《【完結】処刑された聖は死霊となって舞い戻る【書籍化】》1000個たまりました

空から叩きつけられたの放流に飲み込まれた私は――無事だった。

ぴんぴんしてた。

(ありゃ?)

てっきりレイニーさんの容赦ない攻撃によって、萬事休すかと思った。回避は不可能、死霊に効果抜群なジャッチメントホーリーを撃たれて、魂の一片すら殘らず消滅するだろうと。

蓋を開けてみれば、が収まったあとも私はそのまま存在していて馬車に乗り込んで移を再開する彼たちを見送っていた。

(無効にした……?)

そもそも、聖屬とは何か。

聖屬の魔力は人間だけが持つ、神の魔力だ。人間ならギフトに関わらず量の神を帯び、聖屬系のギフトを持つ者だけが聖屬の魔力を扱える。

逆に、魔は聖屬の魔力を一切持たず、代わりに闇屬という特有の魔力を持つ。神の力である聖屬を持たないことが、魔が神の庇護下にないという教義の拠の一つになっている。

聖屬はあらゆる魔に多の効果を及ぼし、特にアンデット系に対しては絶大な効力を発揮する。逆に、人間に対してはほとんど効果がない。

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そう考えると私の存在は歪(いびつ)だ。

聖屬の魔力を包し、聖の魔法も扱える。なのに、魔として闇屬をも攜え、種族スキルも問題なく発できるのだ。

思えば、聖屬を無効化していると思われる場面はあった。スケルトンを弱化させるために展開した聖域の中でも、私に影響はなかった。てっきり使用者だからかと思ったけど、聖屬を無効化していたのかもしれない。

(そういえば、ファンゲイルのソウルドミネイトも無効化したんだよね)

という魂を保護するとの結びつきが薄い、あるいは全くないからこそ、アンデット系は魂への干渉に弱い。

なら、私の魂は? 闇に相反する聖屬があったから、干渉を防げたのかもしれない。もし支配されてたら一巻の終わりだったから、運が良かった。

(うーん、やっぱこの姿じゃ警戒されちゃったね。レイニーさんになんとか伝えたかったんだけど)

ファンゲイルに捕まりかけレイニーさんから消されかけ、と最近の行にはややが目立つ。もともと慎重な(たち)ではないけれど、このままでは致命的なミスを犯しかねない。気を引き締めないと。

(とりあえずギフテッド教のみんなに接するのはもうし進化してからにしよう)

偶然遭遇しただけで、話せるようになるまでは接する気なかったのだ。予定通りこう。行き當たりばったりの生前とは、一味違う私なんだよ!

魂のなくなった骨の中に隠れて馬車をやり過ごす。

それにしてもすごい數だ。レイニーさんの口ぶりから推察するに、もしかして皇國は王國との同盟を破棄したのかな?

自分で言うのもなんだけど、私って一応聖で皇國からは大事にされてたし、勝手に処刑されたらそりゃ怒るよねー。

でも皆がいないと王國は大変なことになる。これは、一刻も早く進化する必要があるね。

(街道の魔を駆除しよう。しでも減らしておけば、被害が減るかもしれない)

焼け石に水だろう。でも、やらないよりマシなはず。

私は馬車とは反対方向に進んで、街道付近の魔を駆除して回った。

一晝夜掛けて、魂は順調に集まっていく。

そして、ついに要求數である千個に達した。

文字通り草葉のに隠れて、神託を使い進化系譜を確認する。

『進化系譜

進化先候補

レイス(D)進化條件:LV30 必要素材:魂×1000 必要條件:願

サイレントゴースト(E+)進化條件:LV30 必要素材:魂×1000』

(やっと進化先出てきた!)

必要素材がないと見えないの、結構不便だよー。

今回も進化先は二つある。一つは単純に上位種っぽい名前のレイスでランクもEからDに上がってるね。ランクは文字配列順だから分かりやすくて助かる。一番上がAだから結構下だ。

もう一つはサイレントゴーストで、こちらはランクがEプラス。

進化というより、種類が変わるようだ。オニビがキツネビになった時と同じだねー。スケルトンソルジャーもEプラスだったから、大きく見た目の変わらない進化は半分しかランクが上がらないみたい。

(あの時はスケルトンになりたくなかったからキツネビを選んだけど、普通にレイスになっていいよね?)

レイスという魔は知っている。ケラケラ笑うだけで無害なゴーストとは違い、人間を襲うこともある危険で厄介な魔だ。ごく稀にしか発生しないけど、一度発見されれば冒険者に特別依頼が出されるほどである。

サイレントゴーストというのは聞いたことない。どんな魔なんだろう。

(ていうか必要條件の願ってなに!?)

ここにきて、新たな條件が増えてる。

レベルや素材はなんとなく理解できたけど、願はよく分からないよ。

(決めた! レイスになる!)

いつものように天使様の聲が聞こえてきて、進化が開始された。

白いシーツを被ったような見た目だったけど、果たしてどうなるかな?

(あ、水たまり探すの忘れてた)

この辺に自分の姿を見れる場所あるかな。井戸とか川とかでもいい。

なんて雑念に気を取られているうちに、つつがなく進化が完了した。

像は見えないけど、かしてみると一目で分かることがあった。

(黒くなってる!)

白いひらひらだったのが、黒い外套みたいになっていた。ボロ著のような黒布がぐるりと巻いてあって、雨の日の子どもみたい。

の形も変わっている。ヒトダマになってからというもの、ずっと球だった私のだがついに頭とが別になった!

相変わらず細かい造形はないけど、外套に包まれた球の上には、これまた球の顔がある。覚的に、フードを被っているのかな?

手も長くなった。人間の子どもくらいはあると思う。足はない。

『種族:レイス

ギフト:聖

種族スキル:ポルターガイスト

獲得スキル:ソウルドレイン、火の息、ファイアーボール、ケラケラ』

「あはは!」

(まだ喋れなかった! でもあとしな気がする!)

ついにレイスになりました! ハ〇ポタのディメンターを可くした

苦節五萬文字、未だに彼は人化はおろか、喋ることすらできません

早くになれ!って方は☆評価お願いします!

じゃなくなって殘念、って方もぜひ、聖ちゃんを応援よろしくお願いします。

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