《【書籍版・講談社ラノベ文庫様より8/2発売】いつも馬鹿にしてくるモデルの元カノも後輩も推しのメイドも全部絶縁して好き放題生きる事にしたら、何故かみんな俺のことが好きだったようだ。》過去との決別、新しい自分 その2

第一章終了です。

これからも投稿を続けていきますので、よろしければ応援よろしくお願いいたします。

二章にる前に番外編になります。

「先輩! お晝一緒に食べませんか!」

「食べようか、黒咲」

晝休み。珍しく――といっても、三日にいっぺんくらいの頻度なのだが――黒咲が晝飯にいに來た。當然斷る理由もないので、二人で中庭へ行って晝食を取る事にした。

中庭には、を浴びて栄養を摂る生徒のためか、貴重な學生カップルへの配慮か、いくつかのベンチが設置されている。そのおか今日も、夏の暑さに負けないほどの熱量で人活に勤しむカップルの姿をちらほら確認でき、目立たないベンチは軒並み埋まっていたため、校舎近くのそれを確保した。けしからん。

二人並んで腰掛け、弁當のお披目をする。黒咲の弁當は母親が作っているだけあって、俺のものと比べると遙かに彩があって味しそうだった。だが、彼の視線は俺の手元に注がれており、何やらしそうな顔をしている。

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「わぁ、今日も先輩のお弁當味しそうですね」

「そうか? 適當に作ってるから味は微妙だぞ」

「食べてみたいです! 特にそのアスパラのベーコン巻き!」

こいつ、一番の目玉を躊躇うことなく指名してきやがった。しかし、こんなにも目をキラキラさせながら頼まれて斷れるやつがいるだろうか。いや、いない。俺はアスパラとベーコンの両者に別れを告げると、黒咲の小さな口に優しく放り込む。

「はい、あーん」

「あ〜ん……。ん! めちゃくちゃ味しいです! 先輩に食べさせてもらえてさらに味!」

「……恥ずかしくないの?」

赤ん坊のようにはしゃぐ姿を見て、思わず頬が緩む。可い後輩に、穏やかな晝の日差し。やっと手にれたこの平和が、ずっと続けば――

「宮本君。ちょっといい?」

「……淺川か。どうした?」

和やかなムードに突如參戦しようとしているのは、クラスメイトの淺川だった。突然のことにし驚いたが、もはや俺たちの間にわだかまりはない。何か用があるのだろう、俺は彼へ問いかけてみた。

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「特に用ってほどじゃないんだけど、一緒にお晝どうかなって」

黒髪を優雅に揺らしながら答える彼の右手には、可いピンクの布に包まれた弁當箱があった。特段用があるわけではないらしい。というか、一緒にお晝を食べる?

確かにクラスメイトだとは言ったが、生徒達の憧れの存在が、いきなり晝飯はどうかと聞いてくるのは不自然じゃないだろうか。とはいうものの、斷る理由もない。隣の後輩はどう思っているだろう。

「俺は別にいいけど、黒咲はどう?」

「えっ、わ、私ですか? 別に……いいですけど……何で淺川先輩が……?」

「じゃあ決まり。ありがとう」

淺川は俺の右側に腰を下ろす。これで俺の座るベンチの両脇には、學校でも有數の人気を誇る子二人が腰を下ろしていることになる。オセロであれば俺もになれるところだが、殘念ながら特にに変化はない。

々気まずい空気をじる俺と黒咲だったが、それを意にも介さずに淺川は弁當箱を開け、綺麗に詰められているおかずに箸をばす。彼は自分で弁當を作っているはずだが、俺より斷然クオリティが高い。悔しくなんてないぞ。

「あ、淺川先輩は、優太先輩のただのクラスメイトなんですよね?」

「うん、そうだけど」

「じゃ、じゃあなんで突然お晝を食べに來たんですか……?」

何とも言えないこの空気に耐えられなくなったのか、黒咲が核心をついた質問をぶち込んだ。やるな、俺にも聞けなかった事を、躊躇いながらもし遂げるとは。心の中で彼に稱賛の拍手を送っていると、淺川は當然かのように言い放った。

