《【書籍版・講談社ラノベ文庫様より8/2発売】いつも馬鹿にしてくるモデルの元カノも後輩も推しのメイドも全部絶縁して好き放題生きる事にしたら、何故かみんな俺のことが好きだったようだ。》淺川由の理由
私とユウには、深い深い絆がある。絆といっても友ではなく、それはだ。
私達は心ついた時から一緒にいた。親同士の仲が良く、仕事で海外を飛び回ることが多かった両親は、私をユウの家に預けることも多かった。別にその事について、両親に何かを思っているわけではない。自分達の力を海外で活かしているという所に憧れを抱いているし、私がモデルを志すきっかけにもなったからだ。
そんな話ではなく、とにかく人生の大半を共に過ごしてきた私達は、ほとんど兄妹のような関係だった。
でも、中學の卒業を控えた頃、二人の関係は大きく変わる事になる。ユウの両親が事故で亡くなったのだ。
その時の事はあまり思い出したくないが、私ですら実の親を亡くしたようで、にぽっかりとが空いたがあった。なら、ユウの心の傷は計り知れない。気丈に振る舞っているつもりでも、隠しきれない痛々しさがあった。
しかし、日が経つと共に彼は急速に大人びていき、高校生になる頃には辛そうな面は完全になりを潛めていた。辛いはずなのに、何事もなかったかのように生活を送る姿を見て私は、彼がこのままどこかへ、手の屆かないところへ行ってしまうんじゃないか、すごく怖くなった。その時初めて、私は彼の事が好きなんだと、自分の中の心を理解することができた。
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そこからは早かった。気持ちに気付いたからか、焦りからか。私はユウに猛烈なアプローチを仕掛け、どちらから告白するでもなく、桜が咲いている時期に私達は付き合い始めた。本當は告白したかったが、思春期特有の気恥ずかしさのせいで、最後の最後だけは流れにを任せてしまった。
同時に、応募していたモデルの審査に通り、晴れて私は夢だったモデルになることができた。やる事なす事全てが上手くいくような全能。好きな人と想いが通じ合っているという幸福。私の人生の最盛期はあの時だったかもしれない。しかし、いつまでもじていたかった幸せは、當然のように長く続かなかった。
モデルとしての仕事は順調どころか、素晴らしい果を殘している。雑誌に載ったり、ネット番組に出演したり、他の同期の子に比べたら遙かに躍進していたし、周りの子の自分を見る眼差しが憧れに染まるのをじると、なんとも言えない気持ちよさがあった。
私が自慢げにその話をすると、ユウも自分の事のように喜んでくれていたが、何故か彼の心が以前のように隠れているままのような、があるような気がする。そう思うと急に、いつも私に優しく、どんなことがあっても怒らない姿に不安をじるようになった。彼は本當に私の事が好きなのだろうか。今更、告白をしなかったという事実が重くのしかかってくる。
ユウは自分の本心を誰にも見せようとしない。今までずっと一緒にいたのに、なんで隠し事をするんだろう。私は彼なのに。
その時、自分の中に無に不安と怒りが湧き上がっているのをじた。今思えば、それは私の推測でしかなかったのに。
そんな負のにられるままに、最高の方法を思いついた。彼に別れ話を切り出す事で、その気持ちが本なのか確かめようとしたのだ。きっとユウも自分の本心を曝け出してくれるだろうし、二人が人関係だと改めて確認する事もできる。素晴らしい作戦だと、そう信じ込んでいた。
を刺すような冷たい雨が降る、冬の日の放課後。私はユウを呼び出した。何も知らずに來た彼は、傘を忘れた私を自分の持つそれにれてくれる。そんな優しさですら、がなのか友なのか分からなくて。全てを確かめるために、不思議そうにこちらを見上げる彼にこう告げた。
「ごめん、撮影で一緒になった俳優さんと付き合う事にしたから。彼はユウと違って面白いし、一緒にいて安心する。だからさよなら」
もちろん噓である。いや、俳優に言い寄られたのは本當なのだが、ユウ以外の異に頭興味はない。でも、実際に、またはそれに近しいものを経験した人間の言葉には、真実味が出てくる。それは空想では補う事のできない領域にある。その點では、煩わしさしかじなかったあの俳優にも謝しなければ。
迷の甲斐はあって、話を信じたユウは大きなショックをけ、普段は髪に隠れてあまり見えない瞳は揺に揺れいていた。
そうだ。この表が見たかったのだ。優しさだけじゃない、他のが。きっとこの後、ユウは別れたくないと言ってくれるだろう。ふざけるなと怒るかもしれない。どちらであっても、それは紛れもない彼の本心。私達は同じ気持ちだと安心して、この先も二人で生きていける。
だけど、辛そうで、信じられないという顔からは驚きだけが消えて、代わりに何かを悟ったような落ち著きが表層に現れていた。
「わかった。今までありがとう」
「……えっ? ユウはそれでいいの? 怒ろうと思わないの?」
思わず聞き返してしまった。怒りも引き止めもせず、彼は別れを甘んじてけれようとしているのだ。
一どうして?
その疑問の答えは、どれだけ思考を巡らせても手にる事はなかった。もしかしたら、私に気を遣って怒りを収めているのかも。そうだとしたら、私を想う故に、本心を押し殺しているのか。優しさ以外の気持ちだけでも持ってくれているのか。せめてそれだけでも確認せずにはいられなかった。
「俺の魅力が足りなかったんだ、怒ることなんてないよ。安心して、この事は誰にも言わないから。それじゃあ、お幸せに」
噓を信じているのに、非難すらされない。ずっと一緒にいたはずなのに、今では彼の心が一ミリもわからない。別れようと思って話をしたわけではないのに、気付けば私達の関係は引き返せないところまで來ていた。
なんで?
私の顔は、彼にはどう映っているのだろう。疑問は何も解決しないまま、ユウは最後に寂しそうに笑うと、傘を私に渡し、一人雨に打たれながら去っていった。
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