《【完結】処刑された聖は死霊となって舞い戻る【書籍化】》ウェイブゴースト
魔王城に連行された私は、悪の権現ファンゲイルと姑のミレイユによるお説教をけていた。
「あのねあのね、ゴーストの進化に功したんだよ……?」
涙ながらに、自分の功績をアピールする。
「それは素晴らしいけど――山一つの魔を狩りつくす言い訳にはならないよね」
「セレナ、山のスケルトンは外敵の侵を防ぐ役割もあると言ったはずですわ」
ゴーストの進化條件が分かったから、待ちきれなくなったのだ。魂がいっぱいあればすぐに進化させられた狀況で、我慢なんてできないよ……。
吸魂結界は格下にしか使えない分、範囲が広くて便利だ。すぐにスケルトンの魂を集めることができるので、ついつい橫著してしまった。
「うう、ごめんなさい……」
こうやって怒られていると、シスターを思い出すなぁ。元気にしてるかな。
ていうか、ダメならもっと教えといてよ! 私に察してしいなんて買い被りすぎだよ!
しゅんとなった私を放置して、二人はウェイブゴーストに興味津々だ。
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「魔晶石の鍾があったことも驚きだけど……それよりも魔晶石が進化條件になる方が大発見だね」
「魔晶石は希ですもの。実験をするにも、確保が難しかったですわ」
「ゴーストも質を素材とするパターンがあるんだね。もしかしたら、スケルトン系にも魔晶石を使えるかもしれない」
「さっそく、魔晶石の確保を急ぎますわ」
研究者気質なのか、わずかな報から次々と考察していく。
アンデッドの扱いではファンゲイルが、魔法についてはミレイユがそれぞれ得意分野らしい。二人ともヒートアップして、メモを走らせ言葉をわした。
「あはは、ミレイユもアンデッドが好きなんだね」
「別に好きじゃないわよ。ワタクシが好きなのは魔法」
「ほへー」
「そうだ、ウェイブゴーストの新しいスキルを見せてちょうだい」
ミレイユが目を輝かせて迫ってくる。
人さんで長生き? なのに、研究になると子どもっぽい。何度か彼の研究室にお邪魔した、というより被験として呼び出されたけど、魔法が絡むと普段のおしとやかな空気がどこかへ行ってしまうのだ。可いと思う。
「いいよ。おいで、ウェイブ」
「けらけら!」
他のゴーストは研究所に預けてきたので、今はこの子だけだ。不定形結界で作った手綱を引いて、外に移する。
「そういえば、その結界も面白いわ。聖魔融合で作ったのよね」
「そうだよー。聖結界とポルターガイスト」
「やっぱ魔は汎用が高いわね! 魔法を融合させて、似たようなを作れないかしら……」
私が使える魔法やスキルは、全て魔として魔力を利用するタイプだ。魔力を放出し、スキルや魔法によって質を変える。ミレイユによると聖魔融合とも相が良くて、組み合わせによって々なスキルが作れる。
ミレイユほどの使い手なら、魔法の式を解読して書き換えたり、違う質のを合わせたりしてオリジナルの魔法を作れるのだとか。
私が使う聖の魔法は聖魔力を使う特殊なだから使えないけど、他の屬なら使いこなせるらしい。すごいね。
反対に、側に作用するようなスキルは魔の場合が多い。直接纏って強化する以外に、スケルトンのソウルクラッシュやエアアーマーの虛無斬りのように質を強化するようなスキルも、魔を利用して発している。応用には向かない。
魔と魔に分かれていること自、ファンゲイルの仲間になってから初めて知ったんだけどね。冒険者だったら知っていたのかな?
演習場のようになっている広場に辿り著いた。スケルトンナイトたちがよく戦闘訓練をしている場所だ。
「ウェイブ、やっちゃって!」
「けらっ!」
ウェイブゴーストが的からし離れた場所に漂い、口を開けた。
種族スキルは『スクリームウェイブ』。
その名前を思い出していると、突然響き渡った甲高い音に驚いて肩が跳ねた。
「けらぁああああああ」
「ひぃっ! なに!?」
うるさいだけで、何も起きない。――いや。
し遅れて、的が々に砕け散った。
「音による攻撃みたいだね。なるほど、笑い聲だけだったのが、聲で攻撃するようになるんだ。興味深い」
「超音波ですわね。防ぎづらいですし、數を揃えられればかなり有用だと思いますわ」
「サイレントゴーストは隠に特化していて威力は控えめだったから、これは嬉しいね。死霊系は移に制限がないから使いやすいんだ」
続いて、どれだけの威力があるのかを調べる。木の的を破壊した時點でかなりの威力は見て取れるのだが、次は石壁だ。
ウェイブゴーストの絶は、空気を震わせ、振を敵に伝えることで攻撃するらしい。石壁も、多時間が掛かったけど破壊することができた。薄い壁とはいえ、強すぎる。ちなみに、私では破邪結界を結構本気で使わないと壊せない。
「やったね!」
「けらけら」
結晶のついた顔は、ゴーストより表かになった気がするよ。可いし攻撃もできる、素晴らしい魔だ!
私もそのスキルしいなー。
「聖ちゃん、その調子で頼むよ」
「任せてよ! 私の親衛隊を作っちゃうよー」
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