《【書籍化決定】ネットの『推し』とリアルの『推し』が隣に引っ越してきた~夢のような生活が始まると思っていたけど、何か思ってたのと違う~》合鍵を巡る何か

本作はラブコメ時空の為、基本的にシリアスはありません。

「…………つっかれた…………」

配信が終わるや否や、俺は椅子から飛び降りそのままベッドにダイブした。

タオルケットのらかなが頬をで、想像以上に疲労を伝えてくるは低反発スプリングに沈んでいく。

「配信してる時は張してる自覚なかったんだけどな…………」

チャット欄が悪ノリしていたのもあるけど、普段と同じじで話すことが出來たと思っていた。けれどそれはランナーズハイみたいなものだったらしく、どうやら張を隠してくれていただけらしい。それが今、猛烈に吹き出してきている。

…………まあそりゃそうか。5萬人だもんな。意識しないようにしてたけど、意識しない訳がないんだ。

「────お兄ちゃん」

頭上から聲が聞こえてくる。

頭をかすのすら億劫で確かめる事はしなかったけど、その呼び方をする人間は世界でひとりしかいない。

「…………真冬ちゃん?」

Advertisement

鍵は閉めていたはずだから合鍵を使ってってきたんだろう。その事にすら気付かないほど疲れていた。

「お疲れモードみたいだね」

「思ったよりね…………」

本當はもっと々、配信中にじたこととか伝えたかったんだけど、口をかす事も面倒でそれだけ言うに留まった。

「お疲れ様、お兄ちゃん」

キシ…………とスプリングが沈むに伝わる。多分真冬ちゃんがベッドに座ったんだ。

「今日はもうこのまま寢ちゃう?」

平坦で、でもどこか優しさのこもった真冬ちゃんの聲が眠気を加速させる。

「あー…………そうな…………寢る、かも…………」

「ふふっ…………おやすみ、お兄ちゃん」

頭をでられた気がした。

それについて何か反応することも出來ず、俺は意識を手放した。

「いやー、蒼馬くんの初配信面白かったなあ。お姉ちゃんズは流石に草だよ」

自分が焚きつけた流れとはいえ、アンケート機能でどんどんヘンテコなタグに決まっていくのは痛快だった。早くもリスナーにされてたし、蒼馬くんは間違いなく人気VTuberになるなあ。

いや、もうなってるのかな?

1期生の中でひとりだけ登録者數20萬人超えてたもんね。他の人はまだ10萬人もいってなかった気がする。まだ男VTuberファンが付いていないバーチャリアル所屬ってことを考えたら凄い事だと思う。

「…………ちょっと様子見に行ってみようかな」

聞いてるじだとあんまり張している風には見えなかったけど、初配信、それもいきなり5萬人の前で喋ることになって張しない訳が無い。それは私が一番よく分かってる。

…………ここはひとつ、肩でもんであげましょうかね。

合法的に蒼馬くんにれられるし。なーんてことは考えてないよ?

そうと決まれば話は早い。私はゲーミングチェアから飛び降りると、玄関に駆けだした。

────のだが。

「────え」

玄関のドアを開けた私はとっさに隠れる羽目になった。

何故って。

「どうして真冬が…………蒼馬くん家の合鍵を持ってるの…………?」

そこには────慣れた手つきで鍵を差し込む真冬がいた。

理解の追いつかない私を置き去りにして、真冬は蒼馬くん家に吸い込まれていく。

え。

待って。

どういうこと。

真冬と蒼馬くんが?

「これは…………尋問だあ!!!!」

私はエントランスに出ると、出來る限り眉を怖いじにして真冬が出てくるのを待った。

…………腕も組んどいた方が、怖いかな?

「…………蒼馬くん、可かったなあ」

配信ページを閉じて、グラスに殘ったウイスキーをグイっと飲み干す。そして聲は蒼馬くんなのに見た目は小學生の新人VTuberの事を思い出す。そうすると自然と笑みがれた。

「…………バレなかったよね…………?」

あんまりにも可くて、思わずお姉ちゃんって沢山送っちゃった。自分の中から湧き出てくる衝を抑えられなくなっちゃった。でも、そのおか私たちは『お姉ちゃんズ』になることが出來た。これから沢山、蒼馬くんにお姉ちゃんって言って貰えるんだ。

「…………ふふっ」

どうやらお酒がると、私は甘えたがりになってしまうらしい。

そして、お姉ちゃんぶりたくなってしまうみたい。

なんというか、ほら。

私…………もう26だしね…………?

皆より…………一回りくらい年上。

蒼馬くんと靜ちゃん、真冬ちゃんと同じノリで接するのは、なかなか難しかった。

でも蒼馬くんと二人きりだったら、そういう私の本(・)當(・)の(・)所(・)を出してもいいんじゃないかって、最近ふと思うんだ。

蒼馬くんに甘えたい。

それと同時に、蒼馬くんに甘えられたい。

そういう想いがどんどん強くなる。

「好き…………なんだよね。これは…………」

って、何かきっかけがあると思ってた。

助けられたとか。

グイグイ迫られたとか。

の子なら一度は夢見るシチュエーション。

そういうのが付きだと思ってた。

「…………気が付かなったなあ」

でも、どうやら私のってそういうものじゃないみたい。

気が付いたら────好きになっていた。

「…………お酒、付き合って貰おうかな」

に蒼馬くんの顔が見たくなった。

蒼馬くんのデビュー記念に、ちょっといいお酒を持っていこう。

私は棚からお気にりのラム酒を取り出すと、蒼馬くんの家に向かった。

────のだけれど。

「え────ッ」

私の目に映ったのは、合鍵を使って蒼馬くんの家にる真冬ちゃん。そして、それをじっと見守る靜ちゃんの姿だった。

    人が読んでいる<【書籍化決定】ネットの『推し』とリアルの『推し』が隣に引っ越してきた~夢のような生活が始まると思っていたけど、何か思ってたのと違う~>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください