《【完結】処刑された聖は死霊となって舞い戻る【書籍化】》さっそく研究果が!

レベルとは何か。古來より研究者が様々な推論を出してきたが、明確な回答はない。ギフテッド教では『生としてのステージ』と定義される。

レベルが一つ上がると、突然能力が上がったり魔力量が増えたりする。頭の回転が速くなる。一般的なトレーニングのように徐々に増えていくわけじゃなくて、レベルが上がった瞬間に一段階向上するのだ。ギフトと同じように、神が力を與えてくれる、とする文獻もある。

まさしく生としての格(・)が一つ上がるわけだ。

また、ギフトを持っていれば使えるスキルが増えることもある。

であれば、全く違う種族に進化するための條件でもある。

「早く進化したいねー!」

「けらけら!」

レベルを上げる方法はいくつかある。

一番分かりやすくて効率がいいのは、生を殺すことだ。他者の命を奪うという行為はレベルアップに繋がりやすい。私は進化するために、たくさん魔を倒したね。魔が食事の必要がない場合でも人間を襲うのはレベルを上げるためだ。

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殺さなくても、戦闘行為を行うだけで上がることも確認されている。いや、戦闘だけではない。例えば生産や加工などの仕事でも、レベルは上がる。生活の様々な行が、レベルに繋がっている。極論を言えば、生きているだけで上がるのだ。

でもやはり、効率よく上げようと思ったら魔を倒すのが早い。

「でもゴーストって攻撃できないよね?」

私はソウルドレインやホーリーレイなどを使えたけど、自然発生したゴーストには無理だ。高位の死霊を見かけない理由が良く分かるね。ケラケラ笑うだけのゴーストは、自力で魂を集めるのが難しいんだ。

とりあえず、その辺にいたスケルトンの魂を抜き出してゴーストに與えてみる。魂の摂取でもレベルアップできると思うんだけど、時間がかかるよね。

仕方ない。ちょっと反則だけど……。

「吸魂結界」

ソウルドレインと聖結界を『聖魔融合』したスキルを展開する。――山全に。

もちろん、冥國がある山じゃない。『不死の山』はいくつも禿山が連なっているから、小さな山一つくらいいいよね? だって、魂いっぱいしいんだもん。

「スケルトンの魂、ぜんぶここに!」

結界の中にある魂の場所が、手に取るように分かる。生きた魂は一つもない。全てアンデッドだ。

ソウルドレインの効果で、魂を吸いあげていく。見えないけれど、魂を抜かれたスケルトンが次々とただの骨になっているだろう。

白い球が空中を漂って集まってくる。ちょっとつまみ食いして、殘りはゴーストの分だ。その數、數百。

「あ、ここで食べさせたらサイレントゴーストになっちゃうかも」

ゴーストの場合、進化先の選択ってどうやるんだろう。

萬が一に備えて、魔晶石が立ち並ぶ鍾に戻った。不定形結界で持ち込んだ魂を、魔晶石の傍らで待つゴーストに與える。

「けらけら!」

最初から魔晶石に興味を示していた、元気な子だ。數百個の魂を次々と吸収して、レベルを上げていく。進化上限である二十まで、瞬く間に上がった。

「神託!」

『進化條件を達しました。ウェイブゴーストへの進化を開始します』

ゴーストが魔晶石に噛り付いた。つららのように反り立つ魔晶石が、青く輝いた。

「おおおっ、綺麗!」

青いを放つ魔晶石が先端から溶け出して、ゴーストに吸収されていく。水の中に水を落としたように、ゴーストの白いが染まっていく。魔晶石が一本消え去ったと同時に、変化が終わった。

『進化が完了しました』

『お告げ

種族:ウェイブゴースト(E+)LV1

種族スキル:スクリームウェイブ』

ウェイブゴーストの大きさは、進化前とあまり変わらない。一番の変化は濃い青になったことだ。また、のあちこちに魔晶石のような結晶が付いていて、オシャレ。

「やった……!」

「けらっ!」

いえーい、ハイタッチ。

新しいスキルも試したいね。うきうきで窟を引き返して、地上に戻った。

魔王が仁王立ちで待っていることを知らずに……。

「ふっふーん。さっそく果出しちゃったー。私って天才じゃない?」

「やあ、ずいぶんご機嫌じゃないか」

「ひゃっ」

は和やか。でも、目が笑ってない。何より、魂と魔力が荒ぶってらっしゃる。

私、何かしちゃったかな?

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