「なんでって、宮本君とお晝が食べたかったから」

「と、特に先輩と接點はありませんでしたよね!?」

「強いて言えば、一目惚れかな」

まるで映畫の王子様か何かみたいな歯の浮く様なセリフなのだが、淺川があまりにもクールに言うものだから、とてもサマになっている。じゃなくて、何だその理由は……。

「……ま、また……ライバルが……しかも……淺川先輩……ははは……」

左隣では、度重なる負荷についにエネルギーが盡きたのか、黒咲が白目を剝いてぶつぶつと呟いている。ありがとう、よく頑張ってくれた。ここからは、俺の出番だ。

「ひ、一目惚れなんてするか? 淺川はモデルだから、格好いい俳優といくらでも知り合いに――」

「確かにそうなんだけどね。夏休み明けの宮本君、すっごく変わっててみんな驚いてたよね。私は人を見た目で判斷したくないからそんなに驚かなかったんだけど、あそこまで変わるには相當の努力をしたんだなって。そんな努力が出來る人って中々いないから、素敵だなって思ったんだ」

「へ、へぇー……」

アリバイというか、ストーリーまで完璧に構築されている。俺が言い切る前に、それをまるで予期していた質問かの様に返答を始め、長文で反論できない程押し潰されてしまった。

淺川、將來は優とか目指した方がいいんじゃないかな。こんなにも自然に、あたかも最初からクラスメイト以外の何者でもなかったかのように振る舞えるのは、類稀なる演技の才能があるかサイコパスかのどちらかだ。後者の可能も十分ある。

「淺川……大丈夫か?」

「もちろん大丈夫だよ。そ、それより、そうやって強い気持ちを向けられるとドキドキしちゃうな」

え、彼はいつの間にそういう癖の持ち主になったんだ?

若干頬が上気し、恍惚の表を浮かべている。しかし、すぐにいつものクールフェイスを取り戻すと、不自然に話をまとめだす。

「まぁ、今のところはあんまり二人の邪魔をするつもりもないからさ、たまには一緒にお晝でも食べようよ」

「たまにですからね! 先輩は渡しませんよーだ!」

蘇生アイテムを口に詰め込まれたのか、いつの間にか回復した黒咲が、シャーっと小溢れる威嚇行をとる。まぁ、怪しいが危害を加えるつもりはないと思うし、しばらくはこのままでいいだろう。それよりも、俺は淺川に確認しなければいけない事があった。

「淺川、例の証拠の件、どうだった?」

「小鳥遊先生に見せたらめちゃくちゃ怒ってたよ。流石に退學とまではいかないけど、もう悪さしようとは思わないんじゃないかな」

「そうか、ありがとう」

やはり最終的な判斷は教師に任せるに限る。大事にし過ぎず、甘くもない。丁度良い処置を取ってくれる事を願っている。

「さて、食べ終わったし私はそろそろ行くね。今日はこれから撮影で出なくちゃ行けないから」

そう言うと、淺川はすたすたと荷を取りに戻ってしまった。晝飯を食べるためだけにわざわざ來たわけではないだろう。

「もしかして、それを伝えるために來てくれたのか?」

「……多分、そっちはついでだと思います……て、ていうか先輩は渡しませんからね!」

傷が開いたかのようにぐったりしていたのに、何故か突然勢いよく聲を上げる黒咲の緒が心配だったから、とりあえずでておいた。わぁ、嬉しそうにニヤニヤしてる。

――――――――――――――――

「先輩〜! また明日〜!」

放課後、黒咲と駅の近くで別れ、一人考え事をしながら歩いていた。

きっと、人生はたくさんの選択肢で溢れている。夏休みに努力をしたのも、あの時黒咲へ振り返ったのも、淺川を許したのも。おそらくどれもが大切な分岐路で、別の道を選んだ俺の立つ場所は全く違うものになっているだろう。もしかしたら、もっと良い選択肢があったかもしれないし、その俺から見る自分は不幸かもしれない。

でも、それでもいい。俺は考えに考え抜いて、納得して全ての分岐路を進んだ。そこには何の後悔もない。たとえ違う世界の俺に不幸だと思われても、を張って言える。

俺は前に進めたぞ。

い後輩と、ちょっと小悪魔な推しと、よく分からないクラスメイト。手放したはずの関係は、より良いものとなって手の中に戻ってきた。それでいいじゃないか。

空を見上げると、以前にも見たような煌めく一等星。それは俺を見つけると小さく瞬いて、これから歩んでいく道を祝福してくれているようだった。

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