してくださいっ!!!』
そういって、テレビが元の映像へと戻った。
「………………」
《………………》
ハヤトはそっと右手を掲げて、
「おい」
「はい」
ぱっと、『核の』が飛び出した。
「どういうことだよ」
「いや、それが私にもさっぱり……」
「何でだよッ! 絶対にあれお前の妹だろ!!」
「わっ、私は一人っ子ですよぉ! 妹がいたら自分を無限に増やして1人で喋るなんて悲しいことするわけないじゃないですかぁ!!」
「いや、知らねえよ!! どーにかしろよ!!!」
「む、無理ですって。私あの子たち知りませんもん!!!」
「じゃあ、お前に激似のあいつらはどう説明するんだよっ!!!」
「ううん……」
『核の』が黙り込んだ瞬間、家の扉が開かれた。
「ハヤトさん! いますか!!」
中に飛び込んだのは咲桜(さくら)だった。もうオートロックですら防犯設備としてり立たないことにため息をついて、ハヤトは振り返る。
「新しい『星蝕(ほしばみ)』です! 7がそれぞれ7つに分割し、世界中に49個の新しいダンジョンが発生しました!!」
……………。
…………それってつまりは、
「…………い、いやです」
「まだ何も言ってないじゃないですか。良いですか、ハヤトさん。彼たちは既存のダンジョンがある國々に追加で降り立ち、現在進行形でダンジョンを長させています。“伏見”の占いによれば、地球が終わるまで3年間。その3年のうちに49個のダンジョンを突破しないといけません」
「こ、高認試験がっ……あるんですよ!」
「地球が壊れたら高卒資格なんて取れませんよ」
「だ、大學生活は……。俺の、キャンパスライフは……!?」
「大丈夫です、ハヤトさん。あなたは現在、高校2年生と同い年。ということはですよ? 1年足らずで49個のダンジョンを攻略し、大學験の勉強をしながら高認試験に合格し、そのまま大學に合格すれば晴れてあなたは大學生です」
「……おっ、俺は……馬鹿だから……そ、そんなことは……できませんっ!!」
「ハヤトさん!!」
「俺もうダンジョン3つも攻略したじゃないですかっ!!!」
やっと勉強できると思ったのに!
「くっ! 仕方ない!! ハヤトさん! ちょっと痛いですけど我慢してくださいね!」
そう言って咲桜(さくら)が飛びかかってきたので、ハヤトは全速力で窓を突きやぶってマンションからダイブした。
「もう良いでしょ!? 休ませてくれてもぉ!!!」
空中にを任せる前にそんな捨て臺詞を吐いて飛び出した瞬間、ハヤトの心臓を小さな隕石が穿った。それは、新たなる者。ハヤトの心臓を粘菌狀の生きが覆い、心臓を修復していく。
《姉上! お久しぶりです!!》
そして、そんな聲が頭に響いた。
《お、お前はセクス!》
「誰!?」
全てがスローモーションになった世界で、ハヤトの目にはヘキサの隣に並んで立つ見眼麗しいの姿が。
《あなたが姉上の選んだ勇者様ですね! 私はセクス! よろしくお願いします!!》
(い、妹!? ヘキサの!!?)
《そうです、勇者様! そして、こちらがプレゼントです!》
ガツン、と脳を毆られたような覚と共にハヤトのに何かがってくる。
《『スキル・ジェネレイト』と『スキル・フュージョン』です!! け取ってください! きっとダンジョン攻略の助けになるはずです!》
(いや、待て待て! 俺は何も言ってない……)
ハヤトは地面に著地。地面に小さなクレーターを作る、窓からは咲桜(さくら)がとんでもない顔でこちらを見降ろしていた。
《大丈夫です! 姉上が見初められた勇者様なら、49個のダンジョン。ちゃーんと攻略できますよ!》
(だから、攻略するなんて……言ってない……!!)
ハヤトはそんなことを言ったが、ヘキサがぽんと優しく手を置いた。
《ハヤト。ここは賢く行こう》
(か、賢く……?)
《ああ。お前はダンジョンを攻略し、『WER』の1位を維持しろ》
(お、おう?)
《タイムリミットは1年。それまでにすべてのダンジョンを攻略し、高認試験を獲得。その後、大學側からの逆(・)推薦を待て》
(ぎゃ、逆推薦……?)
《ああ。世界を救った英雄、それに加えて『WER』1位の探索者がしい大學なんてたくさんあるだろう。だから、ハヤト》
(…………)
《1年以に、49個のダンジョン。全部、突破するんだ》
ハヤトはヘキサを見て、セクスを見た。
そして再びヘキサを見て、上でこちらを見ている咲桜(さくら)を見た。
「……や」
《や?》
頭の中で様々な思考が巡っていく。
ダンジョン攻略。高認試験。大學生活。探索者。
んな思いが頭の中で駆け巡って。
そしてハヤトは大きな聲で、
「やってやんよッ!!!」
と、んだのだった。
完
後書きは活報告にて!
人類最後の発明品は超知能AGIでした
「世界最初の超知能マシンが、人類最後の発明品になるだろう。ただしそのマシンは従順で、自らの制御方法を我々に教えてくれるものでなければならない」アーヴィング・J・グッド(1965年) 日本有數のとある大企業に、人工知能(AI)システムを開発する研究所があった。 ここの研究員たちには、ある重要な任務が課せられていた。 それは「人類を凌駕する汎用人工知能(AGI)を作る」こと。 進化したAIは人類にとって救世主となるのか、破壊神となるのか。 その答えは、まだ誰にもわからない。 ※本作品はアイザック・アシモフによる「ロボット工學ハンドブック」第56版『われはロボット(I, Robot )』內の、「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」を目的とする3つの原則「ロボット工學三原則」を引用しています。 ※『暗殺一家のギフテッド』スピンオフ作品です。単體でも読めますが、ラストが物足りないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。 本作品のあとの世界を描いたものが本編です。ローファンタジージャンルで、SFに加え、魔法世界が出てきます。 ※この作品は、ノベプラにもほとんど同じ內容で投稿しています。
